猫がささみを食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説

最終更新日:2024年02月26日

ささみは猫に食べさせても問題ありません。たんぱく質やビタミンを多く含み、猫の健康維持には必要な栄養がとれるでしょう。しかし、与える量や処理の仕方、子猫や老猫にはなるべく与えないなどの注意が必要です。ここでは、ささみを与える際の注意点を獣医師が詳しく解説します。

猫がささみを食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説

ささみは猫が食べても大丈夫

―ささみを猫に与えてもいいのでしょうか。成分上の問題はありますか?

ささみは猫が食べても中毒を起こすような成分は含まれていないため、与えても問題はありません。

ささみは低脂質で、筋肉を維持したり、皮膚や被毛を健康に保ったりする働きがあるたんぱく質を多く含んでいます。さらに、健康を維持するために欠かせないビタミン類も多く含まれています。

以上のような健康効果が期待できるささみですが、いくつかの注意点があります。

猫に与えてもいいささみの量

―猫に与えてもいい、ささみの量を教えてください。

ささみはあくまで補助的に与えるようにしましょう。一般的に、猫に与えてもいい主食以外の食べ物の量は、一日に必要なカロリーの20%が限度です。ただし、ささみには「リン」という成分が多く含まれています。リンを摂取しすぎると、腎臓に負担がかかったり、泌尿器の病気になりやすくなったりするリスクがあります。そのため、一日に必要なカロリーの5%程度にとどめるようにしましょう。

例えば、体重4kgの成猫であれば、一日に必要なカロリーは200kcal前後(飼育環境や避妊去勢の有無などにより異なります)です。したがって、猫に与えてもいいささみのカロリーは、10kcalという計算になります。

ささみのカロリーは100gあたり98kcalなので、一日に猫に与えてもいいささみの量は、11g(1/5本)ほどということになります。

※適正量はおおよその目安であり、実際の体格や運動量などによって異なります。

―猫にとって、ささみが健康にいいなら、たくさん食べさせたくなります。

くり返しになりますが、ささみを与え過ぎてしまうと栄養に偏りが生じたり、リンを過剰に摂取することになってしまったりします。また、ささみは偏食や選り好みを助長する可能性もあります。

猫の主食はあくまで総合栄養食のキャットフードなので、ささみの与えすぎはやめましょう。

猫にささみを与えるときの注意点

猫にささみを与えるときの注意点

食材の処理の仕方

―猫にささみを食べさせるとき注意することはありますか?

猫に生のささみを与えると食中毒を引き起こすおそれがあるため、必ず加熱したものを与えるようにしましょう。特にゆでたささみは、やわらかく消化にもいいのでおすすめです。

―ささみのゆで方を教えてください。

ささみはお湯だけでゆでるようにしましょう。5~8分程度弱火でゆでたら火を止め、鍋に蓋をしたまま冷めるまで待ちます。こうすることで、ささみのパサつきを防ぎつつ、余熱で中までしっかり火を通すことができます。

―ささみのゆで汁を猫に与えても大丈夫ですか?

ゆで汁を猫に与えても大きな問題はありません。ゆで汁を与えることで、むしろささみから流れ出た栄養を補給できます。

また、猫は飲水量が少なく、泌尿器の病気になりやすいので、水分補給を目的として与えてもいいでしょう。

ささみで手作りご飯を作るとき

―猫にささみの手作りごはんを用意したいのですが、注意することはありますか?

猫のごはんを手作りする場合は、基本的に調味料を使わないようにしましょう。

ふりかけのように、ゆでたささみをいつもの食事にトッピングするだけでもいいのですが、特におすすめのレシピは「ジャーキー」です。細長く切ったささみをオーブンで焼くだけで、簡単に作れます。

ささみの加工食品に注意

―サラダチキンのような、ささみの加工食品を猫に与えても問題ありませんか?

サラダチキンやささみの燻製(くんせい)など、人間用のものは猫にとってはカロリーや塩分が高いものが多いので、絶対に与えないでください。ささみを食べさせてあげたいけれど手作りが難しい場合には、猫用のささみのおやつを与えるようにしましょう。

食物アレルギー

鶏肉にアレルギーがある場合は、絶対にささみを与えないでください。

猫にアレルギーがあるかどうかがわからない場合、まずは、ひと口から始め、体調に変化がないかどうかを確認してください。特に問題がなければ、徐々に与える量を増やしていきましょう。

子猫にささみを与える場合

生後1年は成長スピードが著しく、栄養必要量も成猫とは大きく異なります。この時期は特に食事管理が重要なので、ささみを与える場合はごく少量に抑えてください。

ささみは偏食を助長するおそれもあります。そのため、どうしてもささみを与えなければならないケースを除き、成猫になるまでささみを与えるのは控えたほうが安心です。

老猫にささみを与える場合

ささみは消化にいいという観点で老猫に適した食べ物ではありますが、リンが多く含まれています。老猫は腎機能が低下しがちなので、子猫と同様、どうしてもささみを与えなければならないケースを除き、ささみを与えるのは控えたほうがいいでしょう。

どんなときにささみを与えたらいいの?

どんなときにささみを与えたらいいの?

―猫にはどんなときに、ささみを与えたらいいのでしょうか。

猫にささみを積極的に与える必要はありませんが、食欲がない場合や、逆に食欲旺盛で肥満気味の場合など、ささみをうまく利用したほうがいいケースもあります。

食欲増進目的の療養食、緊急食として

猫にささみを与えると食欲増進につながる場合があります。また、ささみは消化が良く、ゆでたささみには水分が多く含まれているため、食欲がないときの療養食や緊急食に適しています。

ダイエットの補助食品として

ささみは低脂質・高たんぱく質なので、ダイエットの補助食品としてもおすすめです。ただし、ささみだけでお腹がいっぱいにならないよう、与える量には注意が必要です。

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こんなときは猫にささみを食べさせないこと

こんなときは猫にささみを食べさせないこと

―どんな場合には、猫にささみを食べさせないほうがいいのでしょうか。

持病がある場合、ささみを与えないほうがいいケースもあります。

持病や既往症

猫に腎不全や鶏肉アレルギー、尿石症などの泌尿器の病気がある場合は、ささみを食べさせないようにしましょう。また、療法食を処方されている場合もささみは食べさせないでください。どうしてもささみを食べさせたい場合は、あらかじめかかりつけ医に相談しましょう。

まとめ「ささみは一日1/5本まで。与えすぎに注意」

ささみは、たんぱく質やビタミン類を多く含み、健康効果が期待できます。猫にささみを与える際は、一日に11g(ささみ1/5本)程度、必ず加熱し十分冷ましてください。猫にとって、ささみの食べすぎは、病気にかかるリスクが高くなります。また、子猫や老猫にはなるべくささみを与えず、持病がある猫にも食べさせないように気を付けてください。

愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べても大丈夫なもの」「猫が食べてはいけない危険な食べ物」を併せてご覧ください。

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