特別対談 竹村慎治×大木トオル




4. 最大のテーマである「動物と人との共生共存」

――国際セラピードッグ協会としての現在の活動状況を教えてください。

大木 : 6年前に国際セラピードッグ協会を立ち上げて本格的な活動に取り組んでいまして、いまは活動拠点のあるここ東京都中央区からふれあい事業の一環として、セラピードッグ育成費として助成金を受けています。その代わりといっては何ですが、中央区すべての高齢者施設4施設にセラピードッグを派遣しており、医療費の一部として助成金を受け取っています。また、中央区内だけの高齢者施設ばかりではなく、行ける範囲であれば、どこでもセラピードッグを派遣しておりまして、中央区に隣接する区をはじめ千葉まで行きます。派遣先は高齢者施設や障害者施設、病院、がん研などですが、小学校へも出向きます。一方、全体的な活動の取り組みというか、環境としては国が認知症に対するセラピードッグの症状改善効果が認め、その視点から取り組み始める段階になっていますから、活動は広がる方向にあります。

――学校への派遣活動というのは。

大木 : セラピードッグの話をさせてもらって、捨て犬たちの命の尊さを教えています。人間に捨てられた犬たちが人間を憎まず、高齢者や障害をもつ方々を助けている。だから、どんな小さなことでもいいから、小さな良いことをやろうね、と子どもたちに話しかけています。子どもたちは真っ直ぐに聞いてくれますよ。あとから送られてきた感想文を読んでみると、私が話したことの的を射た内容になっている。子どもたちが大きくなっても私が言ったことを守ってくれるだろうと思います。そう期待するのはちょっと訳がありましてね、小学校に行ってセラピードッグを最初見せたときに子どもたちの第一声は「かわいい!」という言葉ですが、最後になると「がんばれ!」と変わるのです。将来を担う子どもたちは実にすばらしいですね。

誰もが気持ちを共有して身近なところから

大木 : それに対して大人はいろんなことを背負って生きていますから、一概には言えませんが、失礼を承知であえて言わせていただくと、逃げることができます。例えば、捨て犬の問題、あるいは高齢者の問題をお話させていただいても、正面から考えられるか、あるいは携われるか、難しいというのが現実です。それはある意味他人事だからです。他人事ではいけません。セラピードッグがなぜ注目されたかといいますと、人を助けたからです。人間は不思議なものでして、自分にメリットがないと相手のことを思いやることはあまりしない。気持ちを共有することが社会貢献ですから、偉そうなことを言うつもりはないのですが、身近なことを取り組んでほしい、他人事にしないでほしいという点を強調したいですね。というのは、全国に登録されている犬の飼い主の数は1,000万人で5軒に2軒、猫を加えれば5軒に4軒が動物を飼っている計算です。そして、動物を捨てる者がいます。そういう方々が認識をもっていただいて動物と人との共生共存を図る、これが私どもに課せられた最大のテーマだと考えています。