事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 心房中隔欠損症 約50万円
2 僧帽弁閉鎖不全症 約45万円
3 膀胱結石 約40万円
4 胆管肝炎 約40万円
5 膀胱結石、左尿管損傷 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
3.45

※2020年9月1日~2020年9月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2021年 1月 2日

平均的なお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的なお支払い事例としてペットの誤飲の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 誤飲 33,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「猫の心房中隔欠損症」を獣医師が解説

2020年9月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「猫の心房中隔欠損症」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

心房中隔欠損症とは、どんな病気なのか

心臓は血液を送り出す部屋である心室(しんしつ)と血液が戻ってくる部屋である心房(しんぼう)とに分かれています。また、心室も心房も、さらに左右2つに分かれるため、心臓は、左心室、右心室、左心房、右心房の4つの部屋に分かれます。

心房中隔欠損症とは、左心房と右心房の間に欠損部分(=穴)が生じている先天的な疾患で、欠損部分を通って、左心房から右心房に血液が流入します。心臓に「穴」が開いているというと、とても恐ろしいかもしれませんが、心房中隔欠損症の猫の多くは何の症状も現れないまま、寿命を迎えることがほとんどです。

猫に症状が現れるかどうかは心房の欠損部分の大きさによって変わり、症状が現れる場合は、少しの運動で疲れやすい、気を失うなどが見られます。また、病態が進むと、左心房から右心房に流れる血液が、右心房から左心房への流入に逆転します。この逆転が起こると、肺で新鮮な酸素を取り入れた血液を全身に送れなくなり、チアノーゼ(血液中の酸素不足)のような重篤な症状が起こります。

なお、猫の心房中隔欠損症は比較的まれな疾患で、好発品種(その病気にかかりやすい品種)は知られていません。

猫の心房中隔欠損症について詳しく

事例の猫の心房中隔欠損症の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 心房中隔欠損症
通院日数 5日
入院日数 18日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

猫の心房中隔欠損症の診療内容

※下記の診察内容は、猫の心房中隔欠損症の一般的な診療内容についての記述になり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。
※保険責任開始前に獣医師の診断により先天性異常が発見されている場合は免責事項となり、保険金が支払われません。

検査

問診、視診

前述したように、多くは無症状ですが、症状がある場合は、症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、呼吸の様子、粘膜や舌の色の確認、体の成長具合などを観察します。

聴診

聴診器で心臓の音や呼吸の音を確認します。心房中隔欠損症では多くの場合、心臓の雑音は聞こえません。しかし、心房の欠損部分によって心臓に流れる血液量が変化し、肺動脈という右心室から血液を送る血管の血流量が増えると雑音が聞こえることがあります。

画像検査

超音波検査により、心臓の検査を行います。心臓の断面像を観察すると、心房の欠損部分を確認できます。また、肺動脈(右心室から肺へ血液を送る血管)と大動脈(左心室から全身へ血液を送る血管)、それぞれの血流量を測定し、比較することで、重症度を予測できます。

治療法

心房中隔欠損症の猫の多くは無症状であり、この場合、特別な治療は必要ありません。しかし、心房の欠損部分が大きく、心臓に負担がかかり、症状が出ている場合は内科治療を行います。内科治療では、病態に応じて1種~数種の内服薬が処方されます。病態が進むと自宅で使用可能な酸素室の準備が必要になることもあります。

根本的な治療は外科治療ですが、病態が進むと外科手術は行えなくなります。外科治療が選択された場合は、手術により心房の欠損部分を閉鎖します。なお、心臓の外科治療を行える病院はとても少なく、また、それらの病院でも猫の心房中隔欠損症の報告はとても少ないのが現状です。

予後

心房の欠損部分が小さく症状もない場合の予後は良好ですが、治療が必要なほど大きな欠損がある場合は、内科治療を行っても病気の進行を完全に抑えることはできません。最終的にはチアノーゼ、呼吸困難、虚脱などを起こし、残念ながら長期間の安定した生活は望めないことがほとんどです。一方、外科治療を行い、手術が成功した場合の予後は良好だと考えられます。

まとめ

猫の心房中隔欠損症はあまり多くない疾患であり、無症状の場合が多く、亡くなった後に病理解剖を行った際に発見されることがほとんどです。また、先天性疾患のため予防が難しく、健康診断での発見は珍しいため早期発見も難しいでしょう。

加えて、猫の心房中隔欠損症は病態が進むと外科手術を行えないため、運よく早期に見つけることができ、症状が出ている場合は、すぐに治療を開始することが重要です。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓蒙、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。