事例 | 種類 | 病気・怪我の種類 | お支払い金額 |
1 | 猫 | 尿閉 | 約65万円 |
2 | 犬 | 急性胃腸炎、消化器閉塞ほか | 約60万円 |
3 | 犬 | 組織球性肉腫、胸腔内出血 | 約55万円 |
4 | 犬 | てんかん、僧帽弁閉鎖不全ほか | 約45万円 |
5 | 犬 | アトピー性皮膚炎、膵炎ほか | 約45万円 |
※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。
請求書類到着日から
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平均
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※2020年10月1日~2020年10月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)
一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。
[追記日] 2021年 2月 2日
平均的なお支払い事例
保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的なお支払い事例としてペットの胃腸炎の診療をご紹介します。
事例 | 種類 | 病気・怪我の種類 | お支払い金額 |
1 | 犬 | 胃腸炎 | 29,000円 |
上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。
高額診療「猫の尿閉」を獣医師が解説
2020年10月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「猫の尿閉」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。
尿閉とは、どんな病気なのか
腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱にたまり、尿道を通って体外に排泄されます。尿閉とは、膀胱内に尿が貯留しているのに十分な排尿ができない状態のことを言います。排尿時には膀胱の出口が開き膀胱が収縮しますが、この動きが正常に行えないときや、尿道に物理的な通過障害があるときに尿閉が起こります。
前者は膀胱炎からの二次的なものや神経障害により起こりますが、今回の「猫の尿閉」では、後者の尿道閉塞による尿閉について説明したいと思います。尿道閉塞は、尿路結石、膀胱炎による炎症・血餅(けっぺい)・尿道栓子(少量のミネラル成分と多量の蛋白(たんぱく)が混ざり合ったもの)などが原因で起こります。腫瘍のようなできものが原因となることもあります。
尿閉の症状としては、何度もトイレに行くが排尿しない、ぽたぽたと血尿が垂れるなど、膀胱炎と似ていますが、尿を体外に排泄できない状態が続くと、尿毒症を起こし危険な状態になります。
尿路結石や膀胱炎はどの猫でも起こりますが、運動不足、肥満、トイレ環境(トイレが汚い、数が少ない、好みの砂ではない、などのためトイレを我慢することがある)、飲水不足などがリスクとなります。また、雌に比べると雄の尿道は細くて長いため、尿道閉塞が起こりやすく、重症化しやすいため注意が必要です。
事例の猫の尿閉の通院日数、入院日数、手術回数について
種別 | 猫 |
傷病名 | 尿閉 |
通院日数 | 19日 |
入院日数 | 19日 |
手術回数 | 1回 |
※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。
猫の尿閉の診療内容
※下記の診察内容は、猫の尿閉の一般的な診療内容についての記述になり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。
検査
問診、視診
飼い主さんに症状が始まった時期、排尿時の様子、最後にまとまった排尿をした日時、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、陰茎の色や腫れなども観察します。尿毒症を起こしている場合は、嘔吐、食欲不振、元気消失、虚脱などが起こります。
触診
膀胱を触診し、硬さを確認します。通常、膀胱は水風船のような弾力がありますが、尿道閉塞を起こし膀胱内に尿が貯留していると、ソフトボールのような硬さになります。
画像検査
超音波検査により膀胱にどれくらい尿が貯留しているか、結石があるか、などを確認します。
血液検査
血中の尿素窒素、クレアチニン、電解質などを確認します。これにより尿毒症を起こしているかどうかがわかります。
尿検査
尿の色、濃さ、蛋白や糖が出ているか、細菌や結晶成分があるか、などを確認します。正確な尿の状態を知るためには、経皮的膀胱穿刺(お腹から膀胱まで針を刺して直接膀胱内の尿を採取します)を行います。
治療法
通常入院管理となります。まずは、尿道カテーテルを用いた内科療法による閉塞の解除を試みますが、外科治療が行われることもあります。
内科治療
内科治療では、尿道カテーテルによる尿道閉塞の解除後、定期的に膀胱内の洗浄を行ったり、点滴を流し新しい尿を十分に排尿させたりすることで膀胱内をきれいにします。尿検査で細菌が見つかった場合は抗生剤を使用します。尿毒症を起こしている場合はその治療も行います。
外科治療
内科治療で尿道閉塞が解除できなかったり、解除されても繰り返し閉塞を起こしたりするような場合は、外科治療が選択されます。この手術は、細い尿道部分である陰茎を切除し、太い尿道からそのまま排尿できるようにするもので、尿道造瘻術(にょうどうぞうろうじゅつ)と言います。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、全身麻酔を安全に行えるのかを確認する必要があり、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。
予後
内科治療で改善した場合、予後は良好です。外科治療をした場合、尿道閉塞の心配はなくなりますが、細菌感染を起こしやすくなるため、造瘻部をいつも清潔に保つことが重要です。また、膀胱炎や尿路結石は繰り返すことがあるため、定期的に尿検査で通院する必要があります。尿路結石は種類によっては再発防止用の療法食があるので、それを食べることや積極的に飲水させることなども大切です。
まとめ
猫の尿閉は、尿毒症を起こし命にかかわるおそれがあるものです。日ごろから排尿時の様子を観察し、少しでも違和感がある場合は早めに受診することが大事です。また、尿閉の原因となる膀胱炎や尿石症は、食事や飲水量、トイレ環境、運動量などに気を付けることでリスクを減らせます。ぜひ、見直してみましょう。
尿閉を起こすと、思った以上に長期入院になることが多く、診療費も高額になりますが、再発防止のためにも早期からしっかりと治療をすることが重要です。
執筆者プロフィール
三宅亜希 先生
獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。