事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 肛門嚢破裂、腎臓病、高血圧脳症・脳内出血 約65万円
2 胸腰部椎間板ヘルニア、皮膚炎 約60万円
3 気胸、消化器疾患 約50万円
4 再生不良性貧血 約45万円
5 急性膵炎 約45万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
19.15

※2022年9月1日~2022年9月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2023年1月10日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病 約21,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の気胸」を獣医師が解説

2022年9月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の気胸」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

気胸とは、どんな病気なのか

気胸とは、胸腔内(きょうくうない:肺や心臓などが入っている胸の空間)に、気体(空気やガス)が貯留している状態です。

気胸が起こる原因は、胸壁の損傷により外部から空気が入る、肺や気管の損傷により呼吸器の空気が漏れる、食道の損傷により消化管内のガスが漏れるなどが挙げられます。

気胸を発症すると、呼吸促拍(呼吸が速く換気は不十分)、開口呼吸、咳(せき)、元気消失、食欲消失、チアノーゼ(血液中の酸素が不足して皮膚や粘膜が青紫色に変色する状態)などが生じます。

胸腔内に貯留している空気が肺や心臓を極度に圧迫しているケースでは、肺の虚脱(肺が縮む状態)や、心臓が拡張できず血流障害が生じるため、救急措置を取らないと命にかかわります。

気胸のタイプには、交通事故や落下事故などによる「外傷性気胸」、麻酔時の気管挿管(気管チューブを挿入する気道確保方法)などの医療行為で引き起こされる「医原性気胸」、肺腫瘍や気管支炎などの病気から続発する「自然気胸」があります。なお、自然気胸は原因となる病気が特定できない場合もあります。

自然気胸の好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)には、胸の深い犬種全般や、シベリアン・ハスキーが知られています。外傷性気胸や医原性気胸は、犬種での発生の差はありません。

事例の犬の気胸の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 気胸
通院日数 2日
入院日数 32日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の気胸の診療内容

※下記の内容は、犬の気胸の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

落下や交通事故が原因で発症する外傷性気胸の場合、気胸以外の臓器も傷害を受けていたり骨折や脱臼を起こしていたりするケースも多いため、さまざまな検査や治療が行われますが、ここでは気胸についてのみ記載します。

検査

問診、視診

症状が現れた時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、呼吸の様子、粘膜や舌の色などを観察します。

聴診

聴診器で心音や呼吸の音を確認します。気胸が生じていると、頻脈(脈が速くなる不整脈)、呼吸音が弱く小さくなる、呼吸音が消失するなどが確認できます。

画像検査

レントゲン検査により、胸腔内の気体の有無、肺の虚脱の有無、心臓の位置の変異などを確認します。気胸を起こしている原因疾患を診断するために、状態が落ち着いてから必要に応じてCT検査も行います。

胸腔穿刺(きょうくうせんし)

胸壁に針を刺し、気体の有無を確認します。

治療法

重度の呼吸器症状や血流障害を起こしている場合は、詳しい検査や原因に沿った治療を行う前に、まずは酸素供給や輸液による救命措置をとります。その後、胸腔穿刺を行い、胸腔内の気体を抜去します。

胸腔穿刺後も再び気体が貯留してくる場合は、胸腔ドレーン(胸壁を切開し胸腔内にチューブを挿入して定期的に余分な気体を抜く装置)を設置します。

胸腔ドレーンで定期的に気体を抜いても改善が見られない場合は、損傷部位の閉鎖や肺葉切除といった外科的な治療が必要になります。外科治療の際は、全身麻酔を安全に行うために、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

予後

通常は、呼吸が安定するまで入院治療を行います。

気胸が起こった原因が特定でき、適切に治療できた場合の予後は良好です。特に、軽度の外傷性気胸は一般的に予後に期待ができます。一方で、自然気胸の中でも損傷部位が特定できないケースは、予後があまり良くありません。

まとめ

気胸の中でも、外傷性気胸は予防が可能です。愛犬が窓やベランダから身を乗り出せないように柵を設けたり、家から飛び出さないように扉の開閉に気を付けたりすると、落下事故や交通事故のリスクを減らせます。

また、呼吸器疾患による自然気胸を防ぐために、定期的に健康診断を受けて、早期発見・早期治療を心がけましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。