猫がキャベツを食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医師が解説

肉食の猫にキャベツを与えても大丈夫です。キャベツには、猫への健康効果を期待できる成分が含まれています。キャベツの成分や猫への与え方について獣医師が詳しく解説します。

猫がキャベツを食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説

キャベツは猫が食べても大丈夫

―キャベツを猫に与えてもいいのでしょうか。問題のある成分が含まれていますか?

キャベツには猫に有毒な成分はなく、ビタミン類が多く含まれ、中でもビタミンCやKが多いとされています。ビタミンの過剰摂取による毒性は認められていないため、キャベツを猫に与えても危険はありません。ビタミンCには抗酸化作用があり、疲労回復効果が期待できます。また、ビタミンKは正常な血液凝固に重要な役割を果たします。

さらに、キャベツ特有のビタミンUは抗潰瘍作用、大根にも含まれるジアスターゼという酵素は消化を助ける作用があるため、消化器症状に有効に働くことが見込めます。

このように、健康効果が期待できるキャベツですが、いくつかの注意点があります。

猫に与えてもいいキャベツの量

猫に与えてもいいキャベツの量

成猫にはキャベツの葉4分の1程度。子猫には控える

成猫の場合

―猫に与えてもいいキャベツの量について教えてください。

一般的な成猫(避妊・去勢済み)の体重を4kgとした場合、一日あたりのエネルギー要求量はおよそ238kcalです。おやつは一日の総カロリー量の10%未満にする必要があり、単純計算でおよそ23kcalになります。キャベツのカロリーは100gあたり21kcalなので、キャベツ10分の1玉、葉3~4枚が目安です。

しかし、キャベツは「かさ」が多いため、たとえ目安量でもキャベツだけで猫のお腹がいっぱいになってしまいます。標準体型の猫にキャベツを与えすぎると、総合栄養食を適切に摂取できなくなり、栄養の偏りや体調不良の原因となる可能性があるため、キャベツは葉4分の1枚程度にとどめましょう。ただし、肥満気味の猫に、食餌のかさ増しとしてキャベツを足してあげると満腹感が高まり、ダイエットに効果的です。

キャベツに限らず、猫に食餌以外のおやつを与える際には、必ずおやつの分のカロリーを総合栄養食から差し引いて与えてください。適正量の総合栄養食にプラスしておやつを与えると、摂取エネルギー量がオーバーし、肥満の原因になるので注意しましょう。

※適正量はおおよその目安であり、実際の体格や運動量などによって多少前後します。

子猫の場合

―子猫の場合はどうでしょうか?

子猫の場合は与えたものが硬かったり、多すぎたりすると、消化器症状が出たり、食事に影響を及ぼしたりするおそれがあるため、基本的にキャベツは控えてください。どうしても与えたい場合には、やわらかくゆでたものを一日あたりティースプーン1杯程度にしましょう。

猫にキャベツを与えるときの注意点

猫にキャベツを与えるときの注意点

食材の処理の仕方

―猫にキャベツを食べさせるときに注意することはありますか?

猫はキャベツを一度にたくさん食べると消化不良を起こすおそれがあるため、少量ずつ与えましょう。与える際には細かく刻んだものや、ゆでてやわらかくしたものがおすすめです。ゆでると水に溶け出してしまう栄養素もあるため、ゆで汁も一緒にあげるとキャベツの栄養素を余すことなく摂取できます。

また、調味料を使用すると塩分やマグネシウムなどのミネラルを摂取しすぎてしまい、疾病につながる場合があるため、調味料は使わずそのまま与えてください。

キャベツのここだけは猫に食べさせないで!

―猫にとって食べられない、適さないキャベツの部位はありますか?

固いキャベツの芯は、生のまま与えると消化不良を起こす場合があります。与える際は、やわらかくゆでるか、細かく刻んでください。また、外側の傷んだ茶色い葉は、人間同様、体調不良の原因になるため取り除きましょう。

食物アレルギー

猫の場合、キャベツによるアレルギーはまれですが、どのような野菜でもアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える場合には、ティースプーン1杯程度のゆで汁、あるいは千切りや粗みじん切りにしたキャベツひとかけらにしましょう。嘔吐(おうと)や下痢などがなければ、少しずつ量を増やしてみましょう。

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こんなときは猫にキャベツを食べさせないこと

こんなときは猫にキャベツを食べさせないこと

―どんな場合には、猫にキャベツを食べさせないほうがいいのでしょうか。

猫に元気や食欲がなかったり、普段とは違う様子だったりする場合には、総合栄養食以外の食餌を与えることは控えましょう。体調不良の原因が特定しづらくなるおそれがあります。

また、以下のような場合は猫にキャベツを与えてはいけません。

結石症の既往歴や膀胱炎を繰り返している場合

キャベツにはシュウ酸が含まれているため、結石症の既往歴や、膀胱炎(ぼうこうえん)を繰り返している猫には与えないでください。また、尿路系の療法食を食べている猫もキャベツを与えるのは避けましょう。

消化器の機能が十分でない子猫や老猫の場合

子猫や老猫は消化器の機能が十分ではないため、消化に時間がかかるキャベツは不向きです。また、便がゆるめの猫がキャベツを摂取すると水分摂取量が増えて、さらに便がゆるくなったり、下痢になったりする場合があるため与えないでください。

まとめ「キャベツは成猫に健康効果あり。子猫や老猫には不向き」

キャベツは、猫の疲労回復や消化器症状の改善効果が期待できます。また、肥満気味の猫のダイエットにも有効です。ただし、与えすぎると食べるべきキャットフードが食べられなくなり、栄養が偏ったり体調不良になったりするので、量には注意してください。

また、与える際は、硬い芯や茶色い葉は避けて、細かく刻んだり、ゆでたりしましょう。消化器の機能が万全でない子猫や老猫、結石症の既往歴や膀胱炎を繰り返す猫には与えないでください。

愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べても大丈夫なもの」「猫が食べてはいけない危険な食べ物」を併せてご覧ください。

獣医師 石川愛美

執筆者:石川 愛美

日本獣医生命科学大学を卒業後、都内動物病院にて臨床獣医師として勤務。「予防獣医療」をもっと身近にすることを目指し、2019年に往診を専門とする動物病院「Animal Care Clinic TOKYO」を開設。
当たり前に存在する「いま、ここに、ある幸せ」を大切にして、健康寿命を延ばすために、食餌選びからセカンドオピニオンまで、飼い主の抱える小さな不安の解消に日々努める。

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