猫が涙を流す理由とは?考えられる原因と対処法を獣医師が解説

最終更新日:2024年02月15日

猫が涙を流す原因には、どのような病気があるのでしょうか。予防や対処法、病院に連れて行くべき症状などを獣医さんに伺いました。

猫は人間と異なり、悲しみなどの感情で涙を流しません。病気によっては深刻な状態に陥ってしまう可能性もあります。常に涙を流しているときは早めに獣医師に相談しましょう。

猫が涙を流す理由とは?考えられる原因と対処法を獣医師が解説
 

猫が涙を流す原因とは?

涙の過剰分泌や涙が鼻涙管にうまく流れない場合。悲しくて泣くことはない

―猫はなぜ涙を流すのですしょうか?

猫が涙を流すのは、何らかの原因で涙の分泌量が過剰になったり、涙がうまく鼻涙管(びるいかん)の中へ入っていかなかったりしたときです。例えば、ご飯を食べるとき、床に顔を近づけてほこりに刺激される、フードの香料に刺激されるなどで涙を流す猫がいます。

猫が涙を流している姿を見て、何か悲しいことがあったのではないかと、心配になる飼い主さんもいるかもしれません。しかし、猫は人間と違い、感情によって涙を流して泣くことはないのです。

猫の涙は涙腺から常に分泌され、目の表面全体を覆って目が乾かないようにする、外界の刺激から目を守る、角膜(黒目の部分)に酸素や栄養を送るなどの役割を担っています。そして、涙は目頭にある涙点(るいてん)と呼ばれる穴へ入り、鼻涙管という管の中を通って鼻の奥へと流れていきます。正常であれば分泌された涙はすべて涙点へと入っていくため、涙を流すことはありません。

もし、涙が出ていても一時的であれば、大きな問題はないのですが、常に涙を流している場合は、病気による可能性が考えられます。

猫が涙を流す原因として考えられる病気とは?

猫が涙を流す原因として考えられる病気とは?

猫の涙で疑われる病気

両目からの涙は体の異常。片目だけの涙は目の異常が原因

―猫が涙を流す原因としてどんな病気が疑われますか?

常に涙を流している状態を「流涙症(りゅうるいしょう)」と呼びます。流涙症の原因となる病気は、睫毛異常(しょうもういじょう)や鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)、角膜潰瘍(かくまくかいよう)、アレルギーなどです。アレルギーのような体の異常が原因である場合は、両目から涙が出ますが、片目だけに涙が出る場合は、目の異常が原因だと考えられます。

猫の流涙症の原因となる病気

睫毛異常

睫毛異常は、まつ毛の異常によって起こる病気です。本来と異なる場所からまつ毛が生える「異所性睫毛(いしょせいしょうもう)」や、角膜に向かってまつ毛が生えてしまう「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」(いわゆる逆さまつ毛)などがあります。まつ毛が角膜に触れて涙の量が増えると、重度の場合は角膜潰瘍などを起こす可能性もあるのです。

鼻涙管閉塞

涙の通り道である鼻涙管が閉じて、行き場を失った涙があふれ出てしまう状態です。原因は大きくふたつに分けられ、生まれつき鼻涙管が閉塞している場合と、目の炎症などによって後天的に鼻涙管が閉塞してしまう場合があります。

眼瞼内反症

下瞼の縁が内側(眼球側)に入り込んでしまっている状態です。睫毛異常と同様に、まつ毛が角膜を刺激するため涙の量が増えてしまいます。

角膜潰瘍

角膜に傷が付いて、えぐれてしまっている状態です。けんかや睫毛異常、感染、異物などが原因で起こり、痛みから涙の量が増えます。

アレルギー

食べ物やハウスダスト、ノミなどに対するアレルギー反応が原因です。主な症状は皮膚炎やかゆみで、目の周りに症状が現れると、結膜炎を起こして涙の量が増えます。また、猫が目を気にしてこすると、二次的に角膜潰瘍を起こす場合があります。

―涙が赤っぽい、茶色いのはどうしてでしょうか?

涙は本来無色透明です。しかし、流涙症は絶えず目の下が濡れています。これによって、涙の成分が酸化したり、細菌が繁殖したりするため、赤茶色っぽく変色してしまうのです。

猫が涙を流して、こんな症状ならすぐ病院へ

猫が涙を流して、こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない猫の涙

―猫が涙を流していても、どういった場合であれば、様子を見ていてもいいですか。

一過性で、目や目の周りに異常がないようであれば、一旦様子を見ても問題ありません。清潔なティッシュやコットンなどを使って、やさしく涙を拭き取ってあげましょう。

受診を強く勧める場合

―受診すべき猫の涙の見分け方、併発するそのほかの症状を教えてください。

涙の量が多く、猫に次のような症状がある場合は動物病院を受診してください。

  • 目の下が常に濡れている
  • 目をまぶしそうに細めている(目の痛み)
  • 黄色い目やにが出ている(細菌感染)
  • 白目に充血が見られる
  • 目を気にしてこすっている

特に、角膜潰瘍は治療が遅れると目が見えなくなる可能性があります。目の痛みや充血、目を気にしてこするしぐさなど、猫に角膜潰瘍が疑われる症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

猫が涙をずっと流している場合の対処法

猫が涙をずっと流している場合の対処法

猫が目をこすらないようにする。ティッシュで涙をこまめ拭き取る

―猫が一過性ではなく、涙を出し続けている場合、どう対処すればいいのでしょうか?

一過性ではない場合は、病気が原因だと考えられます。まずは動物病院を受診してください。

動物病院に行くまでの間、猫が目をこすらないように、自宅にエリザベスカラーがある場合は着けてあげましょう。

また、目の下が涙で濡れていると、皮膚炎を起こすおそれがあります。清潔なティッシュなどを使って猫の涙をこまめに拭き取ってあげましょう。角膜に傷が付かないように、目頭にティッシュをやさしく当てるようにして涙を拭き取ってください。ゴシゴシこすると皮膚炎を起こしやすくなるため、やさしく拭き取るようにします。

涙や目やにが固まっている場合は、少しふやかしてから拭き取ったり、目の細かいコームでとかしたりしてあげましょう。無理に取ろうとすると痛みが生じたり皮膚に炎症が起こったりする可能性があります。

猫の涙を予防するには?

―猫の涙の予防方法を教えてください。

流涙症は早期発見・早期治療が重要

猫の流涙症は予防が難しいため、早期発見・早期治療が重要です。

アレルギーには原因となるものを除去

ただし、アレルギーが原因である場合は、アレルギー反応を起こす原因となるものを除去すると症状が緩和されます。原因がある程度把握できている場合に限定されてしまいますが、食べ物が原因であればフードの種類を変える、ハウスダストが原因であればこまめに掃除をする、空気清浄機を設置する、ノミが原因であれば完全室内飼育にするなどしましょう。

食器を変える

食事中にだけ猫が涙を流す場合は、床からなるべく顔が離れるように、高さのある食器に変えて様子を見てください。

まとめ

猫の涙は、一過性であれば大きな問題はほとんどありませんが、常に涙を流しているような場合は、病気が原因となっている可能性が考えられます。猫はこまめに顔を洗うため気付きにくく、予防が困難です。猫が涙を流している場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。