事例 | 種類 | 病気・怪我の種類 | お支払い金額 |
1 | 犬 | 中耳真珠腫、短頭種気道症候群ほか | 約65万円 |
2 | 犬 | 僧帽弁閉鎖不全症、脂質代謝異常ほか | 約45万円 |
3 | 犬 | 腫瘍・破裂、歯科疾患 | 約45万円 |
4 | 犬 | 環軸椎亜脱臼 | 約40万円 |
5 | 犬 | 扁桃・扁平上皮癌 | 約40万円 |
※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。
請求書類到着日から
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平均
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※2022年7月1日~2022年7月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)
一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。
[追記日] 2022年11月16日
平均的な保険金のお支払い事例
保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの胃腸炎、外耳炎ほかの診療をご紹介します。
事例 | 種類 | 病気・怪我の種類 | お支払い金額 |
1 | 犬 | 胃腸炎、外耳炎ほか | 約39,000円 |
上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。
高額診療「犬の中耳真珠腫」を獣医師が解説
2022年7月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の中耳真珠腫」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。
中耳真珠腫とは、どんな病気なのか
犬の耳は、外耳、中耳、内耳に大きく分けられます。外耳で音を集め、中耳で増幅させ、内耳で音を電気信号に変えて神経を通じて脳に伝えます。
中耳は太鼓のような構造になっており、太鼓の皮が鼓膜(こまく)、胴が鼓室(こしつ)に相当します。
中耳真珠腫は、なんらかの原因で外耳や鼓膜表面の皮膚細胞が中耳に入り込んだところへ、鼓膜由来の角化上皮落屑物(かくかじょうひらくせつぶつ:古くなってはがれ落ちる皮膚の細胞/垢(あか))が貯留する病気です。「腫」という名前がついていますが、本当の腫瘍ではありません。
耳を気にする、耳だれがある、頭が傾く、耳や頭のあたりに痛みが出るなど、一般的な外耳炎、中耳炎と同じような症状が見られます。また、中耳真珠腫は中耳周囲の骨組織を破壊しながら拡大していくため、開口障害による食欲不振や顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)も起こります。
人の中耳真珠腫は、鼓膜が鼓室側に陥没して袋状になった中に真珠腫ができるという報告があります。しかし、犬が中耳真珠腫になる経緯や原因は明らかになっていません。
外耳炎により外耳道が閉塞して発症するケースもあれば、外耳には異常がないのに中耳真珠腫ができるケースもあります。ただし、外耳に問題がない中耳真珠腫は、耳管(鼓室と鼻の奥をつなぎ、鼓室の圧を調整する細い管)の機能不全が多い短頭種でよく見られるため、耳管が関係していると考えられています。
事例の犬の中耳真珠腫の通院日数、入院日数、手術回数について
種別 | 犬 |
傷病名 | 中耳真珠腫 |
通院日数 | 2日 |
入院日数 | 36日 |
手術回数 | 2回 |
※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。
犬の中耳真珠腫の診療内容
※下記の内容は、犬の中耳真珠腫の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。
検査
問診、視診、触診
飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。
頭や首のあたりに強い痛みが出ている場合、触れるだけでも怒ったり唸(うな)ったりしますが、別の理由で首を痛めているケースもあるため、痛みの場所を慎重に探ります。
耳鏡検査
耳道や鼓膜の様子を確認します。麻酔なしで検査できますが、鼓膜の詳細な観察には不向きです。
耳用内視鏡
耳道や鼓膜の様子を詳細に確認したり、内視鏡に特殊な器具を取り付けて組織の一部を採取したりします。全身麻酔下で行うため、血液検査や胸のレントゲン検査による術前検査が必要です。
レントゲン検査
耳道や中耳の様子を確認します。より詳細な情報を得るために、CTやMRIでの検査を必要に応じて行います。
CTやMRI
耳道の閉塞の有無、石灰化、鼓室内の貯留物の状況などを確認します。全身麻酔下で行うため、血液検査や胸のレントゲン検査による術前検査が必要です。
治療法
犬の中耳真珠腫は、全身麻酔下での外科治療が必要で、ふたつの方法があります。
ひとつ目は、耳道をすべて取り除き、鼓室内の真珠腫を摘出し洗浄する手術です。中耳真珠腫による症状はなくなりますが、手術を行った耳の聴覚は失われます。
ふたつ目は、耳用内視鏡を用いて真珠腫を少しずつ採取して小さくする方法で、症状の緩和が期待できます。
どちらの方法が選択されるかは、患部の状況から判断されます。いずれの場合も、全身麻酔を安全に行うために、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。
予後
手術2週間ほどで抜糸を行います。術後に顔面の神経麻痺が起こる場合がありますが、通常は一時的です。中耳真珠腫は再発するリスクが高いため、定期的な検診が必要になります。
まとめ
犬の中耳真珠腫を診断するのは非常に難しく、慢性的な外耳炎と判断される場合もしばしばあります。正しい中耳の診断を行うためには、CTやMRI検査、耳用内視鏡検査が必要です。長引く外耳炎、突然の顔面神経麻痺、頭や首のあたりを触ると怒るなどの症状がある際は、動物病院の先生と相談のうえ、詳細な中耳の検査を早めに受けましょう。
執筆者プロフィール
三宅亜希 先生
獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。