事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 膵炎、血小板減少症ほか 約60万円
2 会陰ヘルニア、下痢ほか 約45万円
3 蛋白漏出性症、慢性胆のう炎ほか 約40万円
4 異物誤飲・急性胃炎ほか 約40万円
5 僧帽弁閉鎖不全症、肺水腫 約35万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
13.17

※2022年2月1日~2022年2月28日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年6月8日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病の診療をご紹介します。

犬の歯周病について詳しく

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病 30,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の会陰ヘルニア」を獣医師が解説

2022年2月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の会陰ヘルニア」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

会陰ヘルニアとは、どんな病気なのか

会陰部に生じるヘルニア(体の組織が本来ある場所から飛び出す状態)が会陰ヘルニアです。会陰部は肛門(こうもん)付近の場所で、オスでは肛門から陰嚢(いんのう)の間、メスでは肛門から膣口(ちつこう)の間が該当します。骨盤の底には骨盤隔膜という強い筋肉や筋膜があり、直腸や膀胱(ぼうこう)があるべき場所に収まるようにしっかり支えていますが、骨盤隔膜が委縮すると会陰ヘルニアが起こります。

会陰ヘルニアでは、脂肪、直腸、膀胱、前立腺などが飛び出す場合があります。

便の出が悪かったり、会陰部の膨らみに気付いたりして動物病院を受診する場合が多く見られますが、ほかに現れる症状は何が飛び出しているかによって異なります。脂肪だけであれば大きな症状は見られませんが、直腸の一部が飛び出すと便秘や排便困難、しぶりなどが生じ、膀胱の一部が飛び出すと排尿障害、排尿痛などが生じます。

会陰ヘルニアにかかるほとんどの症例はオスであり、メスではまれです。特に、去勢をしていない中年齢以降のオスで発症リスクが高まります。

事例の犬の会陰ヘルニアの通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 会陰ヘルニア
通院日数 5日
入院日数 16日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の会陰ヘルニアの診療内容

※下記の内容は、犬の会陰ヘルニアの一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。特に、去勢手術が済んでいるか、排尿排便時の様子に異常はないか聞き取ります。また、会陰部の膨らみの様子を観察します。ヘルニアが片側だけの場合もあれば、両側の場合もあります。

触診

直腸検査を行います。直腸から指を入れ、会陰部の膨らみがある部分に直腸の一部が入り込んでいないか確認します。入り込んだ直腸が憩室(袋状になった状態)になると、便が溜まって症状がさらに悪化する場合があります。

画像検査

レントゲン検査や超音波検査を行い、直腸や膀胱の一部がヘルニアを起こしていないか確認します。造影剤を使用する場合もあります。

そのほか

ほかの病気との鑑別や、体の現状を知るために、必要に応じて血液検査を行います。

治療法

根本的な治療は外科手術のみです。内科治療は、重度ではない症例かつ外科治療が難しい場合にのみ選択されます。

内科治療

会陰ヘルニアにより排便困難が見られる場合は、下剤を用いて排便を促します。ヘルニアが生じている直腸の一部に便が溜まっている場合は、摘便を行う場合もあります。

外科治療

ヘルニア部分を塞ぐ手術を行います。去勢手術が済んでいない場合は、同時に行うケースもあります。ヘルニア部分を塞ぐ材料には、人工物(メッシュ)や自己組織(筋肉や精巣の総鞘膜など)を使用します。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔が安全に行えるか確認します。

予後

外科治療を行っても再発リスクは高く、1年以内に再発するケースもあります。特に、骨盤隔膜の委縮が重度の場合や、ヘルニアが両側に発生している場合は、再発リスクが高まります。再発した場合は、再手術が必要です。

まとめ

会陰ヘルニアは去勢手術で発症リスクが減らせます。去勢手術には、太りやすくなるというデメリットが挙げられますが、会陰ヘルニアや前立腺疾患、精巣疾患などの病気を予防でき、穏やかに過ごしやすくなるというメリットもあります。会陰ヘルニアをはじめとするさまざまな病気で大切な愛犬が苦しまないためにも、去勢手術をまだ迷っている飼い主さんは、一度検討してみましょう。

また、高齢になって、排便に時間がかかったり、便秘気味になったりした際には、「年のせいかな」と様子を見ずに、早めに動物病院を受診するのも大切です。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。