猫の誤飲に注意したいもの

最終更新日:2024年09月10日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

猫の誤飲に注意したいもの

誤飲は猫よりは犬の方が発生頻度としては多いですが、猫の誤飲はペットメディカルサポートのペット保険「PS保険」の保険金請求でも少なくありません。

誤飲してしまいますと、場合によっては開腹手術を伴いますので高額支払いになることもあります。

ここでは日常的にねこちゃんが誤飲しやすいものについて紹介いたします。

糸やひもなどの細長いもの

ひもや糸などのひも状異物は誤飲すると非常に危険です。

ひも状異物により腸閉塞を起こすと、ひもに腸が引きつられることでアコーディオン状に腸が折りたたまれていきます。

ひも状の異物が腸に流れて腸閉塞などを起こした際は嘔吐や食欲低下、動かずにぐったりしているなどの症状がみられるようになります。

これらの症状がでている場合の緊急性はとても高く、また時間が経てば経つほど症状は悪くなり、最悪の場合は命を落とします。

処置方法はひもの長さや素材、ひもがある場所などによって異なりますが、ひもが胃の中にある場合は嘔吐処置や内視鏡手術などを行います。

すでに腸内にまで入っている場合は開腹手術での処置が一般的となります。

獣医さんと相談してその時の状況にあったベストの処置方法を行います。

稀に口やお尻からひもが見えていることがあったとしても決して引っ張らないでそのまま動物病院に連れて行きましょう。

前述しているように、ひも状のものは腸内や食道などの臓器に張り付いていることがあるので引っ張ることで腸や内臓がよじれたり、傷ついてしまったりすることもあります。

また、糸の先に針がある場合は針によって内臓を傷つけてしまう危険性もあり、症状の悪化を引き起こしてしまいます。

ひも状のものはリボンや縫い糸、釣り糸、猫のおもちゃのひもなど様々な種類が存在します。

飲み込んでしまうのは遊び盛りの幼年期から若齢期の猫に多く、飼い主さんがちょっと目を離した隙に起こります。

予想以上に太い靴ひもなどを飲み込んでしまっていたという話もあります。

よく遊んでいるひも状のものが見当たらなかったら誤飲をうたがってもいいかもしれません。

また、腸に到達する前に吐き出させる処置ができる場合もあるので、誤食の疑いがあったら様子を見ずにすぐに受診するよう心がけましょう。

針や魚の骨、つまようじなどの鋭利なもの

針などの鋭利なものの誤飲も多いです。

見た目のとおり鋭利になので先が口腔内や消化器官の中を傷ついたり刺さったりしてしまう危険性があります。

また、縫い針や釣り針でひもがついている場合は危険度がさらにあがります。

針や魚の小骨のみですとどこにあるのかどういう状態なのかで症状がでない場合もありますし、そのまま何事もなく排泄される場合もあります。

しかし、素人目でそれを判断はできませんのでまずは動物病院に連れて行ってあげましょう。

針などの場合はレントゲンに写りますのでまずはレントゲンで針がどこにあるのかを確認し処置方法を獣医師が判断します。

処置方法は基本的には嘔吐処置や内視鏡手術、開腹手術があります。

口をあけて針が見える場合は鎮静剤を投与しそのまま鉗子で取り出すこともあります。

特に症状がない場合は無理に手術をせずに自然排出を待つという場合もあります。

処置方法については状況によって獣医師の診断が異なりますので、もしも誤飲をしてしまった場合は獣医師と相談して猫に一番負担なく治療できる方法を相談するといいでしょう。

針などは一見誤飲しなさそうではありますが、ひもがついていたり、釣り針であればルアーがついていたりおもちゃとして遊んでいた際に発生してしまうことが多く、まさかうちの子がという人がほとんどです。

また、つまようじや竹串などはお肉のいい匂いがついていたりすると口にしてしまうことがあります。

「こんな大きいもの食べないだろう」と過信せずにきちんと猫の手の届かないところに置くように心がけましょう

ウレタンやスポンジ、ビニールなどの素材

ウレタンやスポンジ、ビニールなどの素材

案外多いのがウレタンやスポンジなどの素材の誤飲です。

これらは大きいので誤飲なんかしないと思う方もいるとおもいますが、ウレタン素材のジョイントマットなどは噛みちぎることができます。

また、猫はウレタン素材の噛み心地が好きな子が多くジョイント部分は噛みやすいため飲み込んでしまうことが多いです。スポンジも同様に噛み千切ることは容易です。

また、胃の中で胃液を吸収して膨らんでしまいますので小さい欠片でも注意が必要です。

ビニールはシャカシャカ音がしたり、形が変わったりして、猫にとっては楽しいおもちゃになります。遊んでいるうちに誤飲してしまうことが多いです。

食べてしまったのが少量であればそのまま自然と排出されますが、腸などに詰まると腸閉塞を起こし、嘔吐や食欲減退、血便、元気消失などの症状がおこります。腸で詰まってしまう場合は命にかかわるのですぐに病院に連れて行ってあげましょう。

小さいお子様がいるご家庭ではウレタン素材のジョイントマットを敷いているご家庭も多いと思います。

猫がすこしでもかじっているのをみかけたらテープで補強して噛むのを防止するなどの対策をすることをお勧めします。

タバコ

普段室内でタバコを吸っている家庭もあるかもしれません。

タバコの危険性は主に2つあります。

まず1つは日常的に煙を吸うことです。

副流煙がよくないという言葉を耳にしたことがある人は多いと思うのですが、もちろん副流煙は猫にとっても良くありません。

アメリカの研究機関の調べでは、家庭内で副流煙を吸って生活している猫は煙のないところで生活している猫と比較して悪性リンパ腫のリスクが上昇するといわれています。

2つめは猫が「三次喫煙」の危険にさらされるということです。「三次喫煙」とはタバコの煙の成分が衣服や絨毯などに付着して、その有害とされる残留物が再び直接・間接的に被害をもたらすというものをいいます。

猫は本能としてグルーミングを行うことから、タバコの煙が付着した衣服で抱っこされるなどで毛皮についた有害物質をなめて体内に摂取する可能性が高いと考えることができるでしょう。

猫がタバコを誤飲する

基本的にタバコの匂いは嫌いな猫が多いのですが、タバコに対して抵抗のない猫もいますし、タバコの灰をなめたりかじったりしてしまう猫もいます。

フィルター部分が落ちていて、おもちゃと間違えて遊んでいるうちに食べてしまう場合もあるため注意が必要です。

タバコ中毒はタバコに含まれているニコチンによって中毒が発症します。

危険!タバコを浸けた水

タバコを食べることも危険ですが、タバコを浸けた水を口にすることも危険です。

タバコは水に浸かるとニコチンが溶けだしてしまうので危険度が高くなります。

水に溶けたニコチンは吸収が早くなることから症状が出やすいので注意が必要です。

タバコを摂取した時の症状

主に震え、流延、嘔吐、下痢などの症状が誤飲後1時間以内に現れる可能性が高いです。

そのため誤飲したら可能な限り早急に動物病院に連れて行きましょう。

なお、ニコチンは水に溶けやすいという性質があることから水やミルクなどを飲ませてしまうと水分でニコチンが溶けてしまい、より吸収しやすくなってしまうため何も与えない状態で受診する必要があります。

また、自宅で吐かせようとすることは症状をより悪化させてしまう危険性が高いため行ってはいけません。

洗剤

洗剤を誤飲してしまう猫はすくなくありません。

洗剤は人間でも嘔吐や下痢などの中毒症状を起こすことがあります。

洗剤といっても食器用洗剤や洗濯用洗剤だったり、状態も液体、粉末だったりと様々です。

基本的には洗剤は様々な物質が含有されているためどんなものであっても注意が必要です。

洗剤を直接のむことはあまりないと思いますが、猫に洗剤がかかってしまたり、洗剤がこぼれたところを歩いた後にグルーミングをして口にいれてしまうこともあります。

症状

主に震え、流延、嘔吐、下痢、痙攣などの症状が誤飲後10分〜1時間以内に現れる可能性が高いです。

そのため誤飲したら可能な限り早急に動物病院に連れて行きましょう。

なお、どの種類の洗剤を猫が口に入れてしまったのかや口に入れてからの経過時間などの情報を具体的に獣医師に伝えることで病院での処置がスムーズに行える場合があります。

また、自宅で吐かせようとすることは症状をより悪化させてしまう危険性が高いため行ってはいけません。

猫は流れる水が好きな子もいるのでお風呂掃除の最中などは要注意です。

さらに猫は器用ですので前脚をつかって上手に戸棚を開ける子もいるので開封防止ストッパーなどをつけることをおすすめします。

口に入れてしまった時の対応

これらのものを猫が口にすることはあまりないとおもいますが、万が一口にしてしまった場合は口にしてしまった量によって異なります。

手ついてしまった薄めた洗剤をなめてしまった、タバコの灰をちょっとなめた程度であったら様子をみても大丈夫でしょう。

不安でしたらかかりつけの獣医師に電話で相談してみましょう。

しかし、何かしら症状がでたらすぐに病院に連れて行ってあげる準備はしておきましょう。

これらのものは口にするというよりも日常的に飼い主が気を付けることが大切になってきます。

自分の嗜好品を我慢するのはつらいですが、動物を飼った以上命を預かっているので猫のいるところでは我慢するなどのメリハリをつけて頂ければとおもいます。

その他、猫の誤飲事故につながるもの

猫の誤飲は他にもおもちゃやヘアゴムなど様々あります。

もともと、猫は興味のあるものを口に入れて、噛み心地や味、硬さを確かめ、食べるものなのか遊べるものなのかなどを確かめています。

口で感じた感覚は、猫にとって大事で、それが食べられなければ、基本的には口に入れることをやめます。

しかし、噛み心地や音、感触が気に入ったり、楽しいと猫が感じたりすればやめずに噛み続け、最終的に噛みちぎったかけら誤飲してしまうことがあります。

ほかにも寄生虫がいたり、消火器系に何かしら病気があったり、栄養不足やストレスなどが原因でビニールなどを噛みちぎったりする異食行動を行う猫はいます。

バーミーズやシャムはウールサッキングと呼ばれる繊維質のものを食べてしますという症状がみられる子が多いといわれています。

こういった行動が多く心配という場合は獣医さんに相談してみるのもいいでしょう。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。