2022年1月度 月間高額お支払い事例
[掲載日]

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 小型犬 顔面腫脹・アレルギー疑い、嘔吐・下痢、椎間板ヘルニア、膵炎 ¥602,200
2 発作、尿道閉塞・膀胱炎、門脈体循環シャント ¥589,800
3 小型犬 左肛門腺癌、上皮小体疾患、肝細胞腺腫(良性)、排尿障害、腎不全、前立腺がん ¥563,200
4 小型犬 慢性腎不全、眼科疾患、心疾患 ¥486,500
5 小型犬 膿皮症、細菌性皮膚炎、胆管閉塞疑い ¥426,400

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
10.39

※2022年1月1日~2022年1月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年5月11日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの胃腸炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 胃腸炎 ¥25,100

高額診療「猫の門脈体循環シャント」を獣医師が解説

2022年1月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「猫の門脈体循環シャント」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

門脈体循環シャントとは、どんな病気なのか

門脈は、胃腸や脾臓(ひぞう)、膵臓(すいぞう)などの腹部の臓器(泌尿器系を除く)から集められ肝臓に入っていく静脈を指します。門脈内の血液には、胃腸から吸収した栄養やそのままでは有毒な物質が含まれていますが、正常な場合は肝臓内でより吸収されやすいかたちや害のないかたちに代謝され、心臓に戻る静脈に合流します。

門脈体循環シャントとは、この門脈が枝分かれして異常な血管(シャント)ができてしまう疾患です。そのため、肝臓で代謝が済んでいない門脈血が体循環(心臓から送られた血液が動脈、毛細血管を経て静脈を通って心臓に戻る循環)に直接入り込み、さまざまな症状を引き起こします。門脈体循環シャントは、生まれつきの先天性と、門脈圧の上昇が原因で後から発生する後天性があります。

門脈体循環シャントの症状として、肝臓への栄養供給不足による発育不良、本来肝臓で代謝される有害物質が脳に達して脳の機能が低下する病気(肝性脳症)による神経症状(ふらつき、異常行動、よだれの垂れ流し、沈うつ、視力低下など)、血尿、頻尿などがあります。通常、これらの症状は1~2歳までに現れます。

門脈体循環シャントは、アメリカン・ショートヘア、ペルシャ、シャムなどの猫種で起こりやすいとの報告があります。また、猫では後天性のケースは非常にまれです。

事例の猫の門脈体循環シャントの通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 門脈体循環シャント
通院日数 20日
入院日数 15日
手術回数 2回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

猫の門脈体循環シャントの診療内容

※下記の内容は、猫の門脈体循環シャントの一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。生まれつき門脈体循環シャントがある猫は体が十分に発育しない場合があるため、体つきも観察します。

血液検査

血中の肝酵素、尿素窒素、クレアチニン、アンモニアなどを確認します。また、食前と食後2時間の総胆汁酸(TBA)の値を測定します。これにより肝臓がどれくらい働いているか、門脈体循環シャントの可能性が高いかを判断できます。

画像検査

レントゲン検査と超音波検査を行い、肝臓の状態や大きさ、血管を確認します。シャント部分の血管を詳細に検査するために、造影剤を使用したCT検査が必要になる場合があります。

尿検査

採尿をして、尿の色、濃さ、たんぱくや糖の有無、細菌や結晶成分があるかなどを確認します。門脈体循環シャントが発生すると、尿が薄くなる傾向があります。

治療法

先天性の門脈体循環シャントでは外科治療が第一選択になります。一方、後天性の場合は通常、外科治療ではなく、内科治療が選択されます。

外科治療

門脈血が直接静脈に流れないように、シャント部分の血管を結紮(けっさつ)する手術を行います。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔が安全に行えるかを確認します。

内科治療

肝性脳症に対する治療が中心です。急性の肝性脳症を起こしている場合は、点滴を流しながらの入院が必要になりますが、通常は通院で治療を行います。血液中のアンモニアの上昇を抑えるために、アンモニアが発生しにくい食事への変更が推奨され、アンモニアの排泄(はいせつ)を促す薬を使用します。腸内でアンモニアやその他の毒素を産生する細菌を減らすために、抗生剤を使用する場合もあります。

予後

外科治療の合併症として発作が起こる場合がありますが、術後数か月で落ち着いてくるケースが多い傾向にあります。順調に回復し退院できた場合は、7割程度が予後も長期的に良好です。一方、重度の門脈圧の上昇があり内科治療を行っても症状が安定しない場合、予後は残念ながらあまり期待できません。

まとめ

猫の場合、門脈体循環シャントの発生自体が犬に比べると低く、後天的に発生するのはさらにまれです。そのため、ふらつきやよだれの垂れ流しなどが見られても、一番初めに門脈体循環シャントを疑う必要はありません。門脈体循環シャントは血液検査で診断できる病気ですので、少しでも気になるときは獣医師に相談をして、検査を受けましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。