事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 肛門嚢破裂、腎臓病、高血圧脳症・脳内出血 約65万円
2 胸腰部椎間板ヘルニア、皮膚炎 約60万円
3 気胸、消化器疾患 約50万円
4 再生不良性貧血 約45万円
5 急性膵炎 約45万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
19.15

※2022年9月1日~2022年9月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2023年1月10日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病 約21,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の気胸」を獣医師が解説

2022年9月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の気胸」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

気胸とは、どんな病気なのか

気胸とは、胸腔内(きょうくうない:肺や心臓などが入っている胸の空間)に、気体(空気やガス)が貯留している状態です。

気胸が起こる原因は、胸壁の損傷により外部から空気が入る、肺や気管の損傷により呼吸器の空気が漏れる、食道の損傷により消化管内のガスが漏れるなどが挙げられます。

気胸を発症すると、呼吸促拍(呼吸が速く換気は不十分)、開口呼吸、咳(せき)、元気消失、食欲消失、チアノーゼ(血液中の酸素が不足して皮膚や粘膜が青紫色に変色する状態)などが生じます。

胸腔内に貯留している空気が肺や心臓を極度に圧迫しているケースでは、肺の虚脱(肺が縮む状態)や、心臓が拡張できず血流障害が生じるため、救急措置を取らないと命にかかわります。

気胸のタイプには、交通事故や落下事故などによる「外傷性気胸」、麻酔時の気管挿管(気管チューブを挿入する気道確保方法)などの医療行為で引き起こされる「医原性気胸」、肺腫瘍や気管支炎などの病気から続発する「自然気胸」があります。なお、自然気胸は原因となる病気が特定できない場合もあります。

自然気胸の好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)には、胸の深い犬種全般や、シベリアン・ハスキーが知られています。外傷性気胸や医原性気胸は、犬種での発生の差はありません。

事例の犬の気胸の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 気胸
通院日数 2日
入院日数 32日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の気胸の診療内容

※下記の内容は、犬の気胸の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

落下や交通事故が原因で発症する外傷性気胸の場合、気胸以外の臓器も傷害を受けていたり骨折や脱臼を起こしていたりするケースも多いため、さまざまな検査や治療が行われますが、ここでは気胸についてのみ記載します。

検査

問診、視診

症状が現れた時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、呼吸の様子、粘膜や舌の色などを観察します。

聴診

聴診器で心音や呼吸の音を確認します。気胸が生じていると、頻脈(脈が速くなる不整脈)、呼吸音が弱く小さくなる、呼吸音が消失するなどが確認できます。

画像検査

レントゲン検査により、胸腔内の気体の有無、肺の虚脱の有無、心臓の位置の変異などを確認します。気胸を起こしている原因疾患を診断するために、状態が落ち着いてから必要に応じてCT検査も行います。

胸腔穿刺(きょうくうせんし)

胸壁に針を刺し、気体の有無を確認します。

治療法

重度の呼吸器症状や血流障害を起こしている場合は、詳しい検査や原因に沿った治療を行う前に、まずは酸素供給や輸液による救命措置をとります。その後、胸腔穿刺を行い、胸腔内の気体を抜去します。

胸腔穿刺後も再び気体が貯留してくる場合は、胸腔ドレーン(胸壁を切開し胸腔内にチューブを挿入して定期的に余分な気体を抜く装置)を設置します。

胸腔ドレーンで定期的に気体を抜いても改善が見られない場合は、損傷部位の閉鎖や肺葉切除といった外科的な治療が必要になります。外科治療の際は、全身麻酔を安全に行うために、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

予後

通常は、呼吸が安定するまで入院治療を行います。

気胸が起こった原因が特定でき、適切に治療できた場合の予後は良好です。特に、軽度の外傷性気胸は一般的に予後に期待ができます。一方で、自然気胸の中でも損傷部位が特定できないケースは、予後があまり良くありません。

まとめ

気胸の中でも、外傷性気胸は予防が可能です。愛犬が窓やベランダから身を乗り出せないように柵を設けたり、家から飛び出さないように扉の開閉に気を付けたりすると、落下事故や交通事故のリスクを減らせます。

また、呼吸器疾患による自然気胸を防ぐために、定期的に健康診断を受けて、早期発見・早期治療を心がけましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 壊死性肺炎、創傷、吐血ほか 約60万円
2 肝外胆管閉塞 約60万円
3 僧帽弁閉鎖不全症 約55万円
4 髄膜腫 約55万円
5 僧帽弁閉鎖不全症 約50万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
18.06

※2022年8月1日~2022年8月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年12月7日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの異物誤飲の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 異物誤飲 約27,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の肝外胆管閉塞」を獣医師が解説

2022年8月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の肝外胆管閉塞」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

肝外胆管閉塞とは、どんな病気なのか

胆管(たんかん)は、肝臓で作られた胆汁を十二指腸に運ぶ通路です。肝臓の中を通っている胆管を肝内胆管、肝臓から外に出た胆管を肝外胆管と呼びます。肝外胆管の途中には、胆汁を貯留するタンクの役割をしている胆嚢(たんのう)という袋状の臓器があり、胆嚢から先の胆管は総胆管といいます。肝外胆管閉塞とは、肝外胆管が詰まってしまう疾患です。

現れる症状は閉塞の程度により異なりますが、嘔吐(おうと)、食欲低下、元気消失、腹部痛、震え、発熱などが見られます。また、胆汁の流れが妨げられて血液中のビリルビン(赤血球に含まれる色素)の量が増え、高ビリルビン血症を引き起こすと、黄疸(おうだん:皮膚や粘膜が黄色くなる症状)が生じる場合があります。総胆管が完全に閉塞して数日以上経過すると、低血圧、心機能低下、急性腎不全、血液の凝固異常、敗血症などが引き起こされます。

さまざまな基礎疾患が肝外胆管閉塞の原因になり、胆管の外側の疾患が原因の場合と、内側の疾患が原因の場合に大きく区分できます。

胆管の外側の原因は、胆管・膵臓(すいぞう)・十二指腸などにできた腫瘍による圧迫、総胆管炎・膵炎・十二指腸炎などの外傷や炎症による狭窄(きょうさく:狭くすぼまった状態)、横隔膜ヘルニアなどがあります。胆管の内側の原因は、胆石や濃縮した胆汁による閉塞です。また、胆嚢内の胆汁がゼリー状に固まってしまう胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)という疾患が原因になる場合もあります。

肝外胆管閉塞の好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)はありませんが、原因となりうる疾患である膵炎はミニチュア・シュナウザーやテリア種が発症しやすく、胆嚢粘液嚢腫はシェットランド・シープドッグ、ミニチュア・シュナウザー、アメリカン・コッカー・スパニエルなどが好発犬種です。

事例の犬の肝外胆管閉塞の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 肝外胆管閉塞
通院日数 0日
入院日数 30日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の肝外胆管閉塞の診療内容

※下記の内容は、犬の肝外胆管閉塞の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、黄疸の有無を確認します。

血液検査

採血をして、肝酵素値の上昇や高ビリルビン血症の有無を観察します。膵炎の関与を調べるために、膵特異的リパーゼの検査を行う場合もあります。外科的な治療の可能性がある場合は、血液凝固系の検査も行います。

超音波検査

総胆管が通常よりも拡張していないか確認します。胆石といった閉塞物が確認できる場合もあります。

レントゲン検査・CT検査

胆石に含まれる成分によっては、レントゲンで確認できる場合があります。胆石の正確な位置や大きさを把握するために、CT検査が選択される場合もあります。全身麻酔下で行うため、血液検査や胸のレントゲン検査による術前検査が必要です。

治療法

原因や病態によって治療方法が異なります。炎症が原因のときは内科治療で改善する場合があります。内科治療で良くならない場合や、胆管内の閉塞物が原因の場合は外科治療が選択されます。

内科治療

輸液療法が必要であり、通常は入院して、胆汁の排泄(はいせつ)を促す薬や抗炎症剤を使用します。また、細菌感染を起こしているケースも多いため、抗生剤を投与します。嘔吐や食欲低下などへの対症療法を行いながら、基礎疾患がある場合は並行して治療を進めます。

外科治療

閉塞の原因を取り除く手術を行います。総胆管の内腔(ないくう)を確保するために、ステント(胆管内部に留置して狭窄部を押し広げて流れを良くする器具)を使用する場合もあります。胆嚢の状況次第では、胆嚢切除を同時に行う場合もあります。外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔を安全に行えるか確認します。

予後

内科治療で胆汁の流れが改善されても、再発した場合は外科手術が必要になります。外科手術の予後は、原因や術前の状態により異なります。特に、悪性腫瘍が原因だった場合は胆管の手術をしても、転移や再発などで予後が悪いケースも多く見られます。外科手術後の経過が良い場合でも、飲水や食事が可能になるまでは静脈点滴をしながらの入院が必要です。

まとめ

肝外胆管閉塞は外科手術が必要な場合が多く、胆管系の手術後に命を落とすリスクも決して低くありません。早期発見・早期治療のために、超音波検査を含む健康診断を定期的に受けて、原因となる基礎疾患をいち早く発見しましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 中耳真珠腫、短頭種気道症候群ほか 約65万円
2 僧帽弁閉鎖不全症、脂質代謝異常ほか 約45万円
3 腫瘍・破裂、歯科疾患 約45万円
4 環軸椎亜脱臼 約40万円
5 扁桃・扁平上皮癌 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
14.43

※2022年7月1日~2022年7月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年11月16日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの胃腸炎、外耳炎ほかの診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 胃腸炎、外耳炎ほか 約39,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の中耳真珠腫」を獣医師が解説

2022年7月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の中耳真珠腫」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

中耳真珠腫とは、どんな病気なのか

犬の耳は、外耳、中耳、内耳に大きく分けられます。外耳で音を集め、中耳で増幅させ、内耳で音を電気信号に変えて神経を通じて脳に伝えます。

中耳は太鼓のような構造になっており、太鼓の皮が鼓膜(こまく)、胴が鼓室(こしつ)に相当します。

中耳真珠腫は、なんらかの原因で外耳や鼓膜表面の皮膚細胞が中耳に入り込んだところへ、鼓膜由来の角化上皮落屑物(かくかじょうひらくせつぶつ:古くなってはがれ落ちる皮膚の細胞/垢(あか))が貯留する病気です。「腫」という名前がついていますが、本当の腫瘍ではありません。

耳を気にする、耳だれがある、頭が傾く、耳や頭のあたりに痛みが出るなど、一般的な外耳炎、中耳炎と同じような症状が見られます。また、中耳真珠腫は中耳周囲の骨組織を破壊しながら拡大していくため、開口障害による食欲不振や顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)も起こります。

人の中耳真珠腫は、鼓膜が鼓室側に陥没して袋状になった中に真珠腫ができるという報告があります。しかし、犬が中耳真珠腫になる経緯や原因は明らかになっていません。

外耳炎により外耳道が閉塞して発症するケースもあれば、外耳には異常がないのに中耳真珠腫ができるケースもあります。ただし、外耳に問題がない中耳真珠腫は、耳管(鼓室と鼻の奥をつなぎ、鼓室の圧を調整する細い管)の機能不全が多い短頭種でよく見られるため、耳管が関係していると考えられています。

事例の犬の中耳真珠腫の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 中耳真珠腫
通院日数 2日
入院日数 36日
手術回数 2回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の中耳真珠腫の診療内容

※下記の内容は、犬の中耳真珠腫の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。

頭や首のあたりに強い痛みが出ている場合、触れるだけでも怒ったり唸(うな)ったりしますが、別の理由で首を痛めているケースもあるため、痛みの場所を慎重に探ります。

耳鏡検査

耳道や鼓膜の様子を確認します。麻酔なしで検査できますが、鼓膜の詳細な観察には不向きです。

耳用内視鏡

耳道や鼓膜の様子を詳細に確認したり、内視鏡に特殊な器具を取り付けて組織の一部を採取したりします。全身麻酔下で行うため、血液検査や胸のレントゲン検査による術前検査が必要です。

レントゲン検査

耳道や中耳の様子を確認します。より詳細な情報を得るために、CTやMRIでの検査を必要に応じて行います。

CTやMRI

耳道の閉塞の有無、石灰化、鼓室内の貯留物の状況などを確認します。全身麻酔下で行うため、血液検査や胸のレントゲン検査による術前検査が必要です。

治療法

犬の中耳真珠腫は、全身麻酔下での外科治療が必要で、ふたつの方法があります。

ひとつ目は、耳道をすべて取り除き、鼓室内の真珠腫を摘出し洗浄する手術です。中耳真珠腫による症状はなくなりますが、手術を行った耳の聴覚は失われます。

ふたつ目は、耳用内視鏡を用いて真珠腫を少しずつ採取して小さくする方法で、症状の緩和が期待できます。

どちらの方法が選択されるかは、患部の状況から判断されます。いずれの場合も、全身麻酔を安全に行うために、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行います。

予後

手術2週間ほどで抜糸を行います。術後に顔面の神経麻痺が起こる場合がありますが、通常は一時的です。中耳真珠腫は再発するリスクが高いため、定期的な検診が必要になります。

まとめ

犬の中耳真珠腫を診断するのは非常に難しく、慢性的な外耳炎と判断される場合もしばしばあります。正しい中耳の診断を行うためには、CTやMRI検査、耳用内視鏡検査が必要です。長引く外耳炎、突然の顔面神経麻痺、頭や首のあたりを触ると怒るなどの症状がある際は、動物病院の先生と相談のうえ、詳細な中耳の検査を早めに受けましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 前十字靭帯断裂、骨折 約55万円
2 心臓弁膜症、心房破裂ほか 約55万円
3 前立腺肥大、前立腺がんほか 約50万円
4 胆嚢炎、脾臓腫瘤 約50万円
5 尿管結石、腎結石 約50万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
13.48

※2022年6月1日~2022年6月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年10月5日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの胃腸炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 胃腸炎 約23,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の前立腺肥大・前立腺がん」を獣医師が解説

2022年6月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の前立腺肥大・前立腺がん」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

前立腺肥大・前立腺がんとは、どんな病気なのか

前立腺はオスの生殖器のひとつで、精液の一部である前立腺液を分泌します。膀胱(ぼうこう)の出口付近の尿道をぐるりと取り囲むように位置しています。

前立腺肥大、前立腺がんともに、前立腺が腫れるため、排尿障害、排尿痛、排便障害、血尿などが起こります。排尿障害が原因で、細菌性の膀胱炎を併発するケースも珍しくありません。また、痛みにより歩行異常が生じる場合もあります。特に前立腺がんは、周辺の骨への転移が多く、骨が破壊されて激しい痛みが生じます。

前立腺肥大は、精巣から分泌される性ホルモンにより前立腺が過形成を起こすのが原因であり、去勢をしていない高齢犬で多く見られます。一方、前立腺がんも高齢犬で見られる病気ですが、発生率はかなり低く、去勢の有無は発生に関係ありません。犬の前立腺がんの場合、人の前立腺がんとは異なり、精巣から分泌される性ホルモンとは関連なく起こるためです。

事例の犬の前立腺肥大・前立腺がんの通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 前立腺肥大、前立腺がんほか
通院日数 20日
入院日数 13日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の前立腺肥大・前立腺がんの診療内容

※下記の内容は、犬の前立腺肥大・前立腺がんの一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。

触診(直腸検査)

肛門(こうもん)から指を入れ、腸壁越しに前立腺の腫れを確認します。

血液検査

採血をして、全身状態を確認します。前立腺肥大や前立腺がんでは、血液検査に特異的な異常は起こりません。

画像検査

レントゲン検査や超音波検査により、膀胱や前立腺を確認します。レントゲン検査の際に尿道から造影剤を入れて、前立腺の状態とともに尿道の狭窄(きょうさく:すぼまって狭い状態)を確認する場合もあります。また、前立腺がんの場合、初診時にすでに転移しているケースも多く、リンパ節や骨、各臓器への転移の有無を確認します。

尿検査

尿道カテーテルで採尿し、細菌感染の有無や血尿などを確認します。

病理検査

前立腺の一部を採取し、前立腺がんなのか、前立腺肥大なのか、細菌感染なのかなどを顕微鏡で鑑別します。

治療法

前立腺肥大は、精巣から分泌される性ホルモンの影響を受けて発症するため、去勢手術が一番効果的であり、治療の第一選択となります。繁殖や手術のリスクなどの理由から手術を選択できない場合は、内服薬を使用します。

前立腺がんは、前立腺の全摘出が可能な場合に外科治療を行いますが、技術的に非常に難しく、合併症を起こすリスクもあります。

外科治療が困難な場合は、必要に応じて抗がん剤や放射線治療が選択されます。放射線治療が行える動物病院は少なく、大学病院で行う場合がほとんどです。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔を安全に行えるか確認します。

排尿障害の状況によっては、排尿ルートを確保するために尿道カテーテルの設置も行います。

予後

前立腺肥大は、去勢手術を行えば予後は非常に良好で、一般的には去勢手術後2~3か月で肥大していた前立腺は小さくなっていきます。

一方、前立腺がんは悪性度がかなり高く、外科手術はがんを完全に取り除くためというよりも、症状を和らげる目的で選択される場合があります。抗がん剤や放射線療法も症状の緩和に一定の効果はありますが、前立腺がんを長くコントロールするのは難しく、どの治療法を選択しても残念ながら予後はあまり期待できません。

まとめ

前立腺肥大と前立腺がんの症状はとてもよく似ていますが、原因や治療法は全く異なり、予後も大きく変わります。また、前立腺肥大は去勢手術での予防が可能ですが、前立腺がんは去勢手術での予防はできません。

前立腺がんは非常に悪性度が高いため、飼い主さんがどれだけ早く気づいてあげられるかが重要です。愛犬がシニアになったら、画像診断を含む定期健診を検討しましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周炎、胆嚢粘液嚢腫 約75万円
2 乳腺腫瘍、皮膚腫瘤ほか 約45万円
3 脳腫瘍 約45万円
4 膿皮症、胆嚢破裂など 約45万円
5 肥満細胞腫 約45万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
15.55

※2022年5月1日~2022年5月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年9月7日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットのマラセチア性外耳炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 マラセチア性外耳炎 約24,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の肥満細胞腫」を獣医師が解説

2022年5月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の肥満細胞腫」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

肥満細胞腫とは、どんな病気なのか

肥満細胞腫は、血管の周囲、皮膚、皮下組織、肺、消化管など、体のいたるところに存在する造血幹細胞(骨髄で血球を作るもとになっている細胞)由来の肥満細胞ががん化する病気です。単発で発生する場合と、多発する場合があります。

犬の肥満細胞腫は皮膚にできるケースがほとんどで、犬に一番多く見られる皮膚腫瘍です。皮膚の腫瘤(しゅりゅう:しこりのこと)やリンパ節の腫れ以外の初期症状はほぼありませんが、触った刺激などで腫瘤内の肥満細胞からヒスタミンなどが放出されることにより、周囲が急に腫れたり、赤くなったりする「ダリエ徴候」と呼ばれる症状が現れる場合があります。その後、腫れは引いてくるため、「腫瘍が急に大きくなったがすぐにまた小さくなった」という報告を飼い主さんからされることがあります。

この、肥満細胞からのヒスタミンなどの放出は、主要部分以外にも影響するため、肥満細胞腫になると多量のヒスタミンによって消化管潰瘍や血圧の低下が起こる場合があります。

犬の肥満細胞腫は、ボクサー、ボストン・テリア、パグ、イングリッシュ・ブルドッグ、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなどが好発犬種(病気にかかりやすい犬種)です。

事例の犬の肥満細胞腫の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 肥満細胞腫
通院日数 13日
入院日数 15日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の肥満細胞腫の診療内容

※下記の内容は、犬の肥満細胞腫の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに皮膚病変を見つけた時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。

触診

あごの下、脇の下、後ろ足の付け根、膝の裏など、皮膚のすぐ下にあるリンパ節を触って、腫れの有無を確認したり、腫瘍の大きさを測ったりします。

血液検査

採血をして、貧血や各臓器への影響の有無などを確認します。全身性の肥満細胞腫では、血液中に多数の肥満細胞腫を確認できることもあります。

画像検査

レントゲン検査や超音波検査により、肺、肝臓や腎臓などの臓器、リンパ節への転移の有無を確認します。臓器への転移は画像で確認できない場合も多く、必要に応じて細胞診を行います。

細胞診

腫瘍に細い針を刺して採取した細胞を顕微鏡で観察し、肥満細胞腫なのか、炎症や過形成(過剰に細胞が増殖した状態)などほかの原因で腫れているのか鑑別します。肥満細胞腫と判断できた場合は、悪性度の高さも確認します。

リンパ節への転移の有無を確認することは重要であるため、リンパ節の細胞診も行うことが多いです。また、各臓器の細胞診を行う場合もあります。

遺伝子検査(c-kit遺伝子検査)

腫瘍やリンパ節などから採取した細胞の遺伝子を検査します。肥満細胞腫の中でも、c-kit遺伝子※が変異したタイプなのか判断が可能で、治療薬の選択に役立ちます。

※肥満細胞の表面に存在し、増殖の信号を出すKITたんぱくというたんぱく質の設計図にあたる遺伝子

治療法

犬の肥満細胞腫の治療方法には、外科手術、放射線治療、化学療法があり、悪性度や原発巣(最初に腫瘍が発生した病変)が切除可能かで変わります。明らかな転移がある、飼い主さんが外科治療を望まないなどの理由で外科治療を行わないケースでは、化学療法や放射線治療から開始します。

外科手術

十分なマージン(がん細胞が存在しないと想定される範囲)を確保して、腫瘍を切除します。

悪性度が高い場合や、転移がある場合、腫瘤が十分に切除しきれない場合は、外科手術と併用して化学療法や放射線治療を行います。

放射線治療

強力なX線を当ててがん細胞を傷害し、腫瘍を小さくする効果があります。外科手術後に行うのがより有効ですが、マージンが確保できない場合は放射線治療から始める場合もあります。放射線治療が行える動物病院は少なく、大学病院などで行うことがほとんどです。

化学療法

抗がん剤を投与して、細胞分裂を阻害し腫瘍をコントロールします。肥満細胞に効果を示す抗がん剤はいくつかあり、効果の反応を見ながら組み合わせて使用します。c-kit遺伝子に変異があるタイプには、分子標的薬という抗がん剤が効果的です。ただし、c-kit遺伝子の変異が検出されなかった場合でも分子標的薬が効果を示す例もあります。

消化管潰瘍や血圧の低下が見られる場合は、必要に応じて抗ヒスタミン薬が処方されます。化学療法は数か月、場合によっては数年行われます。

予後

リンパ節や臓器に転移しておらず、腫瘍の悪性度も低く、十分なマージンを確保して切除できた場合、定期観察となり、予後は良好です。悪性度が高い場合や完全に切除しきれなかった場合は、長期的な化学療法が必要になります。化学療法を行っている間は、副作用の影響を考慮して定期的に血液検査を行います。

まとめ

肥満細胞腫の外観はさまざまで、見た目だけでは悪性度が高い腫瘍に見えない場合もあるため、つい見過ごしてしまう飼い主さんも少なくありません。転移が起こる前に診察や検査を受け、早期発見・早期治療が重要です。愛犬にしこりや病変を見つけたら、小さいからと放置せず、動物病院を早めに受診しましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 急性胃腸炎、胆嚢炎 約65万円
2 パテラ 約60万円
3 白内障、膵炎ほか 約40万円
4 膀胱がん 約40万円
5 腸炎、膵炎疑い 約35万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
15.29

※2022年4月1日~2022年4月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年8月10日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの膀胱炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 膀胱炎 約24,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の胆嚢炎」を獣医師が解説

2022年4月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の胆嚢炎」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

胆嚢炎とは、どんな病気なのか

胆嚢(たんのう)は肝臓の近くにある袋状の臓器で、肝臓で作られた胆汁を貯留する働きがあります。胆嚢に貯留された胆汁は、胆管という管を通じて十二指腸に排出され、消化を助けます。

胆嚢炎とは、胆嚢に起こる炎症性疾患の総称で、症状の進行度や状態によって急性、慢性、気腫性、壊死性などに分けられます。胆嚢炎は、胆石や細菌感染により引き起こされるケースが見られますが、原因がはっきりしない場合も多く、胆汁うっ滞、胆嚢粘液嚢腫、基礎疾患などが関与して発症すると考えられています。

軽度の胆嚢炎では、多くの場合が無症状です。急性例では、食欲不振、嘔吐(おうと)、腹痛、発熱などが見られます。重篤例では、敗血症やショックを起こして命にかかわる場合もあるため、非常に危険です。

胆嚢炎を発症すると、肝臓の機能が低下したり、胆汁の流れが妨げられたりします。そのため、血液中のビリルビン(赤血球に含まれる色素)の量が増え、高ビリルビン血症を引き起こして、黄疸(おうだん:皮膚や粘膜が黄色くなる症状)が生じる場合があります。

胆嚢炎には、好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)や性差はなく、すべての犬に発症リスクがあります。

事例の犬の胆嚢炎の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 胆嚢炎、急性胃腸炎
通院日数 2日
入院日数 26日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の胆嚢炎の診療内容

※下記の内容は、犬の胆嚢炎の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、黄疸の有無を確認します。

血液検査

採血をして、白血球数の増加や肝酵素値の上昇がないかなどを確認します。また、高ビリルビン血症の有無を観察します。

超音波検査

超音波の画像により、胆嚢の状態を確認します。胆嚢壁の肥厚、胆汁うっ滞、胆泥、胆石、胆管閉塞などの有無を観察します。

微生物学的検査

胆嚢に細い針を刺して(胆嚢穿刺:たんのうせっし)採取した胆汁から細菌や真菌などを培養して、どのような微生物が存在しているのか、どのような薬が有効かなどを検査します。胆嚢穿刺は麻酔をかけずに行いますが、胆汁の性質や状態を見て太い針を使用する必要がある場合などは麻酔下で行います。

治療法

病態によって治療方法が異なります。細菌感染が見られる場合は、内科治療が基本です。胆管閉塞により胆汁の排出障害を起こしている場合や、胆嚢が破裂もしくは破裂のリスクが高い場合、内科治療で改善が望めない場合は、外科手術が選択されます。

内科治療

抗生剤の投与が中心です。必要に応じて感受性テスト(どの抗生剤が効果的か調べる検査)を行います。抗生剤の静脈注射と輸液のための静脈点滴が必要な場合は、入院治療を行うケースもあります。
合併症や基礎疾患がある場合は、並行して治療を行います。

外科治療

胆嚢を切除します。胆管閉塞が見られる場合は、同時に閉塞を解除する手術も行います。外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔を安全に行えるか確認します。

予後

内科療法で症状がコントールできるケースは、予後は良好です。ただし、合併症や基礎疾患が関与している場合などは再発のリスクがあり、追加で外科手術が必要になるケースがあります。胆嚢が破裂していたり、腹膜炎を起こしていたりする場合は、外科手術を行っても予後が期待できない可能性があります。外科手術後の経過が良い場合でも、飲水や食事が可能になるまでは静脈点滴をしながらの入院が必要です。

まとめ

犬の胆嚢炎は初期症状がほとんどなく、症状が出たときには非常に危険な状態になっている場合が多く見られます。早期発見・早期治療がなによりも大切になるため、超音波検査を含む定期的な健康診断をきちんと受けて、愛犬を胆嚢炎から守りましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 腎臓病、歯科疾患 約60万円
2 尿管結石、尿管閉塞 約55万円
3 モンテジア骨折 約50万円
4 悪性リンパ腫、下痢ほか 約45万円
5 歯肉炎、僧帽弁閉鎖不全症ほか 約45万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
12.82

※2022年3月1日~2022年3月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年7月6日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病の診療をご紹介します。

犬の歯周病について詳しく

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病 29,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬のモンテジア骨折」を獣医師が解説

2022年3月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬のモンテジア骨折」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

モンテジア骨折とは、どんな病気なのか

前足には、肘から足首をつなぐ細長い2本の骨があります。肘から親指側をつないでいるのが「橈骨(とうこつ)」、肘から小指側をつないでいるのが「尺骨(しゃっこつ)」です。モンテジア骨折とは、尺骨の骨折と橈骨頭(肘関節)の脱臼が同時に起こる疾患です。

骨折や脱臼により、強い痛み、腫れ、熱感などが起こり、前足を挙上したまま地面に着けないという症状が見られます。

モンテジア骨折は犬でも猫でも発症はまれで、好発犬種(特定の病気にかかりやすい犬種)は不明です。ただし、前足の骨折はトイ・プードル、チワワ、ミニチュア・ピンシャー、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどのトイ犬種での発生が多く見られます。

犬の骨折について詳しく

事例の犬のモンテジア骨折の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 モンテジア骨折
通院日数 5日
入院日数 15日
手術回数 2回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬のモンテジア骨折の診療内容

※下記の内容は、犬のモンテジア骨折の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、患肢(ケガをしている足)の体重のかけ方、腫れ、熱感、痛みの度合いなどを観察します。

画像検査

骨折や脱臼が疑われる場合、レントゲン検査を行います。足の角度を変え、数枚撮影します。骨折はレントゲン検査で確定診断が可能ですが、橈骨頭の脱臼は判別できない場合があります。

治療法

犬のモンテジア骨折の治療法は、外科治療が第一選択ですが、状況によっては保存療法を行います。

保存療法

非観血的(手術を行わない内科的治療)に、皮膚の上から脱臼を整復し、ギプスで固定して骨癒合を試みます。しかし、再脱臼や癒合不全を起こすリスクが高いため、通常は選択されません。

外科治療

外科治療にはいくつかの方法があり、骨折の状況、脱臼の程度、犬の性格、術後の管理や通院がどのくらい可能かなどを考慮して、獣医師が決定します。骨折に対しては、プレート(骨折部位にあてスクリューで固定する器具)や、創外固定器(患肢の外側にあて、皮膚を通したピンやワイヤーを骨に貫通させる器具)を用いて整復する方法があります。脱臼に対しては、整復した脱臼部分を人工の靭帯(じんたい)で固定します。モンテジア骨折は、骨折と脱臼が併発しているため、骨折のみの場合よりも難易度の高い手術になります。

なお、外科治療は全身麻酔下で行います。術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔を安全に行えるか確認します。

予後

術式や、骨折・脱臼の状況により予後も異なりますが、通常は術後1週間程度の入院が必要になります。退院後も骨癒合の状態や術創の確認のため、数か月間は定期的な通院が必要です。自宅で愛犬を安静に保つのが難しい場合は、術後の入院期間が長くなるケースもあります。骨折部位に装着したプレートや創外固定器を抜去する時期は、骨癒合の状況により異なります。難易度の高い手術のため、手術後も跛行(はこう:正常な歩行ができない状態)が残ったり、再手術が必要になったりする場合があります。

まとめ

犬が前足を骨折するのはよく見られますが、骨折と脱臼が同時に起こるモンテジア骨折は珍しい疾患です。ほとんどのケースで外科手術が必要で、診療費は高額になる傾向があるため、愛犬はもちろん飼い主さんの負担も大きいと言えます。しかし、適切な治療を受けた愛犬は痛みから解放され、再び日常生活を送れるようになります。足に異常が認められた場合は、速やかに動物病院を受診しましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

関連記事

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 膵炎、血小板減少症ほか 約60万円
2 会陰ヘルニア、下痢ほか 約45万円
3 蛋白漏出性症、慢性胆のう炎ほか 約40万円
4 異物誤飲・急性胃炎ほか 約40万円
5 僧帽弁閉鎖不全症、肺水腫 約35万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
13.17

※2022年2月1日~2022年2月28日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年6月8日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病の診療をご紹介します。

犬の歯周病について詳しく

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病 30,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の会陰ヘルニア」を獣医師が解説

2022年2月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の会陰ヘルニア」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

会陰ヘルニアとは、どんな病気なのか

会陰部に生じるヘルニア(体の組織が本来ある場所から飛び出す状態)が会陰ヘルニアです。会陰部は肛門(こうもん)付近の場所で、オスでは肛門から陰嚢(いんのう)の間、メスでは肛門から膣口(ちつこう)の間が該当します。骨盤の底には骨盤隔膜という強い筋肉や筋膜があり、直腸や膀胱(ぼうこう)があるべき場所に収まるようにしっかり支えていますが、骨盤隔膜が委縮すると会陰ヘルニアが起こります。

会陰ヘルニアでは、脂肪、直腸、膀胱、前立腺などが飛び出す場合があります。

便の出が悪かったり、会陰部の膨らみに気付いたりして動物病院を受診する場合が多く見られますが、ほかに現れる症状は何が飛び出しているかによって異なります。脂肪だけであれば大きな症状は見られませんが、直腸の一部が飛び出すと便秘や排便困難、しぶりなどが生じ、膀胱の一部が飛び出すと排尿障害、排尿痛などが生じます。

会陰ヘルニアにかかるほとんどの症例はオスであり、メスではまれです。特に、去勢をしていない中年齢以降のオスで発症リスクが高まります。

事例の犬の会陰ヘルニアの通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 会陰ヘルニア
通院日数 5日
入院日数 16日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の会陰ヘルニアの診療内容

※下記の内容は、犬の会陰ヘルニアの一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。特に、去勢手術が済んでいるか、排尿排便時の様子に異常はないか聞き取ります。また、会陰部の膨らみの様子を観察します。ヘルニアが片側だけの場合もあれば、両側の場合もあります。

触診

直腸検査を行います。直腸から指を入れ、会陰部の膨らみがある部分に直腸の一部が入り込んでいないか確認します。入り込んだ直腸が憩室(袋状になった状態)になると、便が溜まって症状がさらに悪化する場合があります。

画像検査

レントゲン検査や超音波検査を行い、直腸や膀胱の一部がヘルニアを起こしていないか確認します。造影剤を使用する場合もあります。

そのほか

ほかの病気との鑑別や、体の現状を知るために、必要に応じて血液検査を行います。

治療法

根本的な治療は外科手術のみです。内科治療は、重度ではない症例かつ外科治療が難しい場合にのみ選択されます。

内科治療

会陰ヘルニアにより排便困難が見られる場合は、下剤を用いて排便を促します。ヘルニアが生じている直腸の一部に便が溜まっている場合は、摘便を行う場合もあります。

外科治療

ヘルニア部分を塞ぐ手術を行います。去勢手術が済んでいない場合は、同時に行うケースもあります。ヘルニア部分を塞ぐ材料には、人工物(メッシュ)や自己組織(筋肉や精巣の総鞘膜など)を使用します。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔が安全に行えるか確認します。

予後

外科治療を行っても再発リスクは高く、1年以内に再発するケースもあります。特に、骨盤隔膜の委縮が重度の場合や、ヘルニアが両側に発生している場合は、再発リスクが高まります。再発した場合は、再手術が必要です。

まとめ

会陰ヘルニアは去勢手術で発症リスクが減らせます。去勢手術には、太りやすくなるというデメリットが挙げられますが、会陰ヘルニアや前立腺疾患、精巣疾患などの病気を予防でき、穏やかに過ごしやすくなるというメリットもあります。会陰ヘルニアをはじめとするさまざまな病気で大切な愛犬が苦しまないためにも、去勢手術をまだ迷っている飼い主さんは、一度検討してみましょう。

また、高齢になって、排便に時間がかかったり、便秘気味になったりした際には、「年のせいかな」と様子を見ずに、早めに動物病院を受診するのも大切です。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 椎間板ヘルニア、膵炎ほか 約60万円
2 発作、尿道閉塞ほか 約60万円
3 腎不全、前立腺がんほか 約55万円
4 慢性腎不全、心疾患ほか 約50万円
5 胆管閉塞疑い、膿皮症ほか 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
10.39

※2022年1月1日~2022年1月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年5月11日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの胃腸炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 胃腸炎 25,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「猫の門脈体循環シャント」を獣医師が解説

2022年1月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「猫の門脈体循環シャント」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

門脈体循環シャントとは、どんな病気なのか

門脈は、胃腸や脾臓(ひぞう)、膵臓(すいぞう)などの腹部の臓器(泌尿器系を除く)から集められ肝臓に入っていく静脈を指します。門脈内の血液には、胃腸から吸収した栄養やそのままでは有毒な物質が含まれていますが、正常な場合は肝臓内でより吸収されやすいかたちや害のないかたちに代謝され、心臓に戻る静脈に合流します。

門脈体循環シャントとは、この門脈が枝分かれして異常な血管(シャント)ができてしまう疾患です。そのため、肝臓で代謝が済んでいない門脈血が体循環(心臓から送られた血液が動脈、毛細血管を経て静脈を通って心臓に戻る循環)に直接入り込み、さまざまな症状を引き起こします。門脈体循環シャントは、生まれつきの先天性と、門脈圧の上昇が原因で後から発生する後天性があります。

門脈体循環シャントの症状として、肝臓への栄養供給不足による発育不良、本来肝臓で代謝される有害物質が脳に達して脳の機能が低下する病気(肝性脳症)による神経症状(ふらつき、異常行動、よだれの垂れ流し、沈うつ、視力低下など)、血尿、頻尿などがあります。通常、これらの症状は1~2歳までに現れます。

門脈体循環シャントは、アメリカン・ショートヘア、ペルシャ、シャムなどの猫種で起こりやすいとの報告があります。また、猫では後天性のケースは非常にまれです。

事例の猫の門脈体循環シャントの通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 門脈体循環シャント
通院日数 20日
入院日数 15日
手術回数 2回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

猫の門脈体循環シャントの診療内容

※下記の内容は、猫の門脈体循環シャントの一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診、触診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。生まれつき門脈体循環シャントがある猫は体が十分に発育しない場合があるため、体つきも観察します。

血液検査

血中の肝酵素、尿素窒素、クレアチニン、アンモニアなどを確認します。また、食前と食後2時間の総胆汁酸(TBA)の値を測定します。これにより肝臓がどれくらい働いているか、門脈体循環シャントの可能性が高いかを判断できます。

画像検査

レントゲン検査と超音波検査を行い、肝臓の状態や大きさ、血管を確認します。シャント部分の血管を詳細に検査するために、造影剤を使用したCT検査が必要になる場合があります。

尿検査

採尿をして、尿の色、濃さ、たんぱくや糖の有無、細菌や結晶成分があるかなどを確認します。門脈体循環シャントが発生すると、尿が薄くなる傾向があります。

治療法

先天性の門脈体循環シャントでは外科治療が第一選択になります。一方、後天性の場合は通常、外科治療ではなく、内科治療が選択されます。

外科治療

門脈血が直接静脈に流れないように、シャント部分の血管を結紮(けっさつ)する手術を行います。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔が安全に行えるかを確認します。

内科治療

肝性脳症に対する治療が中心です。急性の肝性脳症を起こしている場合は、点滴を流しながらの入院が必要になりますが、通常は通院で治療を行います。血液中のアンモニアの上昇を抑えるために、アンモニアが発生しにくい食事への変更が推奨され、アンモニアの排泄(はいせつ)を促す薬を使用します。腸内でアンモニアやその他の毒素を産生する細菌を減らすために、抗生剤を使用する場合もあります。

予後

外科治療の合併症として発作が起こる場合がありますが、術後数か月で落ち着いてくるケースが多い傾向にあります。順調に回復し退院できた場合は、7割程度が予後も長期的に良好です。一方、重度の門脈圧の上昇があり内科治療を行っても症状が安定しない場合、予後は残念ながらあまり期待できません。

まとめ

猫の場合、門脈体循環シャントの発生自体が犬に比べると低く、後天的に発生するのはさらにまれです。そのため、ふらつきやよだれの垂れ流しなどが見られても、一番初めに門脈体循環シャントを疑う必要はありません。門脈体循環シャントは血液検査で診断できる病気ですので、少しでも気になるときは獣医師に相談をして、検査を受けましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 僧帽弁閉鎖不全症 約75万円
2 心筋症・壊死 約50万円
3 てんかん発作、腎不全 約50万円
4 脳腫瘍、脳腫瘤 約50万円
5 僧帽弁閉鎖不全症 約45万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
7.88

※2021年12月1日~2021年12月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年4月6日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの胃腸炎の診療をご紹介します。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 胃腸炎 36,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の脳腫瘍・脳腫瘤」を獣医師が解説

2021年12月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の脳腫瘍・脳腫瘤」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

脳腫瘍・脳腫瘤とは、どんな病気なのか

腫瘍には良性と悪性があり、悪性のものを「がん」と呼びます。頭蓋内にできる脳腫瘍には、頭蓋内の組織から発生した「原発性」と、頭蓋内以外の場所でできたがん病巣から血管やリンパ管を介して頭蓋内に転移した「転移性」があります。このほかに、鼻腔(びくう)内にできた腫瘍が拡がって脳まで到達する「浸潤性」もあります。
脳腫瘍は、一般的に高齢での発症が多い疾患です。

犬の原発性脳腫瘍で一番多いのは、髄膜腫(脳を覆っている膜から発生する腫瘍)です。転移性脳腫瘍は、リンパ腫、血管肉腫、乳腺がんなどが挙げられます。

脳腫瘍の症状や予後は、腫瘍の種類以外にも、腫瘍ができた場所や大きさなどによって異なります。良性でも、腫瘍が大きくなるにつれ頭蓋内圧が上昇するため、けいれん発作といった神経症状が起こります。

事例の犬の脳腫瘍・脳腫瘤の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 脳腫瘍・脳腫瘤
通院日数 0日
入院日数 20日
手術回数 1回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の脳腫瘍・脳腫瘤の診療内容

※下記の内容は、犬の脳腫瘍・脳腫瘤の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。

触診

脳腫瘍は頭蓋内にあるため触診での確認はできません。転移性脳腫瘍の原発巣になりうる乳腺がんやリンパ腫などは、触診で確認できる場合もあります。

血液検査

採血をして、全身状態を確認します。また、脳腫瘍と同様の神経症状を起こす疾患の除外も行います。

画像検査

全身状態の確認のためにレントゲン検査を行います。転移性脳腫瘍の原発巣が確認できる場合もあります。ただし、脳腫瘍の診断はレントゲン検査では行えないため、CT検査やMRI検査が必要です。

病理検査

手術前の病理検査は通常不可能ですが、浸潤性のケースでは、鼻腔内腫瘍を採取し確認できる場合もあります。

治療法

脳腫瘍の一番の治療法は外科治療ですが、腫瘍の発生場所や、周りの組織への浸潤(しみ込むように広がる状態)の状況によっては外科治療ができません。その場合は、放射線療法や内科治療を行います。

外科治療

頭蓋内の病巣部を切除します。なお、外科手術は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔が安全に行えるかを確認します。

放射線療法

放射線療法は、外科手術ができない場合や、手術したものの腫瘍を完全に摘出できなかった場合、悪性度の高い脳腫瘍で再発を防止する目的などで行います。放射線療法が可能な病院施設は限られるため、かかりつけの病院からの紹介が必要です。

内科治療

抗がん剤や脳腫瘍により上昇した頭蓋内圧を下げるための薬、てんかん発作を抑えるための薬などが使用されますが、十分な治療法はまだ確立されていません。自力での排泄(はいせつ)ができないケースでは、圧迫排尿といった看護管理が行われます。

予後

腫瘍が大きくなる前に外科治療が行えたかどうかで予後は異なります。悪性度の低い小さな腫瘍が完全に切除できた場合は、術後も数年生存できた報告もあります。外科治療が行えず、内科療法のみの場合は、残念ながら予後は不良のケースがほとんどです。

まとめ

脳腫瘍によりふらつきや認知機能の低下などの症状が現れますが、「年のせい」と誤解されがちで、診断が遅れるおそれがあります。少しでも愛犬のいつもと異なる症状に気付いたら、積極的に動物病院を受診して、加齢による現象なのか脳腫瘍による問題なのかを診断してもらいましょう。早期に適切な治療を受けることで症状が和らぎ、良好な予後が期待できます。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 アポクリン腺癌、尿道炎 約50万円
2 網膜剥離、左前十字靭帯部分断裂 約45万円
3 肝臓病、胆嚢炎ほか 約40万円
4 膝蓋骨内方脱臼 約40万円
5 僧帽弁閉鎖不全症、肺水腫ほか 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
12.17

※2021年11月1日~2021年11月30日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年3月9日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの膀胱炎、腎盂腎炎の診療をご紹介します。

犬の膀胱炎について詳しく

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 膀胱炎、腎盂腎炎 40,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「犬の膝蓋骨内方脱臼」を獣医師が解説

2021年11月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「犬の膝蓋骨内方脱臼」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

膝蓋骨内方脱臼とは、どんな病気なのか

膝蓋骨は膝にあるお皿のような形の骨で、大腿骨(だいたいこつ)にある溝におさまっています。膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨が大腿骨の溝から外れてしまう病気で、内側に外れるのが内方脱臼です。膝蓋骨脱臼が起こると、後肢(後ろ足)を地面に着けずに挙上した(持ち上げた)ままにしていたり、触ると痛がったりします。自ら屈伸などをして自然と脱臼が戻ることもありますが、繰り返し脱臼したり、戻らなかったりする場合は手術になるケースもあります。脱臼に伴い、膝蓋骨を支える前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)の損傷や、足の骨に変形が見られる場合もあります。

膝蓋骨内方脱臼の好発犬種(その病気にかかりやすい犬種)として、先天的に大腿骨の溝が浅いトイ種(チワワ、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、トイプードルなど)が挙げられます。ただし、どの犬種でも事故の外傷で膝蓋骨脱臼を起こす可能性があります。内方脱臼とは逆に、外側に外れる場合を外方脱臼といい、大型犬や牛・馬などに多く見られます。

犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)について詳しく

事例の犬の膝蓋骨内方脱臼の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 膝蓋骨内方脱臼
通院日数 8日
入院日数 9日
手術回数 2回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

犬の膝蓋骨内方脱臼の診療内容

※下記の内容は、犬の膝蓋骨内方脱臼の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。また、犬の体格、四肢の位置、体重のかけ方、座り方、筋肉のつき方などを観察します。

触診

膝蓋骨の脱臼のしやすさや戻り具合などを触診で確認し、画像診断の結果と合わせて、以下の4つのグレードに分けます。

グレード1:膝蓋骨を指で押すと脱臼するが、押すのをやめるとすぐに正しい位置へ戻る。

グレード2:膝蓋骨を指で押したり膝を曲げたりすると脱臼し、押すのをやめても正しい位置へ戻らない。膝を伸ばしたり指で膝蓋骨を押したりすると、正しい位置に戻る場合が多い。

グレード3:膝蓋骨がいつも脱臼している状態で、指で押すと正しい位置に戻るが手を離すとすぐにまた脱臼してしまう。

グレード4:膝蓋骨がいつも脱臼している状態で、正しい位置に戻せない。

画像検査

レントゲン検査を行い、膝蓋骨の位置、大腿骨の溝の状態、骨のねじれの有無などを確認します。

治療法

犬の膝蓋骨内方脱臼では、グレードにより治療法が変わります。
グレード1では状態を悪化させないように、普段の生活で以下の3点に気を付けながら、経過観察を行います。

1.体重管理

適正な体重をキープして、膝への負担を軽減します。特に小型犬では、数百グラムの体重の増加でも膝に負担がかかる可能性があります。

2.運動制限

適度な運動は健康維持には大切であり、筋肉が発達することは膝関節を支えるうえでも重要です。しかし、膝蓋骨脱臼と診断を受けた場合は、運動制限が必要な場合があります。全速力で走る行為などは避けたほうがいいでしょう。

3.床材の見直し・足裏のケア

四肢が滑りやすいと関節に負荷がかかります。フローリングの上に滑りにくい素材の床材を敷いたり、塗るタイプの滑り止めなどを使用したりすることをおすすめします。
また、爪が伸びすぎていたり、肉球が毛で覆われていたりすると滑りやすくなります。爪や足裏を定期的にチェックしましょう。

グレード2以上には、外科治療が第一選択です。外科治療では、膝蓋骨が脱臼しないよう安定させる手術を行います。術式は数種類あり、グレードや前十字靭帯の損傷の状態、骨の変形の有無、犬の状態などから総合的に判断します。両後ろ足が膝蓋骨内方脱臼を起こしている場合は、一方の足を手術し、1か月ほどして状態が安定してからもう片方の足の手術を行います。なお、外科治療は全身麻酔下で行うため、術前検査として血液検査や胸のレントゲン検査を行い、全身麻酔を安全に行えるかを確認します。

予後

術式によって予後に多少の差が出ますが、通常は手術から2週間ほどは安静に過ごし、同じ頃に抜糸を行います。術後1か月くらいから徐々に運動ができます。自宅で愛犬を安静にさせるのが難しい場合は、術後の入院期間が長くなる可能性があります。また、術後は定期的な診察と経過観察を行い、患部の腫れや痛みがある場合は内服(飲み薬)で治療します。

まとめ

犬の膝蓋骨内方脱臼は、なりやすい犬種が存在するものの、どの犬種でも起こるおそれがある疾患です。
グレード2以上のベストな治療は外科手術です。診療費が高額ではありますが、適切なタイミングで適切な手術を受けることで、愛犬は痛みから早く解放され、お散歩やお出かけなど日常生活を楽しめるようになります。また、グレード1と診断された場合は、膝に過度な負担がかからないよう愛犬の体調管理やこまめなケアを心がけましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

関連記事

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 僧帽弁閉鎖不全症 約75万円
2 リンパ腫 約55万円
3 糖尿病、リンパ腺炎ほか 約40万円
4 リンパ腫 約40万円
5 胆嚢破裂、腎機能障害 約40万円

※お支払い金額は1回の請求ベースで掲載しております。
※個別の契約に関してはお答えできません。個人が特定できない範囲で情報を掲載しています。

請求書類到着日から
着金するまでの日数
平均
12.08

※2021年10月1日~2021年10月31日に保険金支払手続きを行った事案
※保険金請求書類が整った日の翌日から起算してお客さまの口座に振り込まれる日までの実日数(土日祝日を含みます)

一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

[追記日] 2022年2月2日

平均的な保険金のお支払い事例

保険金のお支払いは、上記のように高額なものに限りません。次に、平均的な保険金のお支払い事例としてペットの歯周病、腎盂腎炎の診療をご紹介します。

犬の歯周病について詳しく

事例 種類 病気・怪我の種類 お支払い金額
1 歯周病、腎盂腎炎 40,000円

上記金額は、1,000円未満を切り捨てています。

高額診療「猫の糖尿病」を獣医師が解説

2021年10月度の高額保険金お支払い事例で取り上げた「猫の糖尿病」の診療内容について、当社ペット保険付帯サービス『獣医師ダイヤル』を担当されています「電話どうぶつ病院Anicli24」院長、三宅亜希先生にご解説いただきました。

糖尿病とは、どんな病気なのか

人間同様、猫も生きていくためには糖が必要です。食べ物から吸収された糖は、血液中に存在し、細胞に取り込まれてエネルギー源になります。糖尿病は、血液中に糖が過剰にありながら細胞に取り込めず、細胞内の糖が枯渇して代謝異常を起こす疾患です。血液中の過剰な糖は尿中へと排泄(はいせつ)されるため、糖尿病と呼ばれています。猫が糖尿病になる原因は、インスリン(血液から細胞内に糖を取り込む働きをするホルモン)が不足したり、正常に働かなかったりして血糖値が高いままになる場合が多く、人でいう「2型糖尿病」に近いタイプです。

糖尿病の症状として、多飲多尿(水をたくさん飲んで尿をたくさん排泄する)、たくさん食べるのに瘦せるなどが現れます。飼い主さんがこれらの症状に気づく前に、健康診断時の尿検査や血液検査で糖尿病が見つかる場合もあります。

病態が進行すると、元気消失、食欲不振、脱水、昏睡(こんすい)などが起こります。症状が重い場合は命に関わるため、緊急入院をしてすぐに治療が必要です。

糖尿病はどの種類の猫でも発症し、中年以降の場合が一般的です。肥満や栄養が偏った食事をとっている猫は発症リスクが高まります。また、膵炎(すいえん)や感染症などの疾患、治療による薬剤使用などが糖尿病を誘発する場合もあります。

猫の糖尿病について詳しく

事例の猫の糖尿病の通院日数、入院日数、手術回数について

種別
傷病名 糖尿病
通院日数 18日
入院日数 17日
手術回数 0回

※上記の数値は、PS保険加入者さまから請求されたものであり、ペットメディカルサポート株式会社が補償する範囲を示すものではありません。また、平均や水準を示すものでもありません。

猫の糖尿病の診療内容

※下記の内容は、猫の糖尿病の一般的な診療についての記述であり、PS保険にご請求いただいた事案の診療内容とは異なります。

検査

問診、視診

飼い主さんに症状が始まった時期、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を行います。

触診

皮膚を触診し、脱水の有無を確認します。

血液検査

採血をして、血液中の糖の量(血糖値)を測定します。体全体の状態を知るために、一般的な健康診断で測定する項目も合わせて検査します。また、血糖値が継続的に高い状態であったかを判断できる項目(糖化されたたんぱく)があり、これを測定する場合もあります。これらの検査は外部の検査センターに血液を送り測定するケースが多く、検査結果は後日になります。

尿検査

採尿をして、尿の色、濃さ、たんぱくや糖の有無、ケトン体の有無、細菌や結晶成分があるかなどを確認します。

ケトン体は、糖を取り込めずにエネルギー不足になった体が、脂肪を分解してエネルギーを得ようとしたときに生じる物質です。血中にケトン体がたくさん存在すると血液が酸性に傾き、強い脱水が起こります。この状態を糖尿病性ケトアシドーシスといいます。

治療法

健康診断で糖尿病が発見された場合、通院での治療で問題ないケースもありますが、症状がすでに出ている猫は、そのまま入院管理により血糖値のコントロールを行う必要があります。特に、糖尿病性ケトアシドーシスを発症している場合は、救急管理となります。

治療の軸は内科治療で、インスリン投与と食事管理です。インスリンは毎日投与するため、飼い主さんがご家庭で注射をする必要があります。食事は、高たんぱくのものが推奨されます。糖尿病用の療法食もありますが、食べてくれない場合は、毎日きちんと同じ量を食べてくれる総合栄養食を優先させましょう。糖尿病でインスリンを投与しているときに、食事を必要量きちんと食べられないと、低血糖を起こす恐れがあるからです。

予後

予後は、尿中に糖が出ない程度に血糖値をコントロールする必要があります。そのためには、定期的に血糖値を測定しながら、食事量やインスリン量を決定していきます。血糖値がうまくコントロールできれば予後は期待できますが、膵炎など別の疾患がある場合は予後があまり良くない場合もあります。

まとめ

猫の糖尿病は入院治療が必要になる場合が多く、血糖値が安定し退院できた後もご家庭でインスリン注射を行うなど、飼い主さんの負担が大きい病気です。また、食事を決まった分量食べてくれない場合は、その都度インスリン量を変更する必要があり、動物病院の先生との連携が重要になります。獣医師になんでも相談して、愛猫の状態に合わせた治療にあたりましょう。

執筆者プロフィール

三宅亜希 先生
三宅亜希 先生

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

関連記事