猫のおしっこが臭い原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年03月25日

猫のおしっこが臭いのは、何かの病気が原因なのでしょうか。実は猫のおしっこは、人間や猫と比べると臭い性質を持っています。ただし、おしっこの匂いに変化がある場合は病気が疑われます。

ここでは、猫のおしっこが臭い理由と考えられる病気について、また病院に連れて行くタイミングなどを獣医師が解説します。

猫のおしっこが臭いのは病気?尿の匂いの変化からわかる病気を獣医が解説

猫の尿が臭い原因とは?

―愛猫のおしっこが臭いのですが、何かの病気なのでしょうか?

猫のおしっこが臭いからといって、必ずしも病気というわけではありません。猫のおしっこは、健康でも人間や犬と比べると臭い特徴があります。

―猫のおしっこはなぜ臭いのでしょうか?

猫の尿が臭いのには、大きくふたつの理由が考えられます。

猫の尿に含まれる成分によるもの

ひとつは、猫のおしっこに含まれる成分が原因です。猫の尿中には「尿素」や「フェリニン」などの物質が含まれています。

尿素は人間の尿にも含まれる成分で、ウレアーゼ産生菌によって分解され「アンモニア」になり、これが刺激臭となるのです。

一方、フェリニンはアミノ酸の一種で、猫の尿だけに認められる化合物です。異性の猫を性的に興奮させる性フェロモンや猫の縄張りを誇示する素となると言われています(このことから去勢していないオス猫のおしっこがより臭う傾向にあります)。フェリニンは空気に触れるとチオールという物質に分解されます。このチオールが猫のおしっこに特有の悪臭を特徴づけているのです。

猫が尿を作る際のメカニズムによるもの

もうひとつの原因は、猫がおしっこを生成するメカニズムにあります。猫は体内の水分を効率よく利用するために、濃縮した尿を生成し排出します。このメカニズムは、飼い猫の先祖として考えられている「リビアヤマネコ」の特性を引き継いだものです。リビアヤマネコは砂漠のような乾燥地帯に生息しているため、少ない水分で効率よく尿を生成し、排泄する必要がありました。

この性質をペットの猫たちも受け継ぎ、濃いおしっこをするため臭く感じるのです。

猫が尿を作る際のメカニズムによるもの

―猫の年齢や性別によって尿の臭いに違いはありますか?

性成熟した(生後6から12か月以降)未去勢の雄猫は、尿の臭いがより強くなるとの研究報告があります。これは、先述したフェリニンの濃度が高くなることが原因です。尿中のフェリニン濃度を高めて、自分の縄張りを強く主張し、雌猫を呼び寄せていると考えられます。

猫の尿の匂いがいつもと違う。考えられる病気とは?

―愛猫のおしっこの匂いの変化から考えられる病気はあります?

猫のおしっこの匂いに変化がみられた場合は、泌尿器疾患が疑われます。特に下記のような変化がある場合は、注意してください。

鼻にツンとくる

普段より猫のおしっこが臭い、あるいはツンとした臭いがする場合には、細菌性膀胱炎の可能性があります。これは、尿中のウレアーゼ産生菌が増加し、アンモニアが大量に発生しているのが原因です。細菌性膀胱炎に感染すると、二次的に尿石症を引き起こすこともあるので注意してください。おしっこに血や膿が混ざっていないかも確認しましょう。

甘酸っぱい

猫の尿から甘酸っぱい匂いがする場合は、糖尿病の疑いがあります。糖尿病は猫で頻繁に見られる内分泌疾患です。糖尿病になると、体内でケトン体が発生し、一部は尿中に排泄されます。このケトン体が特徴的な甘酸っぱい匂いを引き起こすのです。

無臭

猫のおしっこの臭いがなくなる場合は、慢性腎臓病の可能性があります。慢性腎臓病になると、老廃物を尿中に排泄する働きが低下し、薄い尿しか出せなくなります。その結果、尿が無臭になるのです。

慢性腎臓病の場合には、多尿、体重減少、脱水などの症状も見られるので、併せて確認しましょう。

猫の尿の匂いが変! 動物病院を受診すべきタイミング

猫の尿の匂いが変! 動物病院を受診すべきタイミング

様子を見てもいいケース

―猫のおしっこの匂いが気になっても、病院に連れてかなくていい場合について教えてください。

猫のおしっこが臭くても、匂いに変化がない場合や、猫の体調に問題がなければ気にしすぎなくても大丈夫です。

受診を強く勧めるケース

―病院を受診すべきタイミングや見分け方について教えてください。

猫のおしっこに下記のような変化がある場合は、膀胱炎を始めとした泌尿器疾患が疑われます。早めに動物病院の受診をしてください。

  • 臭いや見た目が変化した
  • 血や膿が混じっている

また、観察してもわからない場合は、動物病院で健康診断を兼ねた、尿検査を受けるのがおすすめです。尿検査を受ける際は、自宅で猫の尿を採取し、持参するとスムーズに検査を受けられます。

猫のおしっこの採取方法

―猫のおしっこの採取方法を教えてください。

猫がおしっこをしているときに、直接お玉で採取したり、猫砂の上にビニールシートを敷き、たまった尿を採取したりする方法があります。ペットシートを使用している場合は、ひっくり返して敷くと、尿がたまるようになり、簡単に採取できるので試してみてください。

猫の尿の匂いの異変に気が付いたときの対処法

トイレ環境を改善して猫のストレスを軽減

猫の尿の匂いの異変に気が付いたときの対処法

―猫のおしっこが変だと感じたときは何をすればいいですか?

猫の尿が普段より臭う、鼻につくほど臭いが強いと感じる場合は、膀胱炎が原因と考えられます。猫の膀胱炎が引き起こされる要因として、ストレスが挙げらえます。猫の飼育環境で、特にトイレ関連を改善するとストレスが軽減され、膀胱炎の症状が抑えられる場合があります。具体的には、猫のトイレ掃除の頻度を増やすこと、多頭飼いであれば個々のトイレを置くことなどが効果的です。

そのほかの臭いの変化に気が付いたら、動物病院で診てもらいましょう。

猫の膀胱炎の予防法

―愛猫が膀胱炎を繰り返します。予防法はありますか?

膀胱炎の発症率は、ウエットフードを与えている猫よりも、ドライフードを与えている猫のほうが高いという報告があります。膀胱炎を繰り返すような場合には、ウエットフードに切り替えるといいでしょう。

また、飲水量も重要です。猫がいつでも飲みたいときに清潔な水を飲めるよう、給水環境を整備してあげてください。

さらには、肥満の猫も発症リスクが高いので、食餌の量をしっかりと管理し、適切な体重を維持してあげましょう。

まとめ

猫のおしっこは、人間や犬と比べて臭いものです。猫を飼う際には、その点を理解してあげてください。また、急におしっこの匂いが変化するような場合には、病気の可能性があるため注意しましょう。日ごろから猫の尿をよく観察し、病気の早期発見、早期治療を心がけ、大切な愛猫の健康を維持してあげてください。

そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。