猫の歯磨き
最終更新日:2024年08月06日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

歯磨きは人間なら毎日行うあたりまえのケアになります。
では猫ではどうでしょう?
野生の動物は歯磨きという文化はありませんが、野生の猫もといネコ科の動物は肉食のため、あまり咀嚼をせず飲み込みますし、野生の動物は肉を噛みちぎるような食生活のため食べかすがあまり歯間に溜まらない、つまり歯垢がたまりにくいといわれています。
しかし、人に飼われている猫の場合、ウェットフードやドライフード、おやつなどの食べやすいサイズのものや軟いものを食べていますので、歯垢がたまりやすくなってしまいます。
- 猫の歯磨きの目的は「歯周病の予防」
- 猫の歯と人間の歯は形状・役割が違う
- 猫の歯磨きのポイント「最初に慣れさせる」
- 猫の歯をブラッシングする
- 猫の歯ブラシの頻度はどのくらいが適正?
- 歯ブラシができない時の対処法
猫の歯磨きの目的は「歯周病の予防」
歯垢がたまると歯石になり歯周病になります。
猫には虫歯菌がいないので虫歯(齲歯)になることはほとんどないのですが、歯周病は近頃身近になってきています。
歯周病を予防するのに大切なので日々の歯磨きになります。
今回は猫の歯磨きについて紹介します。
猫の歯と人間の歯は形状・役割が違う
まずは猫の口腔内について紹介します。
まず、猫には乳歯と永久歯があります。
生まれた直後には歯は生えていませんが、生後2週目ほどで歯が生え始め、約一ヶ月過ぎ位で乳歯が生えそろいます。
乳歯は全部で26本あります。その後7-8ヶ月ごろには永久歯に生えそろい、30本になります。
猫の歯には門歯、犬歯、臼歯の3種類があり、それぞれ役割が異なります。
門歯は人でいうところの切歯(前歯)になり、上下左右で3本ずつ生えています。
門歯は元々捕まえた獲物の被毛は羽毛を毟るために使用される歯のため飼い猫はほとんど使用されません。
犬歯は上下左右に1本生えています。犬歯はいわゆる牙で獲物にとどめを刺す時に使用される歯です。
臼歯は乳歯では上に6本、下に4本生えていますが永久ではさらに後臼歯が4本増えます。
臼歯はいわゆる奥歯で小さく山のようになっており、食べ物をかみ切るのに使われます。
また、一番歯石がたまりやすいのは上顎の臼歯になります。
このように猫と人では歯の形状が違います。
また、猫は肉食動物のため、唾液の成分が人とは異なり、唾液にアミラーゼが含まれていません。
これにより糖が口の中に溜まりにくいため、虫歯菌がほぼいないといわれています。
しかし、猫の口腔内はアルカリ性のため歯垢が歯石になりやすく、人より歯周病になりやすいといわれています。
猫の歯磨きのポイント「最初に慣れさせる」
猫の口の周りを触るのは簡単なことではありません。
猫の顎の力は約100㎏といわれています。本気を出されたら手に穴が開くことも容易です。
嫌がる猫や慣れてない猫に無理やり行うことはしないようにしましょう。
一番大切なのは慣らせることです。
そのため子猫のうちから慣らしておくことが理想です。
永久歯が生えそろう前に慣れさせてしまうことをおすすめします。
初めから歯ブラシで歯磨きするのは猫がびっくりしてしまいますので、まずは口の周りを触るのを自然なことと認識させます。遊んでいてじゃれている時や「なでなで」タイムの最中に口の周りを触ったりして、口の周りを触られるのに慣らせます。
容易に口の周りに触れるようになったら、口をそっとあけて歯をさわれるようになりましょう。
これができるようになったらまずはカーゼ状や紙状の歯ブラシや指サック歯ブラシを使用してみます。
指に巻いて口の中にそっと入れて歯の表面を優しく磨きましょう
これが出来ましたら、歯ブラシにチャレンジです。
猫の歯をブラッシングする
歯ブラシは猫用の歯ブラシを使うのがおすすめですが、結構高価になりますので、人間の赤ちゃん用の歯ブラシで代用は可能です。
歯磨き粉については絶対に猫用のものを使用してください。
成分によっては猫に毒のものもありますので人間用のものは使わないようにしましょう。
無理に歯磨き粉を使用する必要はありません。
突然の歯ブラシの登場にびっくりしてしまう猫もいるとおもいますので最初のうちは歯ブラシにペーストなどをつけて『歯ブラシ=いいもの』という認識をつけてあげるといいでしょう。
歯を出すのを嫌がるのであれば、口の端から口をいれて閉じた状態で磨いてもいいですが歯ブラシのヘッドが歯ぐきにあたって傷つかないように気をつけてください。
門歯、犬歯。臼歯とパーツごとにみがくとわかりやすいですしおすすめです。
そんなに長い時間をかける必要はありませんが、あまり長い時間できないねこちゃんは臼歯を重点的に行ってあげることをお勧めします。
猫の歯ブラシの頻度はどのくらいが適正?
歯ブラシの頻度は週に2-3回がおすすめです。
歯垢が歯石となるのは1週間といわれているためこのくらいの頻度が理想といわれています。
しかしながら、猫にストレスを与えるのも良くないので苦手な猫には頻度を減したりしてあげてください。
歯ブラシができない時の対処法
ガーゼなどは大丈夫だけど歯ブラシはダメだった、どうがんばっても口を触らせてくれないなど猫によって様々だと思います。
今はいろんな形のデンタル用品が販売されていますので、どうしてもできない場合は飲み水やごはんに混ぜて使うタイプの歯磨き粉やデンタルガムなどもあります
歯磨き用のおもちゃもありますので、飼っている猫ちゃんにあったデンタル用品を見つけてあげましょう。
しかし、液体歯磨き粉を飲み水に混ぜて使う時は敏感な猫ちゃんの場合、今までの水との違いを感じ取り、飲まなくなってしまうこともあるため初めて使用する際は注意しましょう。
歯周病の原因菌を繁殖させづらいような口腔内環境を作るためのサプリメントなどもあります。猫ちゃんに合った方法を選択できると望ましいです。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。