犬の夜鳴きの原因は?効果的な防止対策や対処法を獣医師が解説

犬が夜に鳴く原因や対処法について詳しく解説していきます。

犬の夜鳴きの原因は?効果的な防止対策や対処法を獣医師が解説

犬が夜鳴きをしたらまずは原因を解明すべき

犬が夜鳴きをしたらまずは原因を解明すべき

一般的に犬の夜鳴きとは、言葉の通り夜間に犬が何かを要求するように鳴いたり吠えたりすることを指します。

ただし、犬の夜鳴きにはほとんどの場合はきちんと原因があると考えられています。

よって愛犬が夜鳴きをするからといってやみくもに「うるさいな~」と叱りつけることは適切な手段ではなく、まずは夜鳴きの原因を解明することが大切となります。

犬が夜鳴きをする原因から主な対処法まで

犬が夜鳴きをする原因から主な対処法まで

では、犬が夜鳴きをする理由や対処方法としてはどのようなものが挙げられるのか。

ここからは夜鳴きの主な原因と原因ごとの対処方法について詳細に解説していきます。

現在愛犬の夜鳴きに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

夜鳴きの原因① 体調不良

今まで夜鳴きをしたことのない愛犬がいきなり夜に鳴き始めた場合は、どこか体調が悪いことを飼い主さんに伝えるために鳴いているかもしれません。

犬に限らず、動物は習性として体調不良を隠すことが多いため、飼い主さんに訴えるということはかなり重度の状態まで進行している可能性もあり、早急な対応が必要となる場合もあります。

対処法

愛犬が鳴き始めたら様子を見に行き、激しい嘔吐や下痢をしていないか、また体が熱っぽい、どこか特定の場所を触ると嫌がる素振りを見せる、歩き方がおかしいなど。

普段と違う様子がないか注意をして確認し、異変が見られた場合は体調不良につながっている可能性があります。

最近は夜間に診療している動物病院や夜も対応可能の往診が増えてきているため、どこか気になる点があれば電話して受診の必要性を相談してみるようにしましょう。

夜鳴きの原因② さみしい

子犬を新しく家族に迎え入れた最初の頃に夜鳴きする場合は、さみしさが原因の可能性があります。

特に最近のペットショップやブリーダーは社会性を身につけるためにも母犬や兄弟犬などど同じ場所で過ごさせるようにしていることが多いため、知らない場所でいきなり自分だけで寝ることになったことによるさみしさや不安感で夜泣きしてしまう子犬は多いとも考えられます。

対処法

この場合の夜鳴きは特に対処を行わなくても子犬が新しいお家や環境に慣れるとすぐに改善していくことがほとんどと、いわれています。

ただし、将来的に愛犬と同じ場所やベッドで寝る予定にあるならば、夜は一緒の空間で過ごしてあげつつ子犬の寝床に近い場所に飼い主さんの寝るようにするなど、不安感を落ち着かせるような対策を取ってあげるようにしましょう。

夜鳴きの原因③加齢による認知症/体調不良

愛犬がシニアになって急に夜鳴きが始まった場合は認知症や体調不良が原因の可能性が考えられます。

そもそも認知症とは加齢による脳の変化などによって様々な症状があらわれる病気であり、症状の中には夜の徘徊や夜鳴き、昼夜逆転といった現象も含まれています。

また、加齢によって慢性的な痛みを伴う変形性関節症や血行不良による床ずれなども患いやすくなるといわれており、これらによる体の痛みが原因で老犬は夜泣きをすることもあります。

対処法

夜鳴きの原因が認知症や加齢に伴う体の痛みなどによるものと思われた場合は、まずは動物病院を受診することをおすすめします。

獣医師によって処方される認知症対策用のサプリメントやフードなどによって夜鳴きが改善されることも多く、また痛みに対しては適切な痛み止めなどの使用によって夜鳴きが治まることに加えて愛犬のQOLを改善してあげることもできる可能性が高いでしょう。

夜鳴きの原因④ 目が冴えている

まだまだ遊びたいざかりの子犬や多くの運動量を必要とする大型犬などでは、日中の飼い主さんとの遊びや散歩が不足していることで目が冴えてしまい、眠れないために夜鳴きをすることも考えられます。

また、これらに該当しない場合でも飼い主さんが忙しくて愛犬の相手をほとんどできなかったり、留守番が長時間になった日などは愛犬にとって飼い主さんとのスキンシップが足りておらず、欲求不満によって夜鳴きをしてしまうこともあるでしょう。

対処法

これらの原因で夜鳴きをしてしまっている場合は、可能な限り愛犬のために時間をとってあげることが一番の対処方法となります。

帰宅したら真っ先に愛犬に声をかけて遊んであげたり、散歩に連れて行ってあげたりなどの他にもブラッシングや、ただ同じお部屋で過ごしてあげるなど愛犬が満足してくれるように心がけるようにしましょう。

夜鳴きの原因⑤ 温度(環境)にストレスを感じている

私たち人間が真夏の熱帯夜の高温多湿下に寝苦しさを感じたり隣近所の騒音などによって寝られなくなったりすることがあるように、犬においても眠る場所の環境はとても大切となります。

特に子犬や繊細なタイプの犬では寝床の環境が悪いため、ゆっくりと眠ることができないことが夜鳴きの原因となってしまう場合もあります。

対処法

夜に十分に睡眠を取れないということは夜鳴きの原因となるだけではなく、体調不良も引き起こしてしまう可能性があるため早急に環境を整える必要があります。

愛犬が寝る場所に温湿度計を設置して、適切な湿度や室温が保たれているかの確認に加えて寝床を玄関や窓際などの音のする場所やテレビの側などからは離して愛犬が気持ち良く寝られる場所を確保してあげるようにしましょう。

夜鳴きの原因⑥ 食事量に満足していない

愛犬の年齢や状況などに合わせた適切な量や回数のフードを与えていないと、空腹感によって夜鳴きをしてしまう場合もあります。私たち人間もお腹が空いていると寝ることができませんが、そのようなときは自分で何かを食べることができます。

しかし、愛犬は飼い主さんからしか食べ物をもらうことができないことやあまりにも空腹が強いと胃液の分泌が原因となって嘔吐をしてしまう場合もあるため、空腹による夜鳴きをしないよう食事量の見直しなどをしてに注意してあげてくださいね。

対処法

愛犬にフードを与えるときには、必ず年齢などに合わせた必要なカロリー量を計算するようにしてください。飼い主さんだけでは計算に自信がないときはかかりつけの動物病院に相談しても良いでしょう。

また、まだ消化器官が未発達である子犬の時にフードをこまめに分けて与える回数を多くすることは当然ですが、成犬になった場合でも可能な限り1日に2~3回の朝、(昼)、夜と分けて与えることをおすすめします。

夜鳴きの原因⑦ トイレに行きたい/不満がある

トイレをする場所が必ず決まっている場合はトイレが汚れていたり、ドアが閉まっているためトイレに行けなかったりなどの不満を飼い主さんに訴えて夜鳴きをしている可能性があります。

また、夜鳴きをしなくてもトイレを我慢することで泌尿器の疾患を引き起こしてしまう危険性もあるため、愛犬がいつでも自由に排泄できる環境を整えることはとても大切となります。

対処法

愛犬が排泄をするたびに毎回、トイレをきれいにする習慣をつけることや夜間でもドアの隙間を少しだけ開けておくことで自由にトイレに行くことができるようにするなどの方法が有効となります。

また、中には外でしか排泄をしない場合もあるかもしれませんが、愛犬が寝そうになる前にトイレに連れていき、さらに飼い主さんが寝る前に再びトイレに連れて行くことで夜鳴きのリスクはかなり減らすことができるでしょう。

まとめ

愛犬が夜鳴きをする背景には必ず何かがあるため、夜鳴きを放置したり叱りつけたりするのではなく、まずはその原因を解明することがとても大切となります。

犬の夜鳴きには認知症などの治療が必要なものから、睡眠環境や空腹感などの少しの工夫で改善することができるものといった多くの原因が考えられるため飼い主さんだけで突き止めることが難しい場合は、抱え込まずに獣医師やドッグトレーナーなどの専門家への相談も検討してみてくださいね。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
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