猫が卵を食べても大丈夫。生食やアレルギーなどの問題点を獣医が解説

最終更新日：2024年07月09日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

猫に卵を与えても大丈夫です。ただし、生卵は避け、加熱処理をする、既往症のある猫には食べさせないなど、いくつかの注意点があります。ここでは、卵の成分や猫への与え方について獣医師が詳しく解説します。

• 猫が卵を食べても大丈夫
• 猫に卵を与えるときの注意点
• 猫に与えてもいい卵の量
• こんなときは猫に卵を食べさせないこと
• まとめ「猫に卵を与える際は加熱処理して、与えすぎに注意」

猫が卵を食べても大丈夫

―猫に卵を与えても問題ありませんか？

猫はもともと肉食動物であり、野生の猫は小鳥やヘビなどを食べています。これらの動物の体の中には卵が含まれている場合もあるので、猫は卵を食べても基本的には問題ありません。

また、卵は「完全栄養食品」と言われているように、たんぱく質、ビタミン類、リノール酸など猫にとって健康に良いさまざまな栄養素が含まれています。

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚など、体のあらゆる部分を構成している成分であり、健康な体を作るために欠かせない栄養素です。また、肉食動物である猫にとって、たんぱく質は主要なエネルギー源のひとつでもあります。

ビタミン類

卵には、ビタミンC以外のすべてのビタミンが含まれています。特に、皮膚や目の健康の維持に役立つビタミンAや、骨を作ったり成長を促したりするビタミンDを多く含んでいます。

リノール酸

リノール酸は、猫の体内では合成できない「必須脂肪酸」のひとつで、皮膚や被毛の健康を保つ効果があります。

以上のように猫の健康に有益な卵ですが、いくつか注意点があります。

猫に卵を与えるときの注意点

猫に卵は加熱してから与える

―猫に生卵を与えてもいいのですか？

生卵は猫にとっていくつかのデメリットがあるため、生食は避け、必ず加熱したものを与えましょう。

白身に含まれる「アビジン」が猫に「ビオチン欠乏症」を引き起こす

生卵の白身には、「アビジン」という成分が含まれています。アビジンはビオチン（ビタミンB7）の吸収を阻害する働きがあります。そのため、猫に生卵の白身を与えると「ビオチン欠乏症」を引き起こし、皮膚炎や脱毛症、神経異常などの症状が現れる可能性があります。

ただし、生卵の白身を少量与えただけでは、問題はほとんどありません。大量に与えてしまった場合や、習慣的に与え続けた場合などにビオチン欠乏症が起こりやすくなります。そのため、知らずにうっかり生卵を与えてしまったというケースでは、心配はいらないでしょう。

また、アビジンは熱に弱いため、卵を加熱すればビオチン欠乏症のリスクはありません。

サルモネラ菌の感染リスク

生卵の殻には、サルモネラ菌が付着している場合があります。そのため、生卵を猫に与えてしまうと、食中毒を引き起こすおそれがあります。

また、サルモネラ菌も熱に弱いため、卵を75℃で1分以上加熱することで、サルモネラ菌による食中毒のリスクを減らせます。

喉に詰まらせないように

カットしていないゆで卵は、猫が丸飲みをした場合、喉に詰まらせてしまう危険性があります。そのため、黄身も白身も、必ず細かく刻んでから与えましょう。

食物アレルギー

猫に卵を初めて与える際は、食物アレルギーが出る可能性を考慮して、必ず少量にしましょう。少量与えても体調に特に変化がなければ、徐々に与える量を増やしてください。

卵の加工食品

だし巻き卵や伊達巻、煮卵など、味付けされた卵の加工食品は、塩分や糖分が多く含まれます。猫が食べてしまうと、塩分過多やカロリーオーバーになり、健康を損ねるおそれがあります。そのため、人間用の卵の加工食品は与えないでください。

また、家庭で調理した卵を与える場合も、油や調味料などを使わないようにしましょう。

猫に与えてもいい卵の量

体重4kgの成猫であれば、一日に必要なカロリーは200kcal前後（飼育環境や避妊去勢の有無などにより異なります）です。猫に与えてもいいおやつの上限カロリーは、一日に必要なカロリーの20％が上限とされているため、40kcalほどに抑える必要があります。

卵のカロリーは、Mサイズ1個（60g）あたり約91kcalなので、猫に卵を与える場合は、多くても一日に半分程度にとどめましょう。

また、卵を猫に与えすぎるとカロリーオーバーになり、肥満の原因になります。肥満は、関節炎や糖尿病、心臓病など、さまざまな病気を誘発するおそれがあるため、卵の与えすぎには気を付けてください。

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こんなときは猫に卵を食べさせないこと

総合栄養食をしっかり与えている場合

総合栄養食であるキャットフードには、猫にとって一日に必要な栄養素がバランスよく含まれています。そのため、猫に総合栄養食を与えていれば、卵を与えなくても必要十分量の栄養を摂取できます。

つまり、卵がいくら高栄養だからといって、栄養を補給する目的で健康な猫に卵を与える必要はありません。

食餌慮法を行っている場合

カロリーコントロールが必要な肥満の猫や、糖尿病や腎臓病等で食餌療法を行っている猫などは、卵を与えると、健康を損ねるおそれがあります。自己判断で猫に卵を与えないでください。卵が猫の大好物で、どうしても与えたいという場合には、あらかじめかかりつけ医と相談しましょう。

まとめ「猫に卵を与える際は加熱処理して、与えすぎに注意」

完全栄養食品の卵は、猫の健康にとっても役立つ栄養素が豊富に含まれています。猫に卵を与える際は、必ず生食を避け、加熱処理をして細かく刻みましょう。

キャットフードを猫に与えていれば、必要な栄養は十分摂取できるため、卵を与える場合は少量にとどめましょう。

また、肥満気味や持病がある愛猫は健康を害する可能性があるため、与えないでください。

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