事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 ヘルニア、脂漏症 約55万円
2 糖尿病、膵炎など 約55万円
3 リンパ腫 約50万円
4 僧帽弁閉鎖不全症 約50万円
5 角膜潰瘍、膵炎など 約45万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
10.26

※2023年4月1日~2023年4月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2023年8月29日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの尿石症・ストルバイト結晶の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 尿石症・ストルバイト結晶 約22,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の糖尿病」を獣医師が解説

2023年4月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の糖尿病」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

糖尿病とは、どんな病気なのか

人も犬も生きていくためには糖が必要不可欠です。食べ物から吸収された糖は、血液中に存在し、細胞に取り込まれてエネルギー源になります。糖尿病は、血液中に糖が過剰にありながら細胞に取り込めず、細胞内の糖が枯渇して代謝異常を起こす疾患です。血液中の過剰な糖は尿中へと排泄(はいせつ)されるため、糖尿病と呼ばれています。

犬が糖尿病になる原因は、インスリン(血液から細胞内に糖を取り込む働きをするホルモン)の不足や欠乏により、血糖値が高いままになる場合が多く、人でいう「1型糖尿病」に近いタイプです。

糖尿病の症状として、多飲多尿(水をたくさん飲んで尿をたくさん排泄する)、たくさん食べるのに瘦せるなどが現れます。飼い主さんがこれらの症状に気付く前に、健康診断時の尿検査や血液検査で糖尿病が見つかる場合もあります。

病態が進行すると、元気消失、食欲不振、脱水、昏睡(こんすい)などが起こります。症状が重い場合は命にかかわるため、緊急入院をしてすぐに治療が必要です。

犬の糖尿病は、遺伝素因が知られており、好発品種(その病気にかかりやすい犬種)としてミニチュア・シュナウザー、サモエド、ビション・フリーゼ、ミニチュア・プードルなどが挙げられます。また、膵炎(すいえん)やクッシング症候群、避妊手術をしていないメスの黄体ホルモン分泌、ステロイドの長期投与などが糖尿病を誘発する場合もあります。

事例の犬の糖尿病、膵炎の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 糖尿病、膵炎
通院日数 4日
入院日数 28日
手術回数 0回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の糖尿病の診療内容

※下記の内容は、犬の糖尿病の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。

触診

皮膚を触診し、脱水の有無を確認します。

血液検査

採血をして、血液中の糖の量(血糖値)を測定します。体全体の状態を知るために、一般的な健康診断で測定する項目も合わせて検査します。また、血糖値が継続的に高い状態であったかを判断できる検査や、糖化されたたんぱくを測定する検査を行う場合もあります。これらの検査は外部の検査センターに血液を送り測定するケースが多く、検査結果は後日になります。

尿検査

採尿をして、尿の色、濃さ、たんぱくや糖の有無、ケトン体の有無などを確認します。

ケトン体は、糖を取り込めずにエネルギー不足になった体が、脂肪を分解してエネルギーを得ようとしたときに生じる物質です。血中にケトン体がたくさん存在すると血液が酸性に傾き、強い脱水が起こります。この状態を糖尿病性ケトアシドーシスと言います。

治療法

健康診断で糖尿病が発見された場合、通院での治療で問題ないケースもありますが、症状がすでに出ている犬は、多くの場合、そのまま入院管理により血糖値のコントロールが行われます。特に、糖尿病性ケトアシドーシスを発症している場合は、救急管理となります。

治療の軸は、インスリン投与と食事管理といった内科治療です。インスリンは毎日投与するため、飼い主さんがご家庭で注射をする必要があります。食事は、高たんぱくのものが推奨され、糖尿病用の療法食があります。しかし、犬の糖尿病の原因はインスリン欠乏なので、食事に関しては、よく食べる総合栄養食を最適な量食べれば良いという考え方もあります。また、膵炎や腎臓病を併発しているケースでは、それらの疾患に適した食事を優先させます。

予後

予後は、血糖値がコントロールできるかどうかによります。そのため、定期的に血糖値を測定しながら、インスリン量を決定していきます。血糖値がうまくコントロールできれば予後は期待できますが、併発疾患があるケースでは、その重症度により予後があまり良くない場合もあります。

まとめ

犬の糖尿病は入院治療が必要になる場合が多く、血糖値が安定し退院できた後もご家庭でインスリン注射を行うなど、飼い主さんの負担が大きい病気です。自宅でインスリン注射が正しく打てるようになることが治療で一番重要になるため、場合によっては飼い主さんが動物病院の先生の前で何度か練習すると安心です。また、犬にインスリン注射を打って食事を食べてくれないと、逆に低血糖を起こしてしまうおそれがあり、低血糖時の自宅での対応を知っていくことも大切です。獣医師に何でも相談して、愛犬の状態に合わせた治療にあたりましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。