事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 肝臓腫瘍、変性性脊髄症 約60万円
2 前十字靭帯断裂、膿皮症ほか 約60万円
3 僧帽弁閉鎖不全症、肝数値異常ほか 約50万円
4 胆嚢疾患(巨大胆嚢)、皮膚疾患 約40万円
5 急性膵炎、幽門狭窄 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
9.89

※2020年12月1日~2020年12月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2021年 4月15日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの異物誤飲の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 異物誤飲 23,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の肝臓腫瘍」を獣医師が解説

2020年12月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の肝臓腫瘍」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

肝臓腫瘍とは、どんな病気なのか

腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものを「がん」と呼びます。肝臓にできる腫瘍にも良性と悪性があります。また、肝臓にできる悪性腫瘍(がん)には、「原発性肝臓がん」と「転移性肝臓がん」があります。原発性肝臓がんは、肝臓の細胞(肝細胞、胆管細胞、神経内分泌細胞など)ががん化したもので、がん細胞の発生源は肝臓です。一方、転移性肝臓がんは、肝臓以外の場所でできたがん病巣から、がん化した細胞が血管やリンパ管に入り込み、肝臓に運ばれ、肝臓にも病巣を作るものです。

今回は、肝臓にできる腫瘍の中から原発性の悪性腫瘍(がん)に焦点をあててお伝えします。

人では、ウイルスやアルコールによる肝炎などから肝硬変が起こり、肝臓の細胞ががん化することが多いようですが、犬では、肝臓の細胞ががん化してしまう理由はわかっていません。また、原発性の肝臓がんでは、好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)は知られていません。しかし、発生年齢は、11歳前後からで、高齢であることが知られています。

事例の犬の肝臓腫瘍の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 肝臓腫瘍、変性性脊髄症
通院日数 20日
入院日数 18日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求された肝臓腫瘍と変性性脊髄症の診療を合わせたものであり、ペットメディカルサポートが補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の肝臓腫瘍(がん)の診療内容

※下記の診察内容については、犬の肝臓腫瘍(がん)の一般的な診療内容についての記述になり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

どの細胞ががん化したか、がんの大きさや広がり方などにより症状が異なります。特異的な症状が出ないこともありますが、症状がある場合は、飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子などを伺います。

がんが大きく、胃や腸を圧迫するような場合は、腹部が腫れたり、食欲不振や下痢嘔吐などの消化器症状が起こったりします。また、肝臓の機能低下が起こっている場合は、黄疸(おうだん)と言い、皮膚や粘膜が黄色くなる症状が生じることもあります。

血液検査

採血により、肝臓の細胞がどれくらいダメージを受けているかを確認します。特異的な症状が出ていない肝臓がんは、健康診断で血液検査を行った際に肝酵素(肝臓の細胞に多く含まれる酵素)の異常値により発見されることもあります。

画像検査

レントゲン検査や超音波検査、CT検査により、肝臓がんの状態(単一の塊として確認できるのか、全体的に広がっているのかなど)を確認します。また、ほかの臓器やリンパ節への浸潤(周囲に広がっていくこと)や転移についても確認します。

細胞診、病理検査

肝臓の病巣に細い針を刺し、中の細胞を少し取って顕微鏡で確認します。それにより、良性なのか悪性(がん)なのか、また、悪性(がん)の場合には、肝臓のどの細胞(肝細胞、胆管細胞、神経内分泌細胞など)ががん化しているのかを鑑別します。細い針を刺しただけでは確認が難しい場合、最終的な診断は外科切除後の病理検査の結果から行います。

治療法

肝臓がんの一番の治療法は外科治療ですが、ほかの臓器やリンパ節に浸潤、転移している場合や、肝臓全体にがんが広がっている場合では外科治療を選択できないため、内科治療を行うことになります。

内科治療

効果的な治療法はなく、対症療法を行います。

外科治療

肝臓の病巣部を切除します。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、全身麻酔を安全に行えるのかを確認する必要があり、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

予後

肝臓がんが単一の塊であり、適切に切除できた場合の予後は良好です。一方で、多臓器への転移が生じていたり、がんが肝臓全体に広がっていたりするようなタイプでは外科治療が行えず、効果的な内科治療の方法もないため、残念ながら予後は不良となります。

まとめ

犬の原発性肝臓がんについて記載しましたが、犬の肝臓腫瘍は良性も多く存在します。もし、健康診断で肝臓に腫瘍が見つかったら、その腫瘍がどんな細胞でできているのか、良性なのか悪性なのかをしっかり確認することが大切です。

良性で症状が何もない場合は積極的な治療は必要ありませんが、悪性で手術適応の場合は、外科治療が第一選択となりますので、かかりつけの先生やご家族とよく話し合って治療に臨みましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。