猫がヨーグルトを食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説

最終更新日:2024年11月19日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

猫にヨーグルトを与えても大丈夫です。ただし、ヨーグルトの食べすぎは良くありませんし、体質的に不向きな猫もいます。ここでは、猫に与えていいヨーグルトの量や与え方について獣医師が詳しく解説します。

猫がヨーグルトを食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説

ヨーグルトは猫が食べても大丈夫

―ヨーグルトを猫に与えてもいいのでしょうか。成分的に問題はありますか?

猫にヨーグルトを与えても問題ありません。猫は牛乳に含まれる「乳糖」を分解する酵素が少ないので、牛乳をそのまま飲むと消化不良でお腹を壊してしまいます。しかし、ヨーグルトは製造過程で乳糖が減るため、猫も食べられるのです。

人間同様、猫もヨーグルトを食べると腸内環境の改善が期待できます。乳酸菌の効果で胃腸の働きが良くなるため、下痢や便秘が解消され、免疫力アップも見込めます。このように、猫の健康効果が期待できるヨーグルトですが、与える量や回数などには注意が必要です。

猫に与えてもいいヨーグルトの量

猫に与えてもいいヨーグルトの量

1回に与えてもいい量の目安

―猫に与えてもいいヨーグルトの量を教えてください。

成猫にヨーグルトを与える場合は、ティースプーン2杯くらいが適量です。与えすぎるとカロリーオーバーになり、含まれる乳糖の摂取量も増えて下痢の原因になります。

また、ヨーグルトに限らず、どんな食材でも与えすぎると、猫の健康に悪影響を及ぼします。猫は適切な量のキャットフードだけで、一日の栄養をしっかりまかなえます。おやつとしてヨーグルトを少量与えるのは問題ありませんが、ヨーグルトがメインになると、栄養バランスが崩れたり、肥満の原因になったりします。

※適正量はおおよその目安であり、実際の体格や運動量などによって多少前後します。

頻度の目安

―猫にどのくらいの頻度でヨーグルトを与えていいのですか?

おやつやご褒美として、週1回くらいにとどめてください。

子猫の場合

―子猫の場合はどうでしょうか?

子猫は胃腸も含めて体が未発達で、消化機能も不完全です。そのため、キャットフード以外の食べ物は与えないでください。また、小さいうちにいろいろなものを与えてしまうと、好き嫌いが多くなる可能性があります。

猫にヨーグルトを与えるときの注意点

猫にヨーグルトを与えるときの注意点

乳糖不耐性の猫にはヨーグルトを与えない

―愛猫にヨーグルトを食べさせるときに注意することはありますか?

ヨーグルトには少量ですが乳糖が含まれます。乳糖をまったく分解できない体質(「乳糖不耐性」という)の猫の場合、ヨーグルトでも消化不良を起こし、下痢症状が出る場合があるので注意が必要です。

ヨーグルトの加工食品

―猫にとって食べられない、適さないヨーグルトはありますか?

砂糖が加えられている甘いヨーグルトは、肥満や歯周病の原因になります。愛猫に与える場合は、無糖かつ低脂肪、または無脂肪のヨーグルトを与えてください。

また、猫が中毒を起こすような食材がトッピングされているヨーグルトは与えないでください。特にフルーツの中には、猫が中毒を起こすものもあるので注意しましょう。例えば、「ぶどう(レーズンを含む)」「イチジク」などです。ぶどうは急性腎不全を引き起こしますし、ぶどうを皮付きのまま乾燥させたレーズンは成分が濃縮されているため、より中毒が起こりやすい食材です。イチジクには、消化器症状や口腔内に炎症を引き起こす中毒成分が含まれています。ほかにも、チョコレートを含むシリアルが混ざったものは、チョコレート中毒を引き起こし、神経症状が出るおそれがあります。

食物アレルギー

猫にも食物アレルギーがあり、牛乳がアレルゲンになる場合も少なくありません。牛乳から作られたヨーグルトを初めて与える際は少量にしましょう。下痢・軟便・嘔吐といった消化器症状や、皮膚のかゆみ、発疹(ほっしん)、目や口などの顔周りに腫れなどが見られた場合、ヨーグルトによる食物アレルギーの可能性があります。与えるのを中止してください。

ヨーグルトは、猫用の器に入れて与える

猫にヨーグルトを与える場合は、必ず猫用の器に入れてください。食卓からスプーンを使って与えたり、カップのふたに付いたヨーグルトをなめさせたりするのはやめましょう。食卓やごみ箱を漁って食べる癖がついて、中毒になるものまで誤って食べてしまう危険性があります。

どんなときにヨーグルトを与えたらいいの?

―猫にはどんなときにヨーグルトを与えたらいいのでしょうか。

ヨーグルトは、食欲がないときのおやつとして与えるのがおすすめです。いつものキャットフードにヨーグルトを少量トッピングすると、ヨーグルト好きの猫であれば、食欲を刺激されて食が進む場合があります。

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こんなときは猫にヨーグルトを食べさせないこと

こんなときは猫にヨーグルトを食べさせないこと

―どんな場合には、猫にヨーグルトを食べさせないほうがいいのでしょうか。

高脂血症や尿石症、腎不全を患っている場合

高脂血症や尿石症などの持病がある猫は、ヨーグルトの成分が病気を悪化させる可能性があります。また、腎不全を患っている場合はカルシウムの取りすぎが悪影響を及ぼす場合があるため、ヨーグルトは避けましょう。ただし、腎不全やガンの末期でかなり食欲が落ちている場合は、「食べられるもの」を優先し、食欲増進につながるのであればヨーグルトを与えてもいいでしょう。

子猫やお腹の具合が悪い場合

子猫は消化機能を含めて体の発達が未熟なため、ヨーグルトは与えないでください。また、お腹の調子を崩しているときにヨーグルトを与えると、下痢が悪化するおそれがあります。具合が悪いときに自己判断で与えないようにしましょう。

下痢をしやすい体質の猫にヨーグルトを摂取させる飼い主さんがいますが、ヨーグルトは薬ではありません。体質・量によっては、逆効果になる場合があります。腸内環境をしっかり整えたい場合は、猫用の乳酸菌製剤やサプリを利用するのがおすすめです。

まとめ「ヨーグルトは成猫にティースプーン2杯まで。子猫には与えない」

ヨーグルトは、猫用の食器に入れて1回にティースプーン2杯を目安に与えましょう。食欲が落ちているときにいつもの食事のトッピングとして、週1回程度がおすすめです。体が未発達の子猫や体調を崩している猫、また持病がある猫には、ヨーグルトを与えるのを控えてください。ヨーグルトは整腸作用を期待できますが、薬ではありません。量や頻度を守り、猫の体調を見極めることが大切です。

愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べても大丈夫なもの」「猫が食べてはいけない危険な食べ物」を併せてご覧ください。

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