特別対談 竹村慎治×大木トオル




3. セラピードッグを公認するという取り組み

――動物介在療法をさらに普及させていくため、新たなシステムづくりを進めているというようなことは。

大木 : 日本の医療現場にセラピードッグが常時入るようになって12年、国際セラピードッグ協会を設立して今年で6年になりますが、課題としては患者さん個々の病状に合わせた対応がテーマになっています。しかし、その一方で、セラピードッグを派遣してほしいと要望を受けても、セラピードッグの絶対的な数が足りず、対応できないという現実的な状況もあります。さらに、セラピードッグ1頭につき必ずハンドラーがひとり付き添う必要がありますが、その人材も不足しています。病状個々に合わせたセラピードッグの対応が課題になっている半面、セラピードッグやハンドラーを増やさなければならない。つまり質と量が問われているわけですが、当面の課題解決としてはまず、前提となるセラピードッグ育成システムづくりとして、セラピードッグを公認するという取り組みを進めています。これは一般家庭の飼い犬でも定められた訓練課程を受けてテストに合格すれば、公認するという制度でして、現在毎週訓練会を開催しています。一般家庭の犬が社会貢献できればすばらしいことですからね。もっとも、訓練は訓練密度によりますが、2年程度は犬も保護者たる飼い主も訓練や学ばなければなりませんが。

――ちなみに、このセラピードッグの訓練会は飼い主も受講するのですか。

大木 : そこが大事なところです。社会貢献とはどういうことか、社会福祉とは一体どういうことなのか、それを知っていただかなければ意味がありませんし、犬をハンドリングしてもらわなければなりませんから。アメリカ人のようにライフワークとして携わる、ポリシーとして携わる、こういった点がキーポイントになります。すでに多くの方々が訓練会に参加していただいていますから、今後を期待しています。

――すでにセラピードッグとして公認した犬はいるのでしょうか。

大木 : 07年からスタートしたばかりで、まだ公認した犬はいませんが、現在の段階で実修過程に入っている犬が4頭います。これからもっと増えてくるのではないかと期待しています。

一般家庭の犬が社会貢献できればすばらしい

――セラピードッグ訓練会の参加者は全国から集まるのでしょうか。

大木 : 飼い主を私どもでは保護者と呼んでいるのですが、セミナーに参加される保護者は北海道など遠い地域の方もいらっしゃいますが、犬を連れて訓練参加するとなれば、遠方の方は東京まで来るのはやはり限界がありますから、訓練参加となれば、首都圏の神奈川や千葉、茨城、埼玉に住んでおられる方の参加が多くて、名古屋から参加している方が一番遠い方ですね。

――今後の問題として、一般家庭の犬が施設へ出向いて、セラピー活動に従事することもあり得るのですか。

大木 : その可能性はあります。とはいっても、私は必ずしもそこまでいかなくても良いと考えています。ご自分の家の高齢者に対してセラピー活動してもらうことも重要ですし、子どもに対するセラピー活動であっても良い。犬を単にかわいいとみるだけではペットですが、社会に貢献するという視点から対応する場、一般家庭の犬に対しても、いろいろな可能性を開く場を設定することが大事というスタンスに立って、犬たちの訓練会開催やセラピードッグ公認制度を位置づけています。