ピリペンコさんの手づくり潜水艦 | ペットを愛する詩人・園田恵子のシネマ日記

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ピリペンコさんの手づくり潜水艦

ピリペンコさんはしがない年金生活者、しかし夢はあきらめない!!
脱力系のドキュメンタリー

ピリペンコさんの手づくり潜水艦

ウクライナの小さな村に住むピリペンコさんは、62才の年金生活者。彼は自作の潜水艦を作って黒海に潜ることを、30年も前から夢見ている。貯めた年金を切り崩し、古い部品を集めては、潜水艦作りにふけるピリペンコさん。

いくら夢だといっても、庶民が潜水艦を所有して自分で海に潜る、なんていう夢を、日本人だったら難しいと、すぐさまあきらめてしまうだろう。

ピリペンコさんの手づくり潜水艦
ピリペンコさんの手づくり潜水艦

ところが、ウクライナ人であるピリペンコさんは違った。買えないなら、自分で作ればいいんだ、と作ってしまった。わずかな給料や年金の中から、中古のありあわせの部品を買い集めて、30年がかりで夢は形を成してきた。あろうことか、ありあわせの部品で成り立つ潜水艦の形は、むちゃくちゃかわいい。例えるなら昔のフォルクスワーゲンを、幼児仕様にさらに丸くした感じ。こうと考えてデザインしたとしても、できない可愛らしさだ。

そんな子供の玩具のような潜水艦をもつピリペンコさんは、ある大志を抱いている。水もれだらけの潜水艦の中で試験潜水しながら、不敵にも彼はつぶやく。

「ここから400キロ離れた黒海までいって潜水し、私は黒海に生きるあらゆる生き物たちと対話しよう」

そうした言葉に、思わず感動してしまうが、大きいことをいっているわりには、意外と浅くしか潜水しない所もこの人らしい。おどろかされるやら、拍子抜けさせられるやら、とんでもなく面白い、脱力系ドキュメンタリーだ。

ピリペンコさんの手づくり潜水艦

ピリペンコさんが、その都度、本音でつぶやくコメントが凄い! こんなにいいかげんで、本音で生きることが可能なんだと気づかされる。

抜けるような青空と広大な台地。穏やかな人々と、ドキュメンタリーの文脈も関係なく、至る所に出現して画面を横切るカモの群団や、牛の大群などの動物たちにもいやされる。

見ているだけで心が安らぐ、ウクライナの美しく、広大な大地

ピリペンコさんの手づくり潜水艦

ウクライナは1991年にソ連から独立。面積は日本の約1.6倍だが、人口は半分以下と少ない。

抜けるような青空と土壌が肥沃な農菜国で、特にひまわりの生産量は世界第3位。男女平等が進んだ国としても知られ、職業を持たない女性はほとんどいない。

ちなみに、ピリペンコさんが潜ろうとしている黒海は、家から400kmも遠く離れたところにある。

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筆者・園田恵子プロフィール(公式HP
大学在学中、文芸誌からデビュー。第一詩集『娘十八習いごと』が出版される。 歌舞伎や能の要素を新鮮な視点で現代詩に取り入れた手法は、若い世代の詩人の中でも異彩を放つ。エッセイストとしても活躍している。 テレビ朝日系列『ウィークエンドシアター』レギュラー出演など、映画関連の仕事も多く手がけている。
詩集に『日月譚』他、エッセイ集に『猫連れ出勤ノート』、『東京枕草子』、新刊に翻訳を手がけた『ペルセポリス1・2(2007年カンヌ映画祭審査員賞受賞映画『ペルセポリス』原作。) 』他多数。
2006年からの企画で、新人の発掘と詩集出版のプロデュースも手がけている。