事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 悪性リンパ腫、下痢ほか 約55万円
2 僧帽弁閉鎖不全症、アロペシアX 約45万円
3 椎間板ヘルニア、進行性脊髄軟化症 約45万円
4 両膝蓋骨脱臼、右膝靱帯損傷 約45万円
5 尿管結石、腎機能低下 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
3.73

※2020年8月1日~2020年8月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2020年12月 2日

平均的なお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的なお支払い事例としてペットの子宮蓄膿症の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 子宮蓄膿症 38,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の悪性リンパ腫」を獣医師が解説

2020年8月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の悪性リンパ腫」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

悪性リンパ腫とは、どんな病気なのか

血液中には、酸素を運ぶ赤血球、出血の際に血液を固める血小板、免疫を司る白血球が存在します。悪性リンパ腫とは、白血球の一種であるリンパ系細胞が、がん化してしまう病気です。ここではわかりやすいようにあえて悪性リンパ腫と記載していますが、良性のリンパ腫というものはなく、リンパ腫は残念ながらすべて悪性腫瘍(=がん)です。なぜ、リンパ系細胞が、がん化してリンパ腫が発生してしまうのかは、はっきりとはわかっていませんが、ある種の環境(除草剤をよく使用する、磁場が強いなど)が関与している可能性も報告されています。

リンパ系細胞は、体中に存在するため、いろいろな場所にリンパ腫が発生しますが、犬で発生するリンパ腫のほとんどは全身のリンパ節が腫脹するタイプの「多中心型」と言われるものです。

リンパ腫はアメリカではゴールデン・レトリーバーが好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)として挙げられますが、成犬であれば性別を問わずどの犬種にも発生し、特に6~8歳くらいで発生することが多いとされています。

犬の悪性リンパ腫について詳しく

事例の犬の悪性リンパ腫の通院日数、入院日数、手術回数について

種類
傷病名 悪性リンパ腫(継続治療)
通院日数 7日
入院日数 37日
手術回数 0回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の悪性リンパ腫の診療内容

※下記の診察内容は、犬の悪性リンパ腫の一般的な診療内容についての記述になり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。犬のリンパ腫のほとんどを占める「多中心型」では、多くの場合、リンパ節の腫れという症状以外は普段と変わりません。胸腔内にリンパ腫が発生する「縦郭型」では、咳や呼吸困難などの呼吸器症状が、胃や腸にリンパ腫が発生する「消化器型」では、食欲不振や下痢嘔吐などの消化器症状が起こります。そのほか、皮膚や鼻腔内にリンパ種が発生するケースもあり、それぞれ、皮膚病変(赤み、潰瘍、かさぶたなど)が出現したり、くしゃみや鼻水が増えたり鼻血が出たりします。

触診

リンパ節は体中に存在しますが、そのいくつかは皮膚の下のすぐに触れる位置(顎の下、脇の下、後肢の付け根、膝の裏など)にあります。それらのリンパ節を触診し、腫れの有無を確認して大きさを測ります。

血液検査

採血をして、貧血の有無、各臓器への影響の有無などを確認します。また、リンパ腫は症状が進むと血液中にもがん化したリンパ系細胞が出現することがあるため、その確認も行います。

画像検査

レントゲン検査や超音波検査により、リンパ腫の拡がり具合を確認します。また、「多中心型」以外のリンパ腫(縦郭型、消化器型、その他)を確認できます。

細胞診、病理検査

腫大が見られるリンパ節に細い針を刺し、中の細胞を少し取ってきて顕微鏡で確認します。それにより、リンパ腫なのか、それ以外の原因(炎症、過形成など)で腫れているのかを鑑別します。リンパ腫と判断できた場合は、さらに悪性度の高さを確認します。

細い針を刺しただけでは確認が難しい場合は、麻酔をかけて、リンパ節の一部を切り取ったり、リンパ節ごと切除したりして細胞を調べる病理検査を行います。

遺伝子検査(PCR検査)

リンパ節などから採取した細胞を遺伝子検査することにより、リンパ腫のさらに詳しい情報を得ます。リンパ球には、T細胞という細胞由来のものと、B細胞という細胞由来のものがあり、どちらの型かによって、予後が異なります。また、治療に使用する薬が変わることもあります。

骨髄検査

リンパ腫の骨髄への転移が疑われる際には、麻酔をかけて、骨髄に針を刺して髄液を採取し検査を行います。

治療法

治療方法は、リンパ腫の進み具合、悪性度の高さ、T細胞型かB細胞型か、などによって変わってきますが、一般的に化学療法(抗がん剤)が選択されます。化学療法は数種類の薬を組み合わせて行い、通院治療となりますが、状況に応じては、入院治療が必要となることもあります。治療は、週に1度の抗がん剤の注射と毎日の内服が主です。

抗がん剤の注射はワクチンとは異なり静脈内に注射をすることや、注射の前に血液検査で血球数を確認することなどから、通院治療の場合でも多くが数時間~半日ほど病院に預けることになります。この週に1度の注射と毎日の内服をまずは4週間行い、寛解(がん化したリンパ球が消失し見つからなくなること)したと判断できた場合は、注射の頻度が少なくなりますが、半年ほどは化学療法による治療が続きます。

悪性度が低く、リンパ節腫大以外に症状が何もない場合には、治療をせずに経過を観察することもあります。

予後

リンパ腫は、多くの場合、生命にかかわる重篤な病気であり、化学療法を行わない場合は1か月以内に命を落とすことが多いのです。化学療法を行った場合、病状によりますが、平均的な生存期間は1年ほどです。また、悪性度が低く、治療をせずに長期生存するケースもあります。

まとめ

リンパ腫は、犬の悪性腫瘍の中でも多く見られる病気です。犬のリンパ腫のほとんどは全身のリンパ節が腫れるタイプのものであり、外から触って確認できる腫瘍です。そのため、日ごろのブラッシングやスキンシップの際に犬の首、脇、膝裏なども意識して触れるようにすることで、早期発見が可能になります。

がんですので、治療後も楽観視はできませんが、適切な治療を受けることで一緒に暮らす時間を増やすことができます。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓蒙、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。