事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 僧帽弁閉鎖不全症 約60万円
2 急性膵炎 約60万円
3 肺気胸、膀胱癌、膵炎 約55万円
4 LGLリンパ腫、脾臓腫瘤 約45万円
5 尿路結石、免疫介在性溶結性貧血 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
13.68

※2022年11月1日~2022年11月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2023年3月8日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの大腸炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 大腸炎 約20,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の急性膵炎」を獣医師が解説

2022年11月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の急性膵炎」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

急性膵炎とは、どんな病気なのか

膵炎(すいえん)とは、膵臓に炎症が起こる疾患で、急性膵炎と慢性膵炎に区別されます。慢性膵炎は少しずつ炎症が起こり、膵臓の機能が低下する病気です。急性膵炎は膵臓の消化酵素が突然活性化し炎症が引き起こされるため、激しい腹痛、嘔吐(おうと)、下痢などが生じます。

急性膵炎を発症する原因は、人の場合はアルコールと胆石ですが、犬の場合ははっきりとわかっていません。

急性膵炎を引き起こす危険因子には、食事(高脂肪食、犬に適していない食事)、薬(カルシウム製剤、一部の抗がん剤など)、内分泌疾患(クッシング症候群、糖尿病、甲状腺機能低下症)、そのほかにも肥満、高トリグリセリド血症、高カルシウム血症などが知られています。

また、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリアを始めとするテリア種などが好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)です。

事例の犬の急性膵炎の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 急性膵炎
通院日数 0日
入院日数 31日
手術回数 0回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

症状が軽く必要な量の食事を早く食べ始めることができるケースでは入院日数は短くなります。

犬の急性膵炎の診療内容

※下記の内容は、犬の急性膵炎の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。急性膵炎では腹痛を訴える場合が多く、腹部が床に着かないようにフセの状態でお尻を持ち上げる「祈りのポーズ」がよく見られます。

血液検査

採血をして、血中のCRP値(炎症や細胞・組織の破壊によって増加するたんぱく質の量)や膵特異的リパーゼ値(膵臓が分泌する消化酵素の量)を測定します。また、一般的な項目も確認し、ほかの疾患と鑑別します。

画像検査

レントゲン検査で膵炎を診断するのは難しいものの、ほかの疾患と鑑別するために撮影します。また、超音波を使って膵臓の状態を観察し病変部を確認します。超音波検査で異常がなくても膵炎が起こっていたり、消化管ガスにより膵臓が見えづらかったりする場合もあります。

病理検査

膵臓を直接肉眼で観察したり、生検(組織を一部採取して検査)をしたりする方法は診断にとても有用です。しかし、試験開腹や腹腔鏡(ふくくうきょう)での手術が必要になるため、体への負担や麻酔のリスクなどを考慮してあまり実施されません。実施する際は、全身麻酔を安全に行うために、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

治療法

入院管理によりすぐに治療を行う必要があります。

治療の主軸は、輸液治療、痛みの管理、嘔吐の管理、栄養管理の内科治療です。以前は絶食が勧められていましたが、今では腹痛や嘔吐が止まったらできるだけ早いタイミングで消化管から栄養をとる方法が推奨されています。また、膵臓から分泌される消化酵素を抑えるために、食事は低脂肪食に切り替えます。

食欲が戻らず口から食べさせるのが困難な場合は、鼻や食道などにカテーテルを設置し、チューブを通して栄養を与えるケースもあります。経鼻カテーテルは麻酔なしでの設置が可能ですが、食道カテーテルは全身麻酔が必要です。

予後

急性膵炎の死亡率は決して低くなく、早期に治療せずに重症化すると非常に危険です。また、早期の入院管理により症状が治まって退院できた後も、膵炎の再発予防のために低脂肪食を長期間続ける必要があります。

まとめ

急性膵炎を重症化させないためには、早期の治療がとても重要です。嘔吐や下痢は珍しい症状ではありませんが、連続して見られたり、食欲不振が続いていたり、腹痛を訴えたりする際は、決して様子を見ずにすぐに動物病院を受診して適切な治療を受けてください。また、膵炎のリスクを軽減するために、日々の食事が愛犬にとって適切な栄養バランスか見直してみましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。