猫の尿路結石症の症状と原因、治療法について

最終更新日:2024年03月29日

猫の尿路結石症ってどんな病気?

猫の尿路結石症とは、その名のとおり尿路に結石がたまってしまう病気です。

腎臓で作られたおしっこは、尿管を通って膀胱にたまり、尿道を通って体の外に排出されます。このおしっこの通り道のことを「尿路」と呼びます。猫の尿路結石症は、尿路の中でも特に膀胱や尿道などの「下部尿路」と呼ばれる部分に多く発生します。この下部尿路に起こるさまざまな病気を総称して「猫下部尿路疾患(FLUTD)」と呼ばれます。

猫に尿路結石ができると、血尿や排尿障害、排尿痛など、おしっこに関するさまざまな症状が現れます。また、尿路結石が詰まって尿道が完全に塞がれてしまう「尿道閉塞」を発症すると、急性腎不全や尿毒症を引き起こし、猫の命にかかわる危険性があります。

結石は成分によってさまざまな種類がありますが、猫ではストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石が最も多く、次いでシュウ酸カルシウム結石が多く見られます。

猫の尿路結石症の原因と症状

どうして症状が出るの?原因は?

猫に尿路結石症が起こる原因はさまざまですが、まず考えられる原因は飲水量の減少です。猫はもともと砂漠に住んでいたため、その名残から水を飲む量が少なく、濃いおしっこをする性質があります。また、肥満や寒さで運動量が落ちて水を飲む量が少なくなった場合も濃いおしっこをするようになります。結石はおしっこの中に含まれている成分から作られるため、おしっこが濃いと結石ができやすくなるのです。

また、おしっこのpHも尿路結石の形成に大きく影響を及ぼします。正常なおしっこのpHは中性に保たれていますが、食事を始めとする環境の影響で変化します。そして、おしっこのpHがアルカリ性に傾くとストラバイト結石ができやすく、また、酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結石ができやすくなるのです。

さらに、猫がおしっこを我慢してしまうと、膀胱の中におしっこがとどまる時間が増え、尿路結石ができやすくなってしまいます。

猫に尿路結石ができると、膀胱や尿道の粘膜が傷付いて炎症が起こり、血尿や排尿障害、排尿痛などの症状が現れます。また、尿路結石が詰まって尿道が完全に塞がれてしまうと、おしっこがまったく出なくなり、急性腎不全や尿毒症を引き起こして命にかかわる危険性があるのです。

どんな猫が尿路結石症にかかりやすいの?

猫の尿路結石症はオスとメスで発生頻度に差はないものの、オスの尿道はメスと比べて細長くカーブをしています。そのため、尿道に尿路結石が詰まりやすく、尿道閉塞を起こしやすいので注意が必要です。

また、アメリカン・ショートヘアーやスコティッシュ・フォールドなどの猫種では尿路結石を発症しやすいことがわかっています。年齢は、若齢から高齢までどの年齢でもかかることがあります。

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猫の尿路結石症の症状とチェック項目

猫の尿路結石症の特徴は、おしっこに関する症状が現れます。そのため、下記のような症状が見られる場合は、尿路結石症にかかっている可能性があります。

  • おしっこに血が混じっている
  • トイレに頻繁に行くようになった
  • トイレに行ってもおしっこがほとんど出ていない
  • おしっこをするとき痛そうに声を出す
  • トイレ以外の場所でおしっこをするようになった
  • 落ち着きがなくなった

猫のおしっこが出ていない状態が1日続くと命にかかわるため、これらの症状が認められたら様子を見ず、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

猫の尿路結石症の治療と予防

猫の尿路結石症はどうやって診断されるの?

動物病院では、まず問診を行い、猫にいつからどんな症状が現れたのか、過去に尿路結石症にかかったことがないかなどを確認します。次に、触診を行い、膀胱におしっこがパンパンにたままっていないかを確認します。

そして、尿検査を行い、おしっこのpHや細菌感染の有無を確認したり、結晶の有無や形状を確認したりします。

さらに、結石の位置や数、大きさなどを確認するため超音波検査やレントゲン検査を行い、尿路結石症だと診断します。

猫の尿路結石症の治療にはどんな方法があるの?

猫の尿路結石の治療方法は、結石の種類や大きさなどによって異なりますが、食事療法や止血剤の投与といった内科的治療や、手術によって尿路結石を取り除く外科的治療があります。

まず、ストラバイト結石の場合は、療法食で溶かすことができます。そのため、猫に食事療法を行いながら抗炎症剤や抗生剤を内服させますが、尿路結石が大きかったり数が多かったりする場合は、手術で尿路結石を取り出す必要があります。また、尿道閉塞を起こしている場合は、おしっこの出口からカテーテルを挿入して詰まりを取ったり、超音波で尿路結石を砕く処置を行ったりします。

一方、シュウ酸カルシウム結石の場合は、療法食で溶かすことができません。そのため、基本的には手術で尿路結石を摘出する必要があります。

猫の尿路結石症は治せるの?

猫の尿路結石症は食事療法や手術を行うことで治すことができます。しかし、一度完治しても再発を繰り返すことが多い病気であるため、予防や早期発見・早期治療が重要です。

猫の尿路結石症を治療するのに必要な費用は?

尿路結石症の検査代はあくまで目安ですが、血液検査やX線、超音波検査などを行い15,000円程度必要となることが多いです。

院外の検査施設での外注検査で結石の分析などを行うこともあり、その場合にさらに費用が必要となります。 ストラバイト結石など療法食で溶ける結石で、血尿や頻尿などの症状の場合には、症状がおさまるまで都度抗生剤の投与と、結石を溶かすための療法食代が6,000〜8,000円かかります。

抗生剤の費用に関しては、お薬を飲ませられる猫ちゃんであれば費用は比較的安価で済みます。 触ることが出来ないなどの理由で投薬が難しい場合は注射による治療に置き換わることや、受診が難しい場合の持続効果のある抗生剤注射により、来院頻度を低くするなどの方法に代替した場合、内服治療よりも費用は高くなる可能性があります。

シュウ酸カルシウム結石など療法食で溶けない結石であれば、手術での摘出が必要です。 また、オス猫で尿道に結石が詰まり尿路閉塞(尿閉)を起こしている場合には、カテーテルによる尿閉解除処置や点滴、抗生剤の投与、内服が処方されるため、1万円以上の診療費がかかります。

加えて、再発しないための療法食代も必要です。 病院によって治療方針は異なるため、事前に治療計画とともに予定される費用を確認してください。

※診療費はあくまで参考であり、平均や水準を示すものではありません。診療費は動物病院によって異なります。

どうやって予防したらいいの?

猫の尿路結石症は、食事や生活環境などを工夫することで、ある程度予防をできます。

食事管理をする

猫の尿路結石は食事の影響を受けやすいため、完治した後も食事管理を続けることが大切です。尿路結石の種類によって食事の内容が異なってくるため、獣医師の指示に従うようにしてください。

また、せっかく尿路結石症用の療法食を与えていても、飼い主さんの自己判断で猫におやつやトッピングを与えてしまうと意味がなくなってしまいます。どうしても療法食以外のものも与えたい場合は、獣医師に相談するようにしてください。

水を飲む量を増やす

猫の水飲み場の数を増やす、適度に運動をする、冬場は食事にウェットフードを取り入れるといった工夫をして、水を飲む量を増やしておしっこを薄めるようにしましょう。

おしっこを我慢させない

猫は神経質な部分があるため、トイレは常に清潔に保つ、猫1匹に対してトイレの数を2個以上用意する、落ち着いておしっこができる場所にトイレを置くといった工夫をして、おしっこを我慢させないようにしてください。

体重管理をする

猫は太ってしまうと運動不足になったり、トイレに行く頻度が減ってしまったりするので、特にオスでは尿道閉塞を起こしやすくなります。そのため、適度な運動を心がけたり、尿路結石症のケアをしながら体重管理もできるようなフードを与えたりして、猫が肥満にならないように注意しましょう。

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