猫の喘息の症状と原因、治療法について
最終更新日:2024年07月09日
猫の喘息ってどんな病気?
猫喘息とは、何らかの原因で猫の気管支に炎症が起こり、発作的に咳をし始め、呼吸が急激に困難になる病気です。一般的にアレルギーや呼吸器への感染が関係していると言われています。
猫喘息の初期症状
初期症状では、呼吸困難が起こるというよりも喉の違和感から、猫が舌なめずりをしたり、咳をしそうになるが咳が出ずに止まったり、痰を飲み込むような動作が増えます。このように一見風邪に似た症状が何度も繰り返し見られますが、喘息は感染症ではないので、風邪を引いたときのように熱が出ることはありません。
また、咳払いのように何かが喉に引っかかったと思わせる症状が見られますが、すぐに治まり、いつもどおりの生活を送るため受診が遅れてしまいがちです。初期症状のうちに治療を開始すると、比較的症状が落ち着きますが、治療が遅れると回復が難しくなります。猫に咳払いのような症状が繰り返されるなら、早めに動物病院にかかりましょう。
進行すると危険な猫喘息
猫に喘息発作が起こると、「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という呼吸に変化し、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青白く変色する)が現れます。そして、呼吸困難から命の危険に陥る場合があるのです。また、咳はあまり出ず、呼吸数だけが増加する場合もあります。
症状が進行すると、十分な酸を取り込めず体内の臓器が酸素不足になってしまい、きちんと機能できなくなります。また、空気を吸えなくなるだけでなく、うまく吐き出せなくなるのも猫喘息の怖いところです。
このように肺の中に空気が残ってしまうと肺に小さな亀裂が入り、空気が漏れてしまうことがあります。そして、亀裂ができる場所によって皮下気腫や気胸を起こしてしまうのです。
猫喘息と似た症状の病気とは?
以下に挙げる病気は、猫喘息と似た症状が見られますが、治療方法が異なりますので注意が必要です。
- 喉周辺の腫瘍
- 気管狭窄
- 気管内の異物
- 肺気腫
- 肺炎
どうして症状が出るの?原因は?
猫の喘息の多くは、アレルギーや感染症に関係すると言われ、下記のような原因が挙げられます。
- ハウスダストや花粉、食物、タバコの煙などに対してアレルギーがある
- 細菌やウイルス、マイコプラズマなどが呼吸器に感染する
猫にアレルギー反応や呼吸器に感染が起こると気管支に炎症が起こり、咳が出るようになります。咳がひどくなると、気管支への炎症がさらに強くなり、粘膜が肥厚(ひこう:太く熱くなること)したり、分泌物が多く出て気管支の直径が狭くなったりして、なおいっそう呼吸がしにくくなります。このような悪循環が呼吸困難を引き起こしてしまうのです。
また、呼吸器系に感染する寄生虫は、「肺吸虫」「猫円虫」が代表的です。このような寄生虫が猫の気管や気管支に寄生すると、咳が出るようになります。そのため、寄生虫の駆除を定期的に行うことをお勧めします。
どんな猫が喘息にかかりやすいの?
猫喘息は、シャムがなりやすいと言われていますが、あらゆる種類の猫で起こり、若齢から中齢期の猫に多い傾向があります。なお、性別によって発症の頻度や症状の程度に違いはありません。
猫の喘息の症状とチェック項目
猫の喘息の特徴は、咳や呼吸困難など呼吸器系の症状が見られ、長期的に繰り返すことです。風邪を引いたときにも咳は出ますが、治療すると症状は治まり簡単に再発しません。
猫に以下のような症状が見られるようであれば、猫喘息の疑いがありますので、早めに動物病院を受診しましょう。
- 咳が出る
- 咳とともにえずく
- 呼吸音がヒューヒューと聞こえる
- ゼロゼロと痰が絡んだような音がする
- 口を開けて息をしている
- 首を伸ばして苦しそうにしている
- 呼吸がいつもより早い
- 舌の色が悪い
- 運動後に発作的に咳が出る
- 咳が2か月以上続いている
猫の喘息はどうやって診断されるの?
猫の喘息は症状だけでなく、以下のような検査を行い、総合的に判断します。
- 糞便検査
糞便検査は、猫の呼吸困難を引き起こす気道の寄生虫を駆除するために行います。対象となる寄生虫は、肺吸虫や猫円虫が代表的です。 - 血液検査
血液生化学検査(肝臓や腎臓、血糖値など)、血球数算定(白血球や赤血球などの数を検査する)を行います。アレルギーが関係しているときには、白血球の一種である好酸球数が増加します。 - レントゲン検査
レントゲン検査では、胸部を撮影し、肺や気管、気管支の状態を確認します。 - 気管支鏡検査
気管内を内視鏡で確認し、粘膜の肥厚や気管内部の様子を確認します。猫は、気管や気管支が細いので確認が難しい場合があります。
そのほか、CT検査や血液ガス検査を行う場合もあります。
猫の喘息の治療にはどんな方法があるの?
猫喘息の治療は内科療法が中心です。主な治療法は、次のとおりです。
- アレルゲンにできるだけ接しないようにする
- コルチコステロイドや免疫抑制剤の投与
- 気管支拡張薬の投与
- ネブライザーや吸入を行う(薬を霧状にして猫に吸い込ませる方法)
- 抗生剤の投与(感染がある場合)
- 去痰薬(痰を取り除きやすくする薬)
どの治療法を選ぶのかは、原因によるだけでなく個体差によります。
猫の喘息は治せるの?
長期に渡る継続的な治療が必要になります。根気よく治療を続けていきましょう。
どうやって予防したらいいの? あるいは症状を緩和するにはどうしたらいいの?
猫喘息の原因は、多くの場合、呼吸器系に対するアレルギーなので、アレルギーの原因がわかれば、環境中から排除し、摂取しないように注意する必要があります。ハウスダストや花粉が原因となる場合は、空気清浄機を使用し、洗濯物や服に付着した花粉を室内に持ち込まないように外で払ってください。
また、喘息発作が起こると呼吸困難になることがあるので、症状の緩和には酸素吸入が役立つでしょう。そのため、スポーツ用の酸素ボンベがあると便利です。
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執筆者:平松 育子
獣医師。『ふくふく動物病院』院長。京都市生まれ。山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、2006年、山口市阿知須にて『ふくふく動物病院』を開業。
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