猫に精油(エッセンシャルオイル)を使ったアロマセラピーは危険
最終更新日:2024年07月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
アロマセラピーは、植物から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を使用し、私たち人間の心と体にさまざまな効能をもたらす自然療法です。しかし、体の構造が異なる猫にとっては、大変危険なものです。本稿では、植物由来の成分が猫に与える影響について獣医師が解説します。
- 猫にアロマテラピーが危険な理由とは?
- 精油やアロマオイルが猫に引き起こす症状
- 猫が精油をどのくらい摂取すると危険なのか
- 猫にとって毒性の高い精油、アロマオイルの種類
- 猫が誤って精油、アロマオイルを摂取したときの応急処置
- まとめ「猫がいる空間で精油を使ったアロマセラピーは非常に危険」
猫にアロマテラピーが危険な理由とは?
アロマテラピーに使用される「精油」「アロマオイル」は猫にとって危険
―猫がいる部屋で、アロマテラピーをしてはいけないのはなぜですか?
アロマテラピーには、植物由来の精油(エッセンシャルオイル)が利用されているためです。また、アロマオイルの中には、精油を含むものもあります。精油は人間にとっては問題ありませんが、猫の体の構造は人間とは異なり、猫にとっては猛毒になり得ます。そのため、猫のいる部屋ではアロマテラピーをしてはいけません。
猫は肉食動物のため、植物由来成分の代謝が苦手
―精油やアロマオイルは、なぜ猫にとって有毒なのですか?
猫は肉食動物のため、雑食性である私たち人間とは、代謝の仕組みも異なっています。
大きな仕組みの違いのひとつに、化学物質の肝臓での代謝過程が挙げられます。化学物質は、主に肝臓で代謝されます。肝臓での代謝は2段階で進行します。1段階目(第Ⅰ相反応)では、化学物質の酸化や還元、加水分解などが行われます。2段階目(第Ⅱ相反応)では、「抱合」と呼ばれる処理が行われます。
私たち人間と猫では、この「抱合」の方法が異なり、この違いが化学物質の代謝能力の違いを生むひとつの要因となっています。具体的には、私たち人間にはある「グルクロン酸抱合」という過程が猫にはなく、別の経路により抱合が行われます。この違いにより、猫は人間にとって問題とならない精油の化学物質をうまく代謝できない場合があります。
また、精油は植物の成分を抽出して何倍にも濃縮したものです。植物の中には、猫が摂取すると中毒を引き起こすものがいくつかあります。それらの植物から抽出された精油を猫が摂取し、死亡したという事例もあり、大変危険です。上記のような理由から、精油やそれを含むアロマオイルは猫にとって毒になり得るのです。
精油やアロマオイルが猫に引き起こす症状
―猫が精油やアロマオイルを摂取すると、どのような症状が引き起こされるのでしょうか?
以下のような症状が見られます。
- 流涎(りゅうぜん:よだれを流すこと)
- 嘔吐(おうと)
- 下痢
- 元気消失
- 食欲低下
- 神経症状
猫が精油をどのくらい摂取すると危険なのか
精油は少量でも危険。皮膚からの吸収、香りを嗅ぐだけでも中毒症状を引き起こす
―猫にとって危険な精油、アロマオイルの量を教えてください。
猫にとって精油やそれを含むアロマオイルは、少量でも危険です。また、精油が猫の体内に取り込まれる経路は誤飲だけでなく、皮膚からの吸収や揮発した空気中の成分を肺から吸収することでも起こります。そのため、加湿器やディフューザーなどで精油やアロマオイルを拡散させただけで、猫の皮膚や肺から体内に取り込まれ、中毒を引き起こすおそれがあるのです。
また、拡散させたアロマは、すばやく室内に充満します。たとえ猫のいない部屋でアロマセラピーをしていても、アロマが猫のいる部屋まで充満してしまうおそれがあるため、猫のいる家の中では使用しないでください。
猫にとって毒性の高い精油、アロマオイルの種類
―特にどのような種類の精油やアロマオイルが、猫にとって危険なのでしょうか?
猫にとって危険な精油は数多くありますが、ここでは特に毒性の強い精油を紹介します。
モノテルペン炭化水素類を多く含むオイル
- オレンジ
- レモン
- グレープフルーツ
- パイン
- マンダリンなど
ケトン類を多く含むオイル
- ペパーミント
- セージ
- ラベンダースピカ
- ローズマリーカンファーなど
フェノール類を多く含むオイル
- オレガノ
- クローブ
- タイムチモール
- シナモンリーフなど
そのほか危険な成分を含むオイル
- ラベンダー
- ティートゥリーなど
猫に安全な精油はあるのか?
―猫に害がない精油やアロマオイルはありますか?
猫にとって安全な精油はありません。猫が部屋にいる場合は、絶対に使用しないでください。
猫が誤って精油、アロマオイルを摂取したときの応急処置
家庭内での対処法はない。すぐに動物病院へ
―猫がアロマセラピーによって中毒症状が見られたら、どのように対処すればいいのでしょうか。
猫に中毒症状が出てしまった場合、残念ながら自宅でできる対処法は特にありません。すぐにアロマを使用している場所から猫を離し、なるべく早く動物病院を受診してください。
動物病院を受診する際には、いつからどのような症状がどの程度、どのくらいの頻度で現れているかをメモしておくとスムーズに問診が進むでしょう。さらに、使用していた精油やアロマオイル、嘔吐物やうんちを持参すると、診断の助けになります。嘔吐物やうんちを持参する場合は、なるべく直近のものを用意してください。
猫に神経症状が見られている場合には、症状が出ているときの様子をスマートフォンに動画として残しておくと、診察するうえでとても役立ちます。食欲低下が見られる場合、無理に食べさせることはやめたほうがいいでしょう。無理やり食べさせると誤嚥(ごえん:食道ではなく気道に入り込むこと)してしまい、誤嚥性肺炎の原因となります。
動物病院での対処法
動物病院では、対症療法をまず行います。
嘔吐や下痢によって猫が脱水症状を起こしている場合は、主に点滴治療が選択されます。脱水が軽度であれば、5分程度の皮下点滴ですが、重度であれば入院して静脈点滴をする場合もあります。嘔吐や下痢が長期間続いていれば、吐き気止めや下痢止めの注射薬、もしくは内服薬を使用する場合があります。どうしても回復しない場合は、強制給餌や食欲増進薬を使用する場合もあります。
神経症状が見られる場合は、神経学的検査を行います。内容としては触診や視診などによって体の反射を確認し、障害が起きている部位を特定します。
また、いずれの症状も改善が見られない場合や悪化した場合は、エコー(超音波)を始めとする精密検査を勧められることもあります。
まとめ「猫がいる空間で精油を使ったアロマセラピーは非常に危険」
体の構造が人間と異なる猫は、植物由来の成分をうまく代謝できません。それらを高濃度に含む精油(エッセンシャルオイル)やアロマオイルは、猫が体内に取り込むと中毒や死亡するほど危険なものです。
また、誤飲だけでなく、皮膚や肺からの吸収も有害です。猫がいる空間で、精油やアロマオイルを使ったアロマセラピーは行わないようにしましょう。
愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べてはいけない危険な食べ物」「猫が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。
関連リンク
猫種別の保険料
当社のペット保険は、猫種による保険料の違いがありません。
また、「ペット保険取扱の猫種分類表」に契約実績のある猫種をまとめていますが、未記載の猫種であっても保険料は同じです。
あ行に属する猫の種類
- アビシニアン
- アメリカンカール
- アメリカンキューダ
- アメリカンショートヘア
- アメリカンボブテイル
- アメリカンポリダクティル
- アメリカンワイヤーヘア
- アメリカンリングテイル
- アラビアンマウ
- アルパインリンクス
- イジアン
- ウラルレックス
- エイジアン
- エキゾチックショートヘア
- エジプシャン・マウ
- オイイーボブ
- オーストラリアンミスト
- オシキャット
- オホサスレス
- オリエンタル
- オリエンタルバイカラー
か行に属する猫の種類
- カラーポイントショートヘア
- カリフォルニアスパングルド
- キプロスアフロディーテ
- キムリック
- キンカロー
- クリッパーキャット
- クリリアンボブテイル
- コーニッシュレックス
- コラット
さ行に属する猫の種類
- サイベリアン
- サバンナ
- サファリ
- ジャパニーズボブテイル
- ジャーマンレックス
- シャム
- シャルトリュー
- シャンティリー
- ジェネッタ
- シンガプーラ
- スキフトイボブテイル
- スクーカム
- スコティッシュフォールド
- スノーシュー
- スフィンクス
- セイシェルワ
- セイロンキャット
- セルカークレックス
- セレンゲティ
- ソコケ
- ソマリ
た行に属する猫の種類
- ターキッシュアンゴラ
- ターキッシュ・バン
- チートー
- チャウシー
- デザートリンクス
- テネシーレックス
- デボンレックス
- トイガー
- ドウェルフ
- ドラゴンリー
- トンキニーズ
- ドンスコイ
な行に属する猫の種類
- ナポレオン
- ネベロング
- ノルウェージャンフォレストキャット
は行に属する猫の種類
- バーマン
- バーミーズ
- バーレイニディルムンキャット
- ハイランドリンクス
- ハバナブラウン
- ハバリ
- バリニーズ
- バンビーノ
- ピーターボールド
- ピクシーボブ
- ヒマラヤン
- フォールデックス
- ブラジリアンショートヘアー
- ブランブル
- ブリティッシュショートヘア
- ブリティッシュロングヘアー
- ペルシャ
- ベンガル
- ボンベイ
ま行に属する猫の種類
や行に属する猫の種類
- ユークレイニアンレフコイ
- ヨークチョコレート
- ヨーロピアンショートヘア