事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 悪性リンパ腫 約65万円
2 組織球肉腫 約60万円
3 潰瘍性大腸炎、高悪性度リンパ腫 約50万円
4 白内障、緑内障 約50万円
5 充実性嚢胞性アポクリン腺癌、外耳炎 約50万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
11.7

※2023年2月1日~2023年2月28日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2023年6月29日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病 約27,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の組織球肉腫」を獣医師が解説

2023年2月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の組織球肉腫」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

組織球肉腫とは、どんな病気なのか

腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものを「がん」と呼びます。組織球の腫瘍にも良性と悪性がありますが、肉腫は「がん」のことです。
組織球は白血球の一種で、樹状細胞(じゅじょうさいぼう)と単球・マクロファージ系に分化します。組織球肉腫は樹状細胞由来の悪性腫瘍で、体のさまざまな場所(皮膚・皮下、脳、目、腎臓、肝臓、肺、関節など)に発生します。

組織球肉腫には、限局性(特定の部位に発生)と播種性(全身に多発)がありますが、限局性のものもすぐに転移をするケースが多く、転移した後の限局性と播種性は区別がつきにくく、鑑別不可能です。

発生年齢は平均7歳で、好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)として、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、フラット・コーテッド・レトリーバー、ロットワイラーなどが知られています。日本ではウェルシュ・コーギー・ペンブローグの発生も多く見られます。

事例の犬の組織球肉腫の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 組織球肉腫
通院日数 7日
入院日数 21日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の組織球肉腫の診療内容

※下記の内容は、犬の組織球肉腫の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、聴診

元気や食欲の消失などは多くのケースで見られます。また、腫瘍が発生している場所によって、咳、跛行(はこう:足を引きずる、挙上するなど、異常な歩行のこと)などの症状が起こります。皮膚だけに限局している場合は、ブラッシングやスキンシップの際、しこりに気付くだけで、ほかに症状が見られないケースもあります。飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子などを伺います。

触診

皮膚や関節など、触れる場所に腫瘍がある際は、腫瘍の大きさを測る場合があります。

血液検査

採血をして、貧血や各臓器への影響の有無などを確認します。

画像検査

超音波検査やレントゲン検査により、転移やがんの広がりを確認します。

細胞診、病理検査

病巣に細い針を刺し、中の細胞を少し取って顕微鏡で確認します。組織球肉腫なのか、それ以外の腫瘍なのかを判断するための材料にします。

抗体検査

組織球肉腫の確定診断には抗体を用いた検査が有効です。しかし、日本国内では抗体の入手が困難なため、実施されることはまれであり、細胞診やその他の検査により総合的に診断されます。

治療法

犬の組織球肉腫の治療方法には、外科手術、放射線治療、化学療法があります。多くの場合、単独の治療ではなく、いくつかを組み合わせて行います。

外科手術

限局性で転移がない場合や、転移があっても外科的な切除が痛みの緩和につながる場合に選択されます。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、全身麻酔を安全に行えるのかを確認する必要があり、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

放射線治療

強力なX線を当てて、がん細胞を傷害し、腫瘍を小さくする効果があります。放射線治療が行える動物病院は少なく、大学病院などで行うことがほとんどです。

外科手術が選択されない場合や、外科手術後に併用して行われます。

化学療法

抗がん剤を投与して、細胞分裂を阻害し腫瘍をコントロールします。

予後

犬の組織球肉腫は残念ながら予後が非常に悪く、多くの症例が発症から半年程度で亡くなってしまいます。生存期間を少しでも延ばすことを目的とする場合は、外科切除+放射線治療+化学療法が選択されます。一方、生存期間が短くなったとしても質の高い生活を優先する場合、多くは副作用が少ない化学療法のみが選択されます(痛みの緩和のために外科切除を組み合わせることもあります)。

まとめ

犬の組織球肉腫は非常に悪性度が高く攻撃的ながんのため、治療で寛解(がん細胞、検査異常、症状の消失)は見込めません。ですが、少しでもQOL(Quality of life:生活の質)の高い毎日を送るためには治療が不可欠です。

進行が早いので愛犬に少しでも異変を感じたら、すぐに受診をして必要な検査や治療を受けましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。