猫がいちごを食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説
最終更新日:2024年07月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
猫にいちごを与えても大丈夫です。ただし、いちごの食べすぎは良くありませんし、食物アレルギーの原因になる場合もあります。ここでは、猫に与えても問題ない、いちごの量や与え方について獣医師が詳しく解説します。
いちごは猫が食べても大丈夫
―いちごを愛猫に与えてもいいのでしょうか。成分面で問題はありますか?
猫にいちごを与えても、基本的には問題ありません。なぜなら、いちごには猫の健康に良い成分が含まれているからです。
いちごには抗酸化ビタミンとも呼ばれるビタミンCが豊富に含まれており、加齢や関節炎などに対して予防効果が期待できます。また、ビタミンCは、消化管内で発がん物質のひとつであるニトロソアミンの生成を妨げる作用や、免疫の強化、抗腫瘍作用、抗動脈硬化作用、抗血圧作用、抗ヒスタミン作用などを発揮します。
いちごの赤い色素成分は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンです。ポリフェノールには、抗酸化作用や歯周病菌の成長を阻害する作用があります。
また、いちごは食物繊維を多く含む果物です。食物繊維は、猫の体内で消化・吸収がされず栄養にはなりません。しかし、整腸作用があり、適量のいちごは、猫の毛玉のケアや便秘、糖尿病、高脂血症などに有効です。
さらに、いちごは葉酸も豊富です。葉酸はDNAの合成に関与しており、貧血予防や神経組織の発達にも効果的だと言えるでしょう。
上記のような健康効果が期待できるいちごですが、いくつかの注意点があります。
猫に与えてもいい、いちごの量
―猫には、どのくらいのいちごを与えていいものなのでしょうか?
基本的な栄養素は、キャットフードで十分足りているはずです。猫にいちごを与える際は少量にしておきましょう。一日ひと粒程度が目安です。
―猫にとっていちごが健康にいいのなら、たくさん食べさせたいのですが......。
いちごの食べすぎは、猫の健康によくありません。あまりにも多く与えてしまうと、カロリーのとりすぎで肥満になってしまったり、水分や食物繊維のとりすぎでお腹を壊してしまったりする場合があります。
また、キャットフードを食べず、いちごばかり食べるといった偏食の原因になってしまいます。いちごは栄養価が豊富でも完全栄養食ではないため、それだけでは猫が栄養失調になってしまいます。基本的にはキャットフードを与えて、いちごはおやつとして少量を与えるように心がけましょう。
※上記の量は、おおよその目安であり、実際の体格や運動量などによって異なります
猫にいちごを与えるときの注意点
葉やへたは取る、種のような部位は与えて大丈夫
―猫にいちごを食べさせるときに注意することはありますか?
いちごの葉やへたは、猫が食べても問題ありませんが、与えないほうがいいでしょう。食べにくく、口の中に張り付いてしまう場合があります。
また、いちごに付いているブツブツとした種のようなものは「実」です。猫に与えても問題ありません。
牛乳をかけて与えない
猫にいちごを与える場合には、牛乳をかけないほうがいいでしょう。なぜなら、猫の多くが「乳糖不耐症」(にゅうとうふたいしょう)という体質だからです。乳糖不耐症とは、牛乳に多く含まれている「乳糖」を分解する酵素「ラクターゼ」が不足している状態です。乳糖不耐症の猫に牛乳を与えてしまうと、乳糖をうまく分解できないため、下痢のような消化器症状の原因となってしまうおそれがあります。
いちごの加工食品
いちごが含まれるジャムやヨーグルトなどの食品がありますが、これらを猫に与えてはいけません。人間用に加工された食品には砂糖が含まれ、糖分は肥満を引き起こすからです。
食物アレルギー
どんな食材でも可能性がありますが、いちごが猫にとって食物アレルギーの原因になる場合もあります。アレルギー体質の猫の場合は特に注意してください。また、初めて与える際は、少量ずつ与えて様子を見るのがいいでしょう。アレルギー症状としては、皮膚のかゆみや赤み、下痢や嘔吐(おうと)といった消化器症状などが考えられます。
キシリトール
いちごには少量のキシリトールが含まれています。猫がキシリトールを摂取すると、インスリンが過剰分泌され、低血糖状態になってしまうおそれがあります。少量のいちごであれば猫にとって問題はありませんが、たくさん食べすぎると低血糖の原因になってしまう可能性は否定できません。低血糖状態では、元気消失や痙攣(けいれん)などの神経症状を起こしてしまい、大変危険です。
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こんなときは猫にいちごを与えないこと
―どんな場合には、猫にいちごを食べさせないほうがいいのでしょうか?
療法食による治療中の場合
腎臓病やアレルギーなどで療法食による治療を行っている猫には、いちごを与えてはいけません。また、療法食を与えている猫に療法食以外のものを与えてしまうと、効果がなくなってしまうおそれがあります。
現在、愛猫が薬を服用中の場合は、事前に獣医師に相談したほうがいいでしょう。薬の飲み合わせの関係で、いちごを与えるのを控えたほうがいい場合もあります。
子猫には与えない
子猫は消化器官が未熟なため、いちごを与えないほうがいいでしょう。水分や食物繊維により、下痢のような消化器症状を起こしてしまう場合があります。体つきがしっかりして、歯が生えそろってから与えてください。
そのほか
水分や食物繊維により下痢の原因になるため、お腹が弱い猫や老猫には与えないほうがいいでしょう。特に、老猫には注意が必要です。老猫は脱水状態になっている場合が多く、その状態で下痢を起こすと、症状が悪化してしまいます。
まとめ「猫にいちごは、ひと粒まで。体調の優れない猫には与えない」
いちごにはビタミンCやアントシアニンなどが豊富で、猫の健康にいい果物だと言えます。しかし、いちごは一日ひと粒を目安に、おやつとして与えるよう心がけてください。また、消化器官が未熟な子猫やお腹の弱い猫には与えないほうがいいでしょう。
愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べても大丈夫なもの」「猫が食べてはいけない危険な食べ物」を併せてご覧ください。
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