猫のために行う災害時の備え
最終更新日:2024年08月06日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
日本は地震が多い国で、最近は台風や大雨などの突然の自然災害も多いです。もしもの時に猫だけ置いていくなんてことはできません。そんなもしもの時のために気を付けておきたいこと、あらかじめ準備しておいた方がいいことや備えておきたいものなどを紹介します。
地震でパニックになる猫は多く、ケガをする場合も
突然の地震によりパニックを起こす猫は多いです。
また、パニックを起こさなくても、地震によって割れたガラス片などの上を歩きケガすることもあります。
パニックを起こし、高さを気にせず窓から飛び降りて大けがしてしまうこともありますし、外にでないとしても家の中をパニック状態で駆け巡り爪が全部はがれてしまうということもあります。
爪がはがれてしまった場合、すぐに病院で治療をすればそこまで大きなけがになりませんが、時間が経つと細菌感染を起こし、悪化してしまうこともあります。
猫のパニックには個体差があり、種類も様々です。
どこかに隠れてしまい出てこない場合は無理に出したりせず、猫が自分で出てくるまで待ってあげましょう。
ひたすら鳴いたり、おびえている猫にはバスタオルなどで体をくるんであげたり、抱っこが大丈夫なのであれば抱っこをしてあげましょう。
キャリーにいれて上からタオルをかけて暗くして安心できる場所をつくってあげるのもおすすめです。
飼い主から離れない猫については安心させるためにそばにいてあげましょう。
スリングなどで抱っこしてあげると両手が使える上に猫に密着できるのでおすすめです。
暴れたり、威嚇してきたりする猫に近づくと攻撃してきたり飼い主自身も危険ですし、興奮状態の猫には逆効果なのでそういったときは興奮が落ち着くまでそっと見守ってあげましょう。
驚いて逃げてしまった場合は慌てて探しに行きたくなると思いますが、まずは落ち着いて行動しましょう。
猫のテリトリーは案外狭く半径250メートルほどになります。
この範囲にいることが多く、特に外に出たことがない猫であればなおさらこの範囲で生活している可能性が大きくなります。
家の周辺の猫の居そうな車の下や屋根の上、茂みの中などを探してみてください。案外家の中にいるなんてことも少なくありません。
猫は犬に比べてマイクロチップの装着率や迷子札を身に着けている可能性がとても低いです。
そのため実際に東日本大震災では迷子になってしまってから飼い主と再会できる確率が低いという問題がありました。室内飼いだからと未装着のお家が多いかとおもいますが身につけておいた方がベターです。
災害時に猫のために用意しておきたい備え
災害時に人間の物資については比較的早く届きますが、犬や猫などのペット物資の配給は決して早いとは言えません。
状況によってはホームセンターやペットショップがなかなかオープンしない場合もあります。
そのため一週間分の物資は最低でも備蓄しておくといいでしょう。
猫は警戒心が強いため、突然環境が変わり更にごはんも変わると食べないことも多いため、食べ慣れているごはんを用意してあげてください。
また水は軟水を用意しましょう。硬水だとミネラルが多く、ストレスとの相乗効果で尿路結石になってしまう可能性が高いです。
ほかにもトイレとトイレ用の砂も用意しておいた方がいいでしょう。災害用の持ち出し用トイレもありますので、用意しておくとベターです。
避難所などに行くことを考えるとほかの動物やほかの人との接触も考慮し、キャリーケースやケージは必須になります。すぐに取り出しておける位置においておきましょう。
タオルは非常に重宝します。様々な方面で使用できるので5-7枚ほど用意しましょう。
また、大型の洗濯ネットも1つあると便利です。パニックでケガをしてしまった時に洗濯ネットに猫を入れて処置をすることもあります。
持病のある猫はお薬をつねに一か所にまとめておいて、なにかがあった時にはそれを持っていけば大丈夫な状態にしておくといいでしょう。
災害時にはかかりつけの動物病院に必ず受診できるわけではありません。
持病や今までの治療歴、検査結果などもメモにまとめてかかりつけではない獣医師にも猫の状態をわかってもらいやすい状態にしておけるとより安心です。
猫が入れる避難所や災害時に頼れる動物病院などを事前に確認
避難所にはペット連れですと入れない場合があります。まずは近くの避難所で猫が入れるかをあらかじめ確認しておいたほうがいいでしょう。
予防注射の接種やマイクロチップの挿入など、入る際の条件もある場合があるため、確認をして万が一の時のためにきちんと予防をしておけると安心です。
入れたとしても、ペットがいることによる問題(ニオイやアレルギー、抜け毛、鳴き声など)が多くありトラブルも多いのが現実です。
入れるからといっても様々な問題が発生することがあることをあらかじめ認識しておくとよいでしょう。
猫はデリケートなので避難所などの生活でストレスを感じ体調不良を起こすことがあります。かかりつけの病院の他にも避難所周辺の動物病院を確認しておくことも大切です。
災害についてのマニュアルはありますが、世帯形態によって対策は大きく変わってきます。
家に常に誰かいる状態で飼っている家庭もあれば、最近は一人暮らしで飼育していることもあります。
家に猫が一匹でいるときに災害が発生した場合、すぐに家に帰れないなどのトラブルも考えられます。
そんなときのために猫が安心して入れるクレートをつくっておく、時間がたつとごはんが出てくる自動給餌器などを常に用意しておくなどの備えが必要です。
災害対策はご家庭の状況や環境によってそれぞれ異なります。自分の家庭に合った対策方法を考えておくことが大切です。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。