猫の咳の原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

猫が咳をする、咳が止まらない原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

猫は咳をあまりしない動物です。にもかかわらず、咳が続く場合は、何らかの異常があると考えていいでしょう。そのうち治るだろうと思っていたら、病状が悪化し、取り返しのつかない事態になってしまうかもしれません。猫の行動やふるまいに異常や変化を感じたら、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

猫の咳の原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

猫の保険について

目次

猫の咳の原因とは?

―猫の咳が起こるメカニズム、原因について教えてください。

咳は呼吸器にあるセンサーが刺激されることで起こる現象です。神経を経由して脳に情報が伝えられ、それにより横隔膜や腹筋などが動くことで発生します。このようなメカニズムから、呼吸器に貯まった分泌物や異物を外に排出して、体を守るための防御反応が咳なのです。

咳が出るような刺激としては、異物による圧迫のような機械的刺激、化学物質の吸引のような化学的刺激、呼吸器の炎症による炎症性刺激、温度刺激といったものがあります。猫では咳のセンサーが気道の末梢(肺の奥)にはないため、気道の刺激では咳が出にくいのです。

ところで、犬の咳は人間と似たようなしぐさであるため、飼い主の方たちが見てもすぐに咳だとわかりますが、猫の咳は知識がないと、それが咳だと認識できないことがよくあります。そのため、猫が「苦しそうにしている」「吐きたそうにしている」とよく思われるようです。

典型的な猫の咳症状は、顎を前に伸ばして少し舌を出します。喉の入り口が反応して出る咳はとても激しくなり、深く息を吸い込むことなく、いきなり咳が出ます。このとき猫は床に首やお腹を擦り付けるような体勢になります。

なお、猫の咳は犬のように大きな音が出るのではなく、小さな音がするだけ、あるいはゼーゼーという音がします。そのため、何らかの発作だと思われるかもしれません。また、猫は咳をした後に、舌なめずりをして口の中の痰を飲み込むようなしぐさが見られます。

猫の咳は、病的でない限り、何日も続くことはありません。犬でも咳は軽く考えないほうがいいのですが、特に猫の場合は咳の頻度が少なくても症状が続くようであれば、動物病院を受診したほうがいいでしょう。

猫の咳の原因として考えられる病気とは?

猫の咳の原因として考えられる病気とは?

―猫が咳をする病気として、どんなものがありますか?

猫の咳の原因となる主な病気について挙げ、それぞれについて解説します。

気道内異物

気道内の異物による機械的刺激で咳が出ます。咳によって原因となる異物が排出できれば、咳は速やかに収まります。ただし、小さな異物が末梢気道まで進んでしまった場合、咳が出なくなることがあります。

急性、または慢性喉頭炎

急性喉頭炎は、猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスの急性感染が原因になると考えられています。喉頭(こうとう:咽頭と気管の狭間の部分)の粘膜に急性炎症を生じて、痛みや喉の腫れにより声が出にくくなったり、呼吸がしづらくなったりすることがあります。また、発熱や元気がなくなることもあり、痛みのため食欲が落ちます。

どちらも完全な予防はできませんが、混合ワクチンに含まれる対象の病気であり、ワクチン接種により症状の緩和が期待できます。

なお、慢性喉頭炎は、ウイルスがどこまで関係しているかがはっきりとわかっていないようです。

気管支瘻(ブロンコレア)

気管支瘻(きかんしろう)とは、粘稠性の低い(サラサラした)分泌物が大量に出てくる慢性の肺疾患です。主な原因は、間質性肺炎、猫の特発性肺線維症、腺癌、気管支腺の増生(※)などが複合するためと考えられています。

この病気は、ロシアン・ブルーとアメリカン・ショートヘアでよく見られ、この2種だけで全体の2/3を占めるほど、その割合は圧倒的です。ロシアン・ブルーでは6歳以降、アメリカン・ショートヘアでは10歳以降で多くなります。また、性別比ではオスが6割くらいです。

※増生とは、特定の細胞が刺激を受けて細胞数が過剰に増えてしまい、組織や器官が大きくなることです。

猫喘息

猫喘息は、アレルギー性の呼吸器疾患です。ハウスダストやタバコ、芳香剤、揮発性の化学物質などが原因となる可能性があります。

症状としては、気管支に起こった炎症の影響で気道が狭くなり、咳以外にゼーゼーと発する呼吸になったり、重度になると呼吸困難を起こしたりします。また、若いうちから発症することもあれば、中年齢で発症することもあります。

なお、ほかのアレルギー疾患と同様、一度発症してしまうと完治が難しいため、原因物質を突き止めて接触を回避することが重要です。猫が家の中のほこりっぽい所や部屋の狭い所に入ると咳が出るならハウスダスト、家の人がタバコを吸うと咳が出るならタバコが原因物質として疑われます。

猫喘息のより詳しい原因、症状、予防については獣医師監修の「猫喘息」を併せてご覧ください。

細菌性気管支肺炎

細菌性気管支肺炎は、末梢気道から肺の実質で細菌感染が起きて肺炎になる病気です。咳以外に元気や食欲がなくなったり、熱が出たりして、呼吸回数が増えます。主な発症原因は、猫の免疫力の低下であり、子猫や老猫、FIV陽性の猫で発症しやすくなります。

気管や気管支、肺の腫瘍

猫の気管や気管支、肺の腫瘍によって気道が圧迫され、咳が出ることがあります。

猫の咳の対処法・応急処置

猫の咳の対処法・応急処置

―猫が咳をしていたら、どんなふうに対処したらいいのでしょうか。

猫は咳をすることが比較的少ない動物であるため、咳が続く場合や、咳の後に元気や食欲がなくなる場合は異常です。

診断に際し、どういう状況で咳が出始めたのかという情報はとても重要であるため、できるだけ正確に記録しておきましょう。また、咳かどうかわかりにくい場合があるため、動画を撮影するといいでしょう。猫喘息の場合は、原因物質を除去すると症状が落ち着くことがあるため、換気をすることも有効です。

しかしながら、猫が咳をする原因は多岐に渡るため、咳が続くなら必ず動物病院を受診しましょう。

猫の咳でこんな症状が見られたら、すぐに病院へ

―人間にとっても咳はつらいものですが、どの程度なら様子を見ていいですか?

例えば、気道異物が原因で、咳と一緒に異物が排出されれば問題ありません。咳が出ていてもすぐに止まり、再び咳をせずに元気や食欲に問題がなければ様子を見てもいいでしょう。

ただし、ずっと咳が止まらない、一度止まっても再び出てくる、咳は止まったけど元気や食欲がなくなるようなら受診しましょう。

―動物病院を受診すべき咳やそのほかの症状について教えてください。

基本的に猫の咳が続くのは、多くが重度の病気なので早めの受診が必要です。さらに、呼吸困難になる場合は緊急性が高くなります。

ここで注意してほしいのは、咳という症状自体が、放置すると衰弱の危険があるというだけでなく、病気の対処が遅れて病状が悪化し、治療が間に合わなくなるということです。

―病院への移動時で、飼い主が気を付けるべきことがあれば、お願いします。

猫はもともと移動時にストレスを感じますが、咳が出て苦しいと、さらにストレスがかかります。できるだけ静かに短時間で移動することを心がけましょう。

猫の咳の治療について

猫の咳の治療について

―病院ではどのような治療を行うのですか?

咳は呼吸器に貯まった分泌物や異物を体の外に排出するための防御反応であるため、むやみに咳を止めるのは良くない場合があります。しかし、咳がひどいために衰弱していくことが予想される場合には咳止め薬を使用します。

また、細菌性気管支肺炎のように感染が咳の原因となる場合は、抗生物質を使用します。猫喘息のようにアレルギー性の場合はステロイドを使用します。

―自宅での療養では、どんなことに注意したらいいのでしょうか?

動物病院で処方された薬をきちんと投与すること、しっかり栄養を取らせること、こまめに換気することが大事です。猫喘息の場合は原因物質と接触させないように気を付けましょう。

まとめ

猫の咳について注意事項をまとめると、次のようになります。

  • 人間や犬と違い、猫の咳はわかりにくい
  • 咳が続くようなら必ず異常があると考えたほうがいい
  • 咳が治まっても元気や食欲がなくなるようであれば、呼吸器に重大な問題がある

以上のことを忘れずに、咳が出たらできるだけ動物病院を受診しましょう。

そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

猫の保険について

ペット保険の契約対象となる猫種・品種について

当社のペット保険は、猫種による保険料の違いがありません。

また、「ペット保険取扱の猫種分類表」に契約実績のある猫種をまとめていますが、未記載の猫種であっても保険料は同じです。

あ行に属する猫の種類
か行に属する猫の種類
さ行に属する猫の種類
た行に属する猫の種類
  • ターキッシュアンゴラ
  • ターキッシュバン
  • チートー
  • チャウシー
  • デザートリンクス
  • テネシーレックス
  • デボンレックス
  • トイガー
  • ドウェルフ
  • ドラゴンリー
  • トンキニーズ
  • ドンスコイ
な行に属する猫の種類
は行に属する猫の種類
ま行に属する猫の種類
や行に属する猫の種類
ら行に属する猫の種類