猫が海苔を食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説

最終更新日:2024年03月21日

海苔は「海の野菜」と言われるほど栄養を多く含んでおり、猫に与えても問題のない食べ物です。しかし、海苔の与えすぎは、猫の健康に悪影響を及ぼします。ここでは、海苔の成分と猫に与えるときの注意点を獣医師が詳しく解説します。

猫が海苔を食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説

海苔は猫が食べても大丈夫

―猫に海苔を与えてもいいのでしょうか。

海苔は猫にとって中毒を起こす成分を含んでいないため、与えても基本的には問題ありません。

―海苔は海産物だから、猫は好んで食べようとするのでしょうか?

猫は嗅覚に優れた動物で、味や見た目よりも、まず匂いを嗅ぐことで食べ物の選別をします。そのため、磯の香りが強い海苔を好むと考えられています。また、食感や塩分も、猫が海苔を好む一因と言われています。

―海苔に含まれる成分について詳しく教えてください。

海苔は、ビタミンA、ビタミンC、タウリン、EPA(エイコサペンタエン酸)など多くの栄養素を含んでいるため、「海の野菜」と言われています。

ビタミンA

ビタミンAは視力を維持したり、皮膚や被毛を健康に保ったりする働きがあります。猫はビタミンAを体内で作れないので、食餌から摂取しなければなりません。

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用があり、老化や関節炎などを予防する効果が期待できます。

タウリン

タウリンには、心臓や肝臓、眼の健康をサポートする働きや、抗酸化作用があります。タウリンは、猫の体内でほとんど作れないため、ビタミンAと同様に、食餌から摂取しなければなりません。

EPA(エイコサペンタエン酸)

EPAには抗炎症作用があります。また、腎臓病やガンの進行を遅らせる効果があると言われています。

海苔には体にいい成分がたくさん含まれていますが、猫が好きだからといってたくさん与えていいわけではなく、いくつか注意点もあります。

猫に海苔を与えても少量であればミネラルの過剰摂取にならない

猫に海苔を与えても少量であればミネラルの過剰摂取にならない

―海苔のどんな成分が、猫の健康に悪影響を与えてしまうのですか?

焼き海苔で注意したい成分はミネラルです。焼き海苔1枚(大きさ21cm×19cm、重さ3g)に含まれるミネラル量は、猫が一日に必要とする量を超えるほど多くはありません。

しかし、キャットフードにもミネラルが一定量含まれているため、いつもの食事に加えて海苔をたくさん与えてしまうと、ミネラルの過剰摂取につながります。

以下に、キャットフードと焼き海苔それぞれのミネラルの含有量、過剰摂取による悪影響について解説します。

マグネシウム

一般的なキャットフードのマグネシウム含有量は0.08~0.09%なので、3gあたり2.4~2.7mgほどです。一方、焼き海苔1枚に含まれるマグネシウム量は9mgで、キャットフードのおよそ3.5倍に相当します。マグネシウムの過剰摂取は、ストルバイト結石の原因になるおそれがあります。

リン

一般的なキャットフードのリン含有量は1.00%前後なので、3gあたり30mgほどになります。焼き海苔1枚に含まれるリンの量は21mgと多くはありませんが、過剰に摂取すると尿石症や腎臓病の悪化を招く可能性があります。

ナトリウム

一般的なキャットフードのナトリウム含有量は0.2~0.3%なので、3gあたり6~9mgほどになります。焼き海苔1枚に含まれるナトリウムの量は15.9mgで、キャットフードのおよそ2倍に相当します。ナトリウムの過剰摂取は、心臓病や腎臓病の悪化を招くおそれがあります。

以上のことから猫に焼き海苔を与える場合は、ご褒美として一週間に1回、少量にとどめましょう。

猫に海苔を与えるときの注意点

猫に海苔を与えるときの注意点

猫に海苔を与えるとき、量以外にも注意すべきポイントを3つ紹介します。

食材の処理の仕方

海苔が口の中で貼り付いてしまう場合があるため、猫の口の大きさよりも小さくちぎって与えましょう。

味付き海苔は与えない

味付き海苔は焼き海苔の約2倍もカロリーがあるため、肥満の元です。また、ナトリウムも3倍以上含まれていて、心臓や腎臓に負担がかかるおそれがあるので、猫に味付き海苔は与えないでください。

食物アレルギー

焼き海苔は、特定原材料(重篤な食物アレルギーを引き起こしやすい食品であるエビ・カニ・小麦・そば・卵・乳・落花生の7品目)を含みません。しかし、海苔はエビやカニも生息している海から採取するため、食物アレルギーのリスクはゼロとは言いきれません。

そのため、猫に焼き海苔を与える際は、最初はごく少量だけ与えてください。万が一、アレルギー反応が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

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こんなときは猫に海苔を食べさせないこと

こんなときは猫に海苔を食べさせないこと

猫が海苔を食べても中毒こそ起こさないものの、持病や年齢などによっては症状が悪化したり、健康を害したりする場合もあります。

持病や既往症

海苔に含まれるミネラル成分が原因で、慢性腎臓病や心臓病が悪化するおそれがあるため、少量でも与えないでください。また、尿石症を現在患っている場合や、過去に患ったことがある場合も与えないようにしましょう。

そのほか

何かしらの持病があって療法食を食べている猫には、基本的に海苔は与えないでください。また、高齢猫は腎機能が低下している場合が多いため、与えないようにしましょう。

まとめ「猫に海苔を与える際は、ご褒美として少量で」

海苔にはビタミンAやC、タウリンなど、猫の健康維持に役立つ栄養が多く含まれています。しかし、たくさん与えてしまうとミネラル成分の過剰摂取により、尿石症や腎臓病、心臓病などにつながるおそれがあります。猫に海苔を与える際は、ご褒美として週1回程度、ごく少量にとどめましょう。

愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べても大丈夫なもの」「猫が食べてはいけない危険な食べ物」を併せてご覧ください。

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