猫のいびきの原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年03月22日

猫がいびきをかくのは、どんな原因、病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

猫が寝ながら出すプープー、グーグーといった、いびきはかわいいですが、ずっと続くようなら、何か怖い病気が潜んでいないか心配になるかもしれません。猫のいびきで気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

猫のいびきの原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

猫のいびきの原因とは?

「いびき」とは、睡眠中の呼吸時に、気道の狭くなっている部分が空気の出入りによって振動することで起こります。人も猫も同様にいびきをかきますが、人の場合は、睡眠時の落ちくぼんだ咽頭によって、猫の場合は、鼻腔内が狭くなることが原因で、いびきが出やすいとされています。どちらの場合も気道が狭くなり、空気の通りが悪くなっていることが直接の原因です。

猫のいびきの原因となる病気とは?

猫のいびきの原因となる病気とは?

肥満

肥満状態にある猫は、いびきをかきやすくなります。肥満によって蓄積された脂肪組織が猫の気道を圧迫し、いびきが出るのです。

腫瘍

鼻腔内の気道に近い部位に発生した腫瘍は猫の気道を圧迫してしまうため、いびきをかく場合があります。腫瘍が原因であれば、いびきのほかに症状として猫に食欲不振や体重減少などが見られる場合もあります。

鼻炎

猫がウイルス感染やアレルギーによって鼻炎や気管支炎を起こしている場合は、呼吸器の粘膜が充血し、腫れてしまうため気道が狭くので、いびきをかきやすくなるのです。

ウイルス感染では、猫ヘルペスウイルス1型 (FHV-1) による感染 (猫インフルエンザとも呼ばれる) がよく見られます。鼻炎や気管支炎が原因の場合は、いびきのほかに、くしゃみや咳、結膜炎などの症状が猫に見られます。

喉頭・気管の異常

猫に先天性や何らかの理由で軟口蓋過長(なんこうがいかちょう)や、喉頭虚脱(こうとうきょだつ)・気管虚脱などの喉頭・気管の異常があると、いびきをかきやすくなります。

軟口蓋過長

軟口蓋過長とは、口腔の頭側部の硬口蓋(こうこうがい:口の天井部分の骨のある部分)の後方にある軟口蓋(なんこうがい:骨のないやわらかい部分)と呼ばれる部位が通常よりも長い状態のことです。こうした解剖学的特徴から猫の気道が狭くなるので、いびきをかくようになります。

喉頭虚脱と気管虚脱

喉頭や気管は軟骨により管腔上(ホース状)の構造を保っています。喉頭虚脱と気管虚脱とは、外圧や過剰な陰圧により、これらの軟骨がへたってしまい、管腔上の構造を保てなくなってしまう状態のことです。猫がこれらの病気になると、吸気時の陰圧に耐えられず、気道が狭くなってしまい、いびきをかくようになります。

いびきをかきやすい猫種とは?

いびきをかきやすい猫種とは?

いびきをかきやすい猫種は、チンチラ、ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどの短頭種が該当します。これらの猫の特徴は、マズル(口の周辺と鼻先にかけての部分)が短い、いわゆる"鼻ぺちゃ"であることです。

品種改良によって生み出された短頭種の猫は、先天的に次のような解剖学的構造とそれに起因する障害が見られます。

  • 鼻の孔や鼻腔が狭くなっている
  • 咽頭や喉頭から喉にかけて短く狭い
  • 軟口蓋過長、喉頭虚脱、気管虚脱が起こりやすい

短頭種の猫の気道障害は、総称して「短頭種気道症候群」と呼ばれ、重症化すると呼吸困難や体温調節がうまくいかず、命にかかわる場合があります。

猫のいびきで、こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない猫のいびきの症状

―私たち人間もいびきをかくことがありますが、心配のいらない、無害ないびきというのは、どのようなものでしょうか?

猫が寝ているときに寝息とともに、「ピーピー」や「ピスピス」といった高い音が小さく、一定のサイクルで聞こえる分には問題ありません。こうしたいびきは、猫が安心して熟睡しているからと言えるでしょう。

受診を強く勧める猫のいびきの症状

猫が低く大きな音のいびきや呼吸が一定せず、いびきをかくようであれば、注意が必要かもしれません。また、猫が寝ているときだけでなく、覚醒時にも呼吸音がいびきのように聞こえるのであれば、気道に何らかの異常の可能性が考えられます。このような症状が猫に見られる場合、動物病院に連れて行って獣医師に相談してください。

猫のいびきの対処法

猫のいびきの対処法と予防法

猫のいびきは、通常それほど音が大きなものではないので、病気でなければ気にする必要はありません。しかし、猫のいびきの音が明らかに大きい、止まらないなど呼吸の様子がおかしいようなら、まずは獣医師に相談して原因を探りましょう。

また、家庭でできる猫のいびきの対処法としては、環境面と健康面から次のようなことを参考にしてください。

環境改善

猫のいびの原因ががアレルギーによるものである場合は、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を取り除いてください。

ダイエット

肥満が原因で猫がいびきをかいている場合はダイエットをさせましょう。人間と同様に肥満はいろいろな病気の原因になり得ます。そこで、おもちゃやキャットタワーなどを用意して、猫に運動をさせてください。猫が重度の肥満であれば、ダイエット食を処方される場合があります。

また、猫がいびきが何らかの病気を原因とする場合、治療に際し家庭内で対処していただきたい、いくつかの注意点があります。

感染症が原因の場合

感染症が原因で猫が鼻炎や気管支炎を起こしている場合は、抗炎症薬や気管を広げる薬を投与し、症状を緩和できます。また、これらの病気は、ほかの猫にうつるので、猫を多頭飼いしている方は、感染した猫と隔離してください。

腫瘍が原因の場合

猫の腫瘍を切除するケースもありますが、主に抗がん剤治療が行われます。

軟口蓋過長や喉頭虚脱・気管虚脱の場合

猫が軟口蓋過長や喉頭虚脱・気管虚脱になると、吸気時に生じる気道内の過度の陰圧が症状を悪化させます。そのため、猫を興奮させないでください。猫の呼吸を激しくしなければ、症状の悪化を防げます。

また、猫が起きているときの呼吸音にいびきのような音が混じっていないかを確認してください。症状が重篤な場合は、外科的手術が必要になるので悪化させないことが大切です。

猫のいびきの予防

いびきは健康な猫でもかきますので、あまり気にする必要はありません。また、肥満や感染症が原因となる猫のいびきは予防できるので、適度な運動と適切な生活環境を整えましょう。

まとめ

正常な猫のいびきはかわいいものですが、いびきが体の何らかの異常を示している場合があります。愛猫のしぐさや行動に気になることが少しでもあれば、動物病院を受診し、獣医師に相談してください。

そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。