事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 前十字靭帯断裂、肺の乳頭腺癌 約50万円
2 胆嚢炎・肝炎疑い 約45万円
3 左橈尺骨骨折、下痢など 約45万円
4 リンパ腫、心疾患など 約45万円
5 悪性腫瘍、胃腸炎など 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
13.7

※2023年1月1日~2023年1月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2023年5月25日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの誤飲、胃腸炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 誤飲、胃腸炎 約28,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の肺の乳頭腺癌」を獣医師が解説

2023年1月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の肺の乳頭腺癌」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

肺の乳頭腺癌とは、どんな病気なのか

腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものを「がん」と呼びます。肺にできる腫瘍にも良性と悪性があります。また、肺にできる悪性腫瘍(がん)には、「原発性肺がん」と「転移性肺がん」があります。

原発性肺がんは、肺の細胞ががん化したもので、がん細胞の発生源は肺であり、人に比べ犬や猫での発生率は非常に低いことが知られています。一方、転移性肺がんは、肺以外の場所でできたがん病巣から、がん化した細胞が血管やリンパ管に入り込んで肺に運ばれ、肺にも病巣を作るものです。皮膚がん、乳腺がん、骨肉腫など多くのがんから肺への転移が起こります。

今回は、肺にできる腫瘍の中から原発性の悪性腫瘍(がん)のひとつである乳頭(状)腺癌に焦点を当ててお伝えします。

肺にできる腺癌(肺腺癌)は原発性肺がんの中で大部分を占めます。肺腺癌の分類のひとつに乳頭(状)腺癌があり、がん細胞が乳頭状に積み重なって増殖するという病理学的な特徴を示します。

好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)は知られていませんが、発生年齢は高齢であることが知られています。

事例の犬の肺の乳頭腺癌ほかの通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 肺の乳頭腺癌、前十字靭帯断裂
通院日数 6日
入院日数 11日
手術回数 2回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の肺の乳頭腺癌の診療内容

※下記の内容は、犬の肺の乳頭腺癌の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、聴診

原発性肺腺癌では、多くの場合、初期には症状が見られず、腫瘍が大きくなってくると、咳や呼吸困難、体重減少などの症状が起こります。また、肺がんは腫瘍随伴症候群(しゅようずいはんしょうこうぐん)※が起こりやすいことが知られており、跛行(はこう:足を引きずるように歩くこと)や発熱などが認められるケースがあります。症状がある場合は、飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子などを伺います。

※腫瘍随伴症候群
腫瘍から離れた場所で起こる症状で、転移とは異なります。腫瘍から産生される物質や体の免疫反応が関与していると考えられていますが、詳しいメカニズムはわかっていません。

画像検査

胸部レントゲン検査が有効です。健康診断の際に偶然見つかることもあります。CT検査により、ほかの臓器やリンパ節への浸潤(周囲に広がっていくこと)や転移について確認する場合もあります。

血液検査

採血により、全身の健康状態を確認します。

細胞診、病理検査

病巣に細い針を刺し、中の細胞を少し取って顕微鏡で確認します。それにより、良性なのか悪性(がん)なのか、また、悪性(がん)の場合には、どの細胞ががん化しているのかを鑑別します。しかし、肺や血管を傷つけるリスクがあるうえに診断がつかないケースが多いため、外科手術時に病理検査を行うこともあります。

また、胸水が貯留していれば、状況によっては胸水を抜いて検査します。

治療法

肺の乳頭(状)腺癌の一番の治療法は外科治療です。その適応判断は、腫瘍の大きさ、ほかの臓器やリンパ節に浸潤や転移をしているか、などを考慮します。外科治療を選択できない場合、内科治療を行います。

内科治療

外科治療に代わる効果的な治療法は確立されていませんが、抗がん剤などが使用されます。

外科治療

肺の病巣部を切除します。肺は複数の肺葉(はいよう)に分かれており、腫瘍がある肺葉ごと切除する場合もあります。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、全身麻酔を安全に行えるのかを確認する必要があり、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

予後

肺の乳頭(状)腺癌が外科手術で完全に切除できた場合の予後は良好です。一方で、多臓器やリンパへの転移が生じていたり、完全切除が行えなかったりするような場合は、残念ながら予後は不良となります。また、腫瘍随伴症候群が認められるか否かも予後に関与していると考えられ、認められないほうが、予後が良いとされています。

まとめ

原発性の肺腫瘍は犬では珍しく、肺の乳頭(状)腺癌を患うリスクは高くありません。しかし、愛犬に肺の乳頭(状)腺癌ができてしまった場合は外科手術が必須となります。愛犬がシニア期に入ったら、健康診断に胸のレントゲン検査を加え、早期発見ができるようにすると安心です。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。