猫が叫ぶように大きな声で鳴く原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年07月08日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

猫が叫ぶように鳴くのは、どのような理由があるのでしょうか。それには、発情のような生理的なものもあれば、心的なものや病的なものもあります。これらの場合、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

愛猫のいつもと違う動作の異常や行動の変化は、何かの病気のサインかもしれません。気になることがあれば、すぐ獣医師さんに相談しましょう。

猫が叫ぶように大きな声で鳴く原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

猫が叫ぶように鳴く、うるさいくらいよく鳴く理由とは?

―猫が叫ぶように鳴いたり、ときにはうるさいくらい鳴き続けたりするのはどうしてですか?

猫の鳴き声や鳴き方は、うれしいときや怒っているとき、遊んでほしいときなど、そのときどきの感情によって大きく変わります。「アオーン」と叫ぶように鳴いていたり、うるさいくらい鳴き続けていたりするときは、以下のような理由が考えられます。

子猫期

人間の赤ちゃんと同じように、子猫も「お腹が空いた」「寒い」など、母猫や飼い主に何かを訴えるために「ミーミー」と高い声でうるさいくらい鳴き続けます。子猫の訴えをくみ取ることは難しいかもしれませんが、要求を満たしてあげれば鳴き声は治まります。ごはんをあげる、体を温める、排泄を促すなど、思いつく限りのケアをしてあげましょう。

発情期

一般的に、猫は日照時間が長くなる春になると、まずメス猫が発情期を迎えます。そして発情したメス猫に刺激されて、オス猫も発情をします。ただし、完全室内飼育の場合は照明の影響を大きく受けるため、メス猫は1年中発情しやすくなります。

メス猫の鳴き方

メス猫は、発情期を迎えてオス猫を受け入れるタイミングになると、オス猫に自分の存在をアピールするために鳴きます。鳴き方はいつもと異なり、「アオーン」「ウアーン」とやや低めの大きな声が特徴です。人間の赤ちゃんや、小さい子どもの泣き声のように聞こえることもあります。

オス猫の鳴き方

オス猫は、メス猫の鳴き声に反応して「アオーン」「ウアーン」と大きな声で鳴きます。発情期を迎えたオス猫は、スプレー行動が見られたり、攻撃的になったりする場合もあります。

ストレス

猫はストレスを感じると大きな声でくり返し鳴く場合があります。ストレスの原因として多いのは、来客や引っ越し、家族構成の変化などです。このほかにも、ウロウロして落ち着かない、トイレを失敗するようになった、過剰に毛づくろいをしているなどの行動の変化が見られます。

分離不安

分離不安とは、飼い主と離れることで猫が強い不安を感じる状態です。猫は自立心が強いと思われがちですが、最近では完全室内かつ単頭飼育が増えているため、分離不安を引き起こす猫が少なくありません。分離不安の症状は、ストレスの症状と似ており、繰り返し鳴く、つきまとう、粗相、過度な毛づくろいなどが見られます。

ただし、これらのほかにも病気が原因で叫ぶように鳴いたり、鳴き声がいつもと違ったりする場合もあります。

猫が叫ぶように鳴く、異様な鳴き方をする原因として考えられる病気とは?

猫が叫ぶように鳴く、異様な鳴き方をする原因として考えられる病気とは?

―猫が大きな声で鳴いたり、いつもと違う鳴き方をしたりするとき、どんな病気が疑われますか?

猫は、痛みや苦しさを感じたときなどに、大きな声で鳴いたり、いつもと違う鳴き方をしたりする場合があります。

叫ぶように鳴く

認知症

猫の平均寿命が延び、認知症になる猫が増えてきました。11歳を超えるくらいの高齢の猫が大きな声で鳴くようになったり、夜鳴きをするようになったりした場合は、認知症が疑われます。認知症になると、このほかにも徘徊や粗相、昼間に寝ている時間が増えるなどの行動の変化が見られます。

外傷

猫がしっぽをドアに挟んだときや強い力で踏まれたときなど、ケガをして強い痛みを感じた瞬間に叫ぶように鳴く場合があります。

うなるように鳴く

尿路結石

猫は尿路結石ができると、トイレをするときに痛みを感じ(排尿痛)、鳴く場合があります。尿路結石では、排尿痛のほかに血尿や頻尿などの症状が見られます。

猫が叫ぶような鳴き方をして、こんな症状があるなら病院へ

猫が叫ぶような鳴き方をして、こんな症状があるなら病院へ

心配のいらない場合

―猫が普段と違う鳴き方をしていても、病院に行かなくていい場合はありますか?

発情期の場合、日照時間が短くなってくると自然に発情が治まりますので、基本的には病院に行く必要はありません。

強く受診を勧める場合

―すぐに病院へ連れて行くべき症状について教えてください。

尿路結石症になって結石が詰まり、おしっこがまったく出なくなると、猫は数日で死に至ります。次のような症状が見られたら、様子を見ずにすぐに動物病院を受診しましょう。

  • おしっこをするときに痛そうに鳴く
  • トイレに何回も通うがほとんど、あるいはまったくおしっこが出ない
  • 血尿が見られる

また、次のような異常が見られる場合も、病気が原因であることが考えられます。すぐに動物病院を受診しましょう。

  • 元気や食欲がない
  • 嘔吐や下痢をしている
  • 呼吸が荒く苦しそうにしている
  • けいれんしている

猫がうるさく鳴く場合の対処、対策とは?

猫がうるさく鳴く場合の対処、対策とは?

避妊・去勢手術

発情期の鳴き声は、避妊・去勢手術で治まるでしょう。また、避妊・去勢手術は、子宮や精巣、前立腺などの病気を予防するメリットもあります。ただし、全身麻酔が必要です。動物病院で手術について相談するといいでしょう。

ストレスや分離不安には環境改善を

ストレスや分離不安に対しては、できる限り原因を取り除いてあげましょう。安心できる隠れ場所を作ってあげたり、キャットタワーを設置して運動量を増やしたりするのも効果的です。

ただし、これらの対策を行っても一向に改善されない場合や、過度の毛づくろいによる脱毛が見られる場合などは注意が必要です。薬やサプリメントの投与が必要な場合がありますので、獣医師に相談しましょう。

まとめ

猫は普段からさまざまな鳴き方をしますが、昼夜を問わず大きな声で鳴き続けていれば、うるさく感じてしまい、飼い主の悩みの種になりがちです。

たかが鳴き声と思わず、鳴き声が大きく、いつもと違う場合は、猫の行動や体に異常がないかをしっかり確かめましょう。原因がわからない、あるいは病気が疑われる場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。

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そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

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