猫の慢性腎不全の症状と原因、治療法について
- 猫の慢性腎不全ってどんな病気?
- どうして症状が出るの? 原因は?
- どんな猫が慢性腎不全にかかりやすいの?
- 猫の慢性腎不全の症状とチェック項目
- 猫の慢性腎不全の治療にはどんな方法があるの?
- どうやって予防したらいいの?
猫の慢性腎不全ってどんな病気?
慢性腎不全とは、長い年月をかけて腎臓の機能が徐々に低下する病気です。
症状が表面化している場合は、病気がかなり進行していると言えます。
病気が進行しても、猫には食欲も元気もあり、腎臓の機能が2/3くらい失われないと症状が現れないため、早期発見が難しい病気です。
腎臓の主な役割として次のものが挙げられます。
1.老廃物の排泄
腎臓は、体内の老廃物をこしとり、尿を生成します。
2.体内の水分と電解質の調整
腎臓は体内の水分やナトリウム、カルシウム、カリウム、リンなどの電解質の調整も行います。
しかし、腎機能が低下、あるいは機能不全になると、これらの調整がうまくできず、必要以上に水分を尿として排出してしまいます。
そのため、猫はのどが渇くようになり、たくさんの水を飲むようになってしまうのです。
3.造血ホルモンの分泌
腎臓は、エリスロポエチンという造血ホルモンを作り出します。
腎機能が低下すると、貧血になります。
4.血圧の調整
腎臓では、血圧を情報させるレニンというホルモンを作り出し、血圧の調整を行います。
腎臓の働きが悪くなると、余分な電解質と水分の排出ができなくなり、血液量が増加し、血圧が上昇します。
血圧が上昇すると腎臓の負担が増え、ますます腎臓の機能を低下させてしまう悪循環となってしまいます。
どうして症状が出るの? 原因は?
猫の場合は、加齢による腎機能の低下が主とされています。
それ以外の原因として、次のようなものが挙げられます。
どんな猫が慢性腎不全にかかりやすいの?
6歳以上の猫に多く見られ、ヒマラヤン、ペルシャ、ロシアンブルーなどは遺伝的に腎臓に障害を持つ猫もいるといわれています。
猫の慢性腎不全の症状とチェック項目
最初は、無症状です。
次第に、多飲多尿になり、また、おしっこの成分が薄くなるので、匂いがあまりしなくなります。
この状態になっても食欲が落ちたり、元気がなくなったりといったことは見られませんが、この症状が見られる段階で、腎臓の機能の約60%が失われていると言われています。
病気が進行すると、食欲不振、体重減少になり、栄養不足から毛艶がなくなるといった症状が少しずつ見られるようになります。
さらに、症状が進むと尿毒症になり、次のような症状が現れます。
- 多量のよだれ
- 激しい嘔吐
- 下痢
- 口からアンモニア臭
- 体温低下
- ふらつく
- 貧血
- 寝てばかりになる
など
猫の慢性腎不全の治療にはどんな方法があるの?
腎臓の組織は再生しないので、一度失われると元に戻すことはできませんので、完治することはありません。
そのため、猫の慢性腎不全の治療では、いかに現存する腎臓の組織を維持し、病気の進行を遅らせるかが非常に大切です。
これらを行うために、主に内科的治療と食事療法が採られます。
内科的療法としては、猫の体内から毒素や老廃物を排出させるために輸液や、症状に合わせて投薬が行われます。
一方、食餌療法としては、猫の腎臓に負担をかけない低タンパク質・低ナトリウムのフードを与えます。
初期の段階から食事療法を行えば完治しなくとも長生きすることはあり得ます。
なお、人間の腎臓病患者に対しては、人工透析や腎臓移植がありますが、猫の場合も一部の動物病院や大学病院などで行っています。
しかし、高額な医療費がかかるため継続が難しく、施設やドナー猫の少なさから、現実的な選択肢としては言いがたい状況です。
どうやって予防したらいいの?
塩分の濃い物、ミネラルや脂肪分の多い物は猫の意腎臓に負担をかけますので、これらを若いころから控え、バランスのいい食事を取らせるようにしましょう。
また、水を飲まないことも腎臓に負担をかけることになるので、猫がいつでも新鮮な水を飲めるように、水飲み場を一か所だけにせず、複数用意するといった工夫をしましょう。
このほか、細菌やウイルス感染による腎臓病を発症させないように、抑えられるウイルスは、ワクチン接種で予防しましょう。
肥満は免疫力を低下させますので、猫が肥満にならないように注意しましょう。
最後に、定期的な健康診断と、日ごろから愛猫をよく観察し、特におしっこの量や匂いについて気になることがあれば、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
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