猫とマタタビ
最終更新日:2024年08月06日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
『猫に木天蓼(マタタビ)』とは意味は非常に好きなもの、またそれをあげれば効果が非常に良いようことのたとえで使われることわざです。
ことわざになるほど有名な猫の好きなもの代表のマタタビが一体どんなもので、どんな理由で猫が好むかご存じない人も多いと思います。
猫にマタタビをあげる際の注意点なども含めて紹介したいとおもいます。
マタタビとは?
マタタビとはマタタビ科マタタビ属で別名、夏梅とも呼ばれる落葉性の蔓状の植物です。
漢字では木天蓼と記載されます。マタタビの実はドングリのような形のものとぼこぼこした形の2種類があります。
ドングリのような形の実は正常の実で、ぼこぼこの形のものは虫こぶ(虫癭果)と呼ばれる実です。
虫こぶ(虫癭果)とは虫などの生物の寄生によって植物が異常発達した姿になります。
マタタビの虫こぶはマタタビミバエの産卵により形成され、実は完璧に熟す前に落ちます。
正常な実よりも虫こぶの実の方が、薬効が高く、マタタビ酒や人間用の生などは虫こぶの実から作られています。
また、猫が反応するのもこの虫こぶの実になります。
猫はこの虫こぶに含まれる揮発性のマタタビラクトンと総称される臭気物質に恍惚を感じ、強い反応を示し『マタタビに酔う』という表現がびったりの反応をします。
また、マタタビに反応するのはいわゆるイエネコだけではなくライオンやトラなどの大型のネコ科の動物も同様にマタタビに酔うことが分かっています。
猫のマタタビに対する反応
猫はマタタビの匂いを嗅ぐことで、興奮状態や陶酔状態になります。
マタタビの匂いに反応するのはネコの上顎にあるヤコブソン器官と呼ばれるフェロモンを感じ取る器官であり、それによって脳の中枢神経が刺激され、一時的に軽い麻痺状態の症状がでるためと考えられています。
マタタビへの反応は猫それぞれで、のどを鳴らしたり、マタタビを体に擦り付けようとしたりします。中には興奮して狂暴化してしまう猫もいます。
マタタビをフェロモンとして感受しているため猫にとってはマタタビを嗅いだ=フェロモンを嗅いだ、になるため『性的に興奮した状態』になっているという考え方もあります。
そのため、メスの猫や子猫などには効果がないこともあると言われています。
また、去勢したオスの猫も興味を示さないことがあるようです。
猫にマタタビをあげる際に注意したいこと
マタタビは人間にとってのお酒と例えられますが、マタタビはお酒などとは異なり、常用性はなく安全とはいわれています。
しかし、使用量などは注意が必要です。
マタタビは脳の中枢神経を麻痺させる効果がありますので、一度に大量に摂取した場合は呼吸困難や心停止に陥る可能性もあります。
また、マタタビの実は丸のみすることで詰まらせてしまう可能性がありますので実を丸ごとは与えない方がよいでしょう。
マタタビの興奮作用はフェロモンになりますので性成熟していない子猫には与えないようにしましょう。また、心臓が弱い子など持病のある猫にもあげないようにしましょう。
また、猫はマタタビの匂いに反応します。多量摂取や誤飲を防ぐためにもマタタビの保管は十分に気を付けてあげてください。
猫が絶対に届かない、開けられない箇所に保管することが大切になります。
マタタビの使い方と効果について
一般的にマタタビは粉末状やスプレー状になって販売されていることが多いです。
他にもおもちゃに入っていたり、噛み噛みする木だったりと様々な形で販売されています。
マタタビは一般的に『粉末、液体、実、枝』の順で効果が高いといわれています。
猫にマタタビをあげる頻度は1週間に1回程度がベターといわれており、また使用用量については商品に記載されている量を守りましょう。
初めて与える時は少しの量を嗅がせるくらいがおすすめです。
マタタビに対する効果は猫によってそれぞれなのでその適量を見極めるためにもまずは少量から始めましょう。
マタタビの与え方は匂いを嗅がせるだけと直接食べさせる方法があります。
匂いを嗅がせるのは、一回あたりの効き目は弱いですが長く持つ場合が多いようですが、反応に個体差があります。
オモチャの中に入れたり、爪とぎに匂いを付けたりするのがおすすめです。
マタタビ自体を舐めさせるのは、効き目は強いのですが、持続時間は短いことが多いです。
美味しそうに舐めていますが、味を楽しんでいるのではなく、上顎にあるヤコブソン器官に擦り付けていると考えられています。
ただし、個体によってマタタビへの反応は様々とされているため、においを嗅いだだけでも反応が強く現れる場合や口にしてもあまり反応が見られない場合もあります。
反応を見ながら与えるのが適しているかどうかを判断するようにしましょう。
マタタビは猫のストレス解消や機嫌がよくないときの気分転換におすすめです。
ほかにも老猫で食欲がないときの食いつきをあげたい時に使用する場合もあります。
また、家の柱や家具で爪をといでしまう猫のしつけとして爪とぎに粉末をつけることで、爪とぎを認識させるなどの活用方法もあります。
マタタビを摂取した猫はお酒に泥酔しているかのように興奮状態となるため、反応が激しいと心配になる飼い主さんも多いと思います。
マタタビは麻薬とは異なり常用性も副作用も基本はありませんので用量・頻度を守って適切に猫に与える分には問題ありません。
マタタビには色々な種類があり、上手に使用すれば猫のしつけなどにも役立ちます。
飼っている猫にぴったりな使い方を見つけてあげてください。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。