事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 悪性リンパ腫、敗血症 約60万円
2 悪性リンパ腫 約55万円
3 膀胱移行上皮癌、腎不全 約50万円
4 特発性乳び胸 約50万円
5 甲状腺機能低下症、免疫介在性溶血性貧血ほか 約45万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
8.91

※2021年8月1日~2021年8月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2021年12月8日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病の診療をご紹介します。

犬の歯周病について詳しく

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病 25,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の特発性乳び胸」を獣医師が解説

2021年8月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の特発性乳び胸」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

特発性乳び胸とは、どんな病気なのか

乳び胸とは、胸腔内に乳びが貯留する病気です。乳びは、脂肪をたくさん含んだリンパ液で、この脂肪は消化の際に腸から吸収されたものです。乳びは、腸にあるたくさんのリンパ管を通って、腹腔内の「乳び槽(にゅうびそう)」というリンパ液を貯留する場所に集まります。

乳び槽から胸腔内につながるリンパ管を「胸管(きょうかん)」といい、乳びは胸管を流れ心臓付近の静脈へと排出されます。何らかの原因により胸管から乳びが漏れ出てしまうと、乳び胸が起こります。

外傷や腫瘍、心疾患などにより乳び胸になる場合もありますが、犬の乳び胸の多くは、はっきりとした原因がわからない特発性乳び胸です。

乳びの貯留により肺が正常に膨らまず、呼吸困難や咳などの呼吸障害が生じます。また、継続的に乳びにさらされると繊維性胸膜炎(せんいせいきょうまくえん)を起こし、乳びを抜去(ばっきょ)しても肺が膨らまなくなっていきます。

乳び胸の好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)は、アフガン・ハウンドや柴犬などが知られています。

事例の犬の特発性乳び胸の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 特発性乳び胸
通院日数 5日
入院日数 18日
手術回数 2回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の特発性乳び胸の診療内容

※下記の内容は、犬の特発性乳び胸の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

症状が現れた時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、呼吸の様子、粘膜や舌の色の確認、体重減少の有無などを観察します。

聴診

聴診器で心臓の音や呼吸の音を確認します。胸腔内に液体の貯留があると、心音や肺音は聞き取りにくくなったり、消失したりします。

画像検査

レントゲン検査により、胸腔内の液体の有無が確認できます。胸腔内に液体がある場合、それをすべて抜去してから再度レントゲンを撮り、繊維性胸膜炎の有無や程度の評価を行うのが一般的です。

胸水検査

胸腔内の液体を抜去し、成分を分析します。これにより、貯留している液体が、乳びであるかどうかを確認できます。

※呼吸困難の場合は、これらの検査を行うよりも先に酸素室で状態を安定させることもあります。

治療法

乳びの貯留がごく軽度の場合を除き、通常はまず胸腔内の乳びをすべて抜去します。その後、内科治療を行います。

内科治療

乳びは脂肪を多量に含む食事をとると、多く生成されます。そのため、低脂肪食による食餌療法が推奨されます。また、リンパ管の浮腫(ふしゅ:むくみのこと)の軽減や、胸腔内の抗炎症を目的に薬が使用される場合もあります。

内科治療で乳びの貯留が抑えられない場合は、外科治療に移行します。定期的に胸腔内の乳びを抜去することで呼吸は楽になりますが、根本的な解決にはならないためです。なお、胸水(乳び)抜去は必ずしも鎮静や全身麻酔が必要ではありませんが、犬が暴れてしまい危険な場合は使用します。

外科治療

胸管を結紮(けっさつ:糸などで結ぶこと)し、胸腔内に乳びが流れてこないようにする手術が中心となります。この手術に加え、静脈圧を下げるための心膜切除や、リンパ管圧を下げるための乳び槽切開などが行われる場合もあります。手術後に再び胸腔内に乳びが貯留し、再手術が必要になるケースも少なくありません。

なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、全身麻酔を安全に行えるのかを確認する必要があり、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

予後

ごく軽度であれば、内科治療でコントロール可能な場合もあります。また、長期にわたり乳び胸を患うと、繊維性胸膜炎が重度になっているケースもあり、その場合は手術をして乳びの貯留がなくなっても、呼吸が改善しないおそれがあります。

まとめ

特発性乳び胸は、詳しい原因がまだよくわかっていませんが、経過の長期化が予後に影響を与えるため、早期に治療を開始することが重要です。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。