事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 壊死性肺炎、創傷、吐血ほか 約60万円
2 肝外胆管閉塞 約60万円
3 僧帽弁閉鎖不全症 約55万円
4 髄膜腫 約55万円
5 僧帽弁閉鎖不全症 約50万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
18.06

※2022年8月1日~2022年8月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年12月7日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの異物誤飲の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 異物誤飲 約27,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の肝外胆管閉塞」を獣医師が解説

2022年8月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の肝外胆管閉塞」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

肝外胆管閉塞とは、どんな病気なのか

胆管(たんかん)は、肝臓で作られた胆汁を十二指腸に運ぶ通路です。肝臓の中を通っている胆管を肝内胆管、肝臓から外に出た胆管を肝外胆管と呼びます。肝外胆管の途中には、胆汁を貯留するタンクの役割をしている胆嚢(たんのう)という袋状の臓器があり、胆嚢から先の胆管は総胆管といいます。肝外胆管閉塞とは、肝外胆管が詰まってしまう疾患です。

現れる症状は閉塞の程度により異なりますが、嘔吐(おうと)、食欲低下、元気消失、腹部痛、震え、発熱などが見られます。また、胆汁の流れが妨げられて血液中のビリルビン(赤血球に含まれる色素)の量が増え、高ビリルビン血症を引き起こすと、黄疸(おうだん:皮膚や粘膜が黄色くなる症状)が生じる場合があります。総胆管が完全に閉塞して数日以上経過すると、低血圧、心機能低下、急性腎不全、血液の凝固異常、敗血症などが引き起こされます。

さまざまな基礎疾患が肝外胆管閉塞の原因になり、胆管の外側の疾患が原因の場合と、内側の疾患が原因の場合に大きく区分できます。

胆管の外側の原因は、胆管・膵臓(すいぞう)・十二指腸などにできた腫瘍による圧迫、総胆管炎・膵炎・十二指腸炎などの外傷や炎症による狭窄(きょうさく:狭くすぼまった状態)、横隔膜ヘルニアなどがあります。胆管の内側の原因は、胆石や濃縮した胆汁による閉塞です。また、胆嚢内の胆汁がゼリー状に固まってしまう胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)という疾患が原因になる場合もあります。

肝外胆管閉塞の好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)はありませんが、原因となりうる疾患である膵炎はミニチュア・シュナウザーやテリア種が発症しやすく、胆嚢粘液嚢腫はシェットランド・シープドッグ、ミニチュア・シュナウザー、アメリカン・コッカー・スパニエルなどが好発犬種です。

事例の犬の肝外胆管閉塞の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 肝外胆管閉塞
通院日数 0日
入院日数 30日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の肝外胆管閉塞の診療内容

※下記の内容は、犬の肝外胆管閉塞の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、黄疸の有無を確認します。

血液検査

採血をして、肝酵素値の上昇や高ビリルビン血症の有無を観察します。膵炎の関与を調べるために、膵特異的リパーゼの検査を行う場合もあります。外科的な治療の可能性がある場合は、血液凝固系の検査も行います。

超音波検査

総胆管が通常よりも拡張していないか確認します。胆石といった閉塞物が確認できる場合もあります。

レントゲン検査・CT検査

胆石に含まれる成分によっては、レントゲンで確認できる場合があります。胆石の正確な位置や大きさを把握するために、CT検査が選択される場合もあります。全身麻酔下で行うため、血液検査や胸のレントゲン検査による術前検査が必要です。

治療法

原因や病態によって治療方法が異なります。炎症が原因のときは内科治療で改善する場合があります。内科治療で良くならない場合や、胆管内の閉塞物が原因の場合は外科治療が選択されます。

内科治療

輸液療法が必要であり、通常は入院して、胆汁の排泄(はいせつ)を促す薬や抗炎症剤を使用します。また、細菌感染を起こしているケースも多いため、抗生剤を投与します。嘔吐や食欲低下などへの対症療法を行いながら、基礎疾患がある場合は並行して治療を進めます。

外科治療

閉塞の原因を取り除く手術を行います。総胆管の内腔(ないくう)を確保するために、ステント(胆管内部に留置して狭窄部を押し広げて流れを良くする器具)を使用する場合もあります。胆嚢の状況次第では、胆嚢切除を同時に行う場合もあります。外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔を安全に行えるか確認します。

予後

内科治療で胆汁の流れが改善されても、再発した場合は外科手術が必要になります。外科手術の予後は、原因や術前の状態により異なります。特に、悪性腫瘍が原因だった場合は胆管の手術をしても、転移や再発などで予後が悪いケースも多く見られます。外科手術後の経過が良い場合でも、飲水や食事が可能になるまでは静脈点滴をしながらの入院が必要です。

まとめ

肝外胆管閉塞は外科手術が必要な場合が多く、胆管系の手術後に命を落とすリスクも決して低くありません。早期発見・早期治療のために、超音波検査を含む健康診断を定期的に受けて、原因となる基礎疾患をいち早く発見しましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。