猫の目が赤い、充血している原因とは？病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日：2024年07月09日

愛猫の目が赤い、充血しているなど、目の様子がおかしい原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

そのうち治るだろうと思っていたら、病状が悪化し、取り返しのつかない事態になってしまうかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

• 猫の目や、目の周りが赤くなる原因とは？
• 猫の目や、目の周りが赤くなる原因として考えられる病気
• 猫の目が赤くてこんな症状があるなら病院へ
• 猫の目が赤いときの対処法
• 日ごろからできる猫の目のケア
• まとめ

猫の目や、目の周りが赤くなる原因とは？

―猫の目や、目の周りが赤くなるのはどうしてですか？

猫の目や、目の周りが赤くなる病気以外の要因としては、顔を洗っているときに前足が勢いよく目に当たった、目にごみが入ったなどが考えられます。

次のような原因が代表的です。

異物

目の中に、ごみや抜けた被毛など異物が入って目を刺激します。目の違和感を取ろうと、猫が前足でこするため目の周りが赤くなるのです。また、異物の刺激で目に傷が入り、炎症が起きると目が赤くなります。

外傷

ほかの動物とのトラブル、うっかり物にぶつかった、ブラッシングの際にブラシが目に当たった、木や草の間を通ろうとして目に植物が当たったなどが、目に外傷を負ってしまう原因です。外傷を負うと目やにがたくさん出たり、まぶしそうに目を細めるたりするなどの変化が目立つと同時に、目の周りが赤くなります。

アレルギー

花粉やハウスダスト、食物に対するアレルギーも、猫の目や、目の周囲が赤くなる原因です。花粉やハウスダストの場合は、目の周りが赤くなるほか、くしゃみや鼻水が出ることもあります。食物アレルギーの場合は、顔から首にかけてかゆみが強くなるため、後ろ足でかいてしまい目の周りが赤くなりがちです。

しかし、猫の目や、目の周囲が赤くなる原因には病気の場合もあります。

猫の目や、目の周りが赤くなる原因として考えられる病気

―猫の目が赤くなる原因としてどんな病気が考えられますか？

目だけが赤い場合

結膜炎

猫の目の結膜部分が感染し、充血して赤くなった状態が結膜炎です。猫風邪の症状のひとつでもあり、体調不良で免疫が低下したときにも起こりやすくなります。

角膜炎

目の一番外側にある、角膜に炎症が起こった状態が角膜炎です。目の痛みや違和感が生じ、充血する、涙がたくさん出る、まぶしそうに目を細める、目が濁ったように見えるなどの症状が猫に見られます。通常は、角膜に細菌やウイルスなどの微生物が付着しても涙で洗い流しますが、何らかの原因で角膜に傷が入ると微生物に感染して炎症を起こすのです。

目の周りだけが赤い場合

眼瞼炎

目のふち部分、眼瞼縁（がんけんえん）に炎症が起こった状態が眼瞼炎です。目やにがたくさん付いたり、涙が常に出て湿っている状態が長く続いたりすると、猫の目の周りが赤く腫れて痛みを伴います。眼瞼炎の原因として多いのは、目のふちの細菌感染、アレルギーです。

腫瘍

目のふちに腫瘍ができて、目の周りが赤くなります。脂を分泌するマイボーム腺が腫瘍化するマイボーム腺腫のほか、さまざまな種類の腫瘍が原因です。眼球に腫瘍が当たらなければ、目の中まで赤くなることはありません。しかし腫瘍が大きくなってきたり、猫が気にしてこすったりすると、目の中も赤くなる場合があります。

扁平上皮癌

扁平上皮癌（へんぺいじょうひがん）も腫瘍の一種です。目のふちではなく、目の上や目の下が赤くなったり、かさぶたができたりします。特に被毛の白い猫に多く見られるのが特徴です。紫外線に多く当たることで、発症する可能性が高くなると言われています。悪性腫瘍なので、まぶたや目の周り、鼻や耳の先端が赤くジクジクしてきたら、体調に問題がなくても早めに受診しましょう。

目も目の周りも赤い場合

アレルギー

猫のアレルギーは、環境中のダニ、カビ、花粉、普段食べているキャットフードやおやつに含まれる食材が原因で起こります。くしゃみや鼻水、涙、かゆみなどがアレルギーの代表的な症状です。目に炎症が起きると、目の周りが赤くなる、目の中が充血するなどの症状が現れます。アレルギーは強いかゆみを伴いやすく、猫がかいてしまいがちです。そのため、さらに赤くなるなど症状が悪化する場合があります。

感染

猫の目や、目の周りが赤くなる原因で一番多いのは、ウイルスや細菌の感染です。ヘルペスウイルスやクラミジアに感染すると、涙がたくさん出る、目が充血する、目の周りが赤くなるなどの症状が現れます。慢性化すると結膜が赤い状態が続き、涙が常に出る流涙症（りょうるいしょう）になる可能性があります。

外傷

猫同士のけんかや、物などが目に当たってしまうなどが原因です。まぶたが傷つくと、腫れる、赤くなるなどの症状のほか、血が出る場合があります。

角膜が傷ついたときの症状は、目を細める、充血する、涙を流すなどです。角膜は透明な膜ですが、神経が細かく張り巡らされています。そのため外傷を負うと、神経が傷つき、痛みが生じるのです。また、違和感や痛みで目を足でこすったり、どこかにこすりつけたりすると悪化してしまいます。

猫の目が赤くてこんな症状があるなら病院へ

様子を見てもいいケース

―猫の目が赤くても病院に行かなくていい場合はありますか？

猫の目が赤くても、目がしっかり開いている場合や、涙や目やにが出ていない場合は1日様子を見てもいいでしょう。しかし、徐々に充血が起きたり、涙が多くなって目がしっかり開かなくなったりした場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

受診を強く勧めるケース

―すぐに病院を連れて行ったほうがいい場合を教えてください。

猫に涙がたくさん出ている、目を開けていない、触ろうとすると避けたり怒ったりするなどの症状がある場合です。これらの症状が見られるときは、痛みがひどいと考えられます。特に角膜炎や角膜に傷ができている場合は、失明のおそれがあります。

また、目をこすると眼球が破裂してしまったり、角膜の表面が白く濁って元の透明な状態に戻らなくなったりする可能性もあります。様子を見ずに、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

猫の目が赤いときの対処法

―猫の目が赤くなってしまったときに自宅でできる応急処置はありますか？

自宅で対処せず、動物病院を受診してください。猫の目が赤くなってしまった場合、自宅にある目薬を差していいのか迷うかもしれません。しかし、目薬に含まれている成分によっては症状を悪化させてしまう可能性があります。自己判断の点眼は危険なので、やめましょう。

日ごろからできる猫の目のケア

―猫の目が赤くなるのを予防することはできますか？

ヘルペスウイルス感染やクラミジア感染は、ワクチンによる予防が可能です。1年に1回ワクチンを打つことで、万が一感染しても軽い症状ですみます。

正常な猫の目の状態を、普段からよく確認することも大切です。少しでも異常を感じた場合は早めに動物病院を受診しましょう。

こんなケアはNG

―やってはいけないケアについて教えてください。

目の周りの汚れを取ろうと、乾いたティッシュペーパーで強くこすらないでください。かえって刺激になり、猫の皮膚が赤くなる可能性があります。また、こすったときに目が開いていると、角膜に傷が入りやすく危険です。猫の目を拭くときは、まぶたを閉じるように上から下に向かって拭いてください。

市販の目薬を使うと、場合によっては刺激になり、目の状態が悪化してしまう可能性があります。目薬は必ず動物病院で処方してもらいましょう。

まとめ

猫の目が赤い、充血しているときは、病気が原因の場合があります。病気によっては重症化するおそれがあるため、涙や目やにが出ている、腫れているなど、いつもと様子が違う場合は早めに動物病院を受診しましょう。

猫は、目の異常を飼い主さんに訴えることができません。早期発見・早期治療が大切です。猫の目に変化がないか、普段からよく観察してあげましょう。

そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

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