猫の夜鳴きの原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説
最終更新日:2024年09月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
猫が夜鳴きをする原因は、子猫、成猫、老猫それぞれの時期によって異なります。また、一過性の場合もあれば、何らかの病気のサインの可能性も否定できません。猫が夜鳴きをする原因と対処方法、動物病院を受診するタイミングを獣医師が詳しく解説します。
気になる症状があれば、すぐ獣医師に相談しましょう。
猫が夜鳴きをする原因とは?
―猫が夜になると鳴くのは、どのような理由があるのですか。
猫が夜に鳴く理由は、年齢や性差などさまざまです。
項目別に説明します。
年齢別
子猫は空腹や寂しさから夜鳴をする
生後1か月未満の離乳していない子猫は、お腹が空いたり寂しくなったりすると、母猫や飼い主さんを探して夜鳴きをする場合があります。特に、母猫と別れた直後や里子として引き取られてすぐの時期は、夜に限らず鳴き続ける場合もあるでしょう。
成猫は環境ストレスが原因で夜鳴きをする
飼育環境に不満があると、猫はストレスから夜鳴きをする場合もあります。例えば、トイレがきれいに清掃されていなかったり、食事の量が不足していたりなどが挙げられます。ほかにも、新しい猫を迎え入れたばかりのときは、先住猫がストレスを感じて夜鳴きをする場合があります。
老猫は認知症が原因で夜鳴きをする
認知症を発症した老猫は、人間同様、夜に徘徊(はいかい)行動をするほかにも、夜鳴きをする場合があります。
性差
オス猫
去勢をしていないオス猫は、メス猫のフェロモンを感じ取ると外に出たがり、発情行動を取るようになります。そして、行動がより活発化する夕方から明け方にかけて頻繁に鳴きます。いつもより「アオーン」と大きく野太い声になるのも特徴です。
メス猫
避妊手術をしていないメス猫は、気温の上がる春先から秋ごろにかけて発情期を迎えます。発情期中はオス猫を呼ぶために、うるさいくらいに大きな声で鳴きます。メス猫もオス猫同様、行動が活発化する夕方から明け方にかけてよく鳴くため、夜に鳴くと感じるかもしれません。
猫が夜鳴きをする原因として考えられる病気とは?
―猫が夜になると鳴く原因としてどのような病気が考えられますか?
病気が原因で夜鳴きをする場合、以下の病気が挙げられます。
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
甲状腺は、首の辺りの頸部(けいぶ)気管の脇に左右一対で存在します。甲状腺機能亢進症は、片側、または両側の甲状腺組織が過形成(大きくなること)や腫瘍化し、甲状腺ホルモンの過剰分泌が起こる病気です。
主な症状として、猫の行動が非常に活発になり、落ち着きがなくなります。また、夜鳴きをしたり、食欲はあるのに痩せてきたり、毛艶が悪くなったりします。猫に下痢や嘔吐(おうと)など消化器症状も見られる場合は、甲状腺機能亢進症が原因で夜鳴きをしている可能性を疑いましょう。
認知症
猫に認知症が現れることは少ないと言われていますが、18歳以上の老猫が認知症を発症すると、次のような症状が見られます。
- 夜の徘徊、日中に寝ているなど、行動が昼夜逆転する
- 飼い主を認識できない
- 小さな段差でつまずいたり、家の中で迷ったりする
- トイレの失敗(粗相)が増え、排便や排尿のコントロールができていない
- 異常な食欲が見られたり、よく鳴いたりする
これらの症状に加え、夜鳴きも猫の認知症の症状のひとつとして挙げられます。
猫が夜鳴くようになった。このような症状が見られたらすぐに病院へ
心配のいらない場合
―猫が夜鳴きをするようになっても病的なものではなく、一時的なものとして、家庭内で対処できる場合はありますか?
夜鳴きの原因別に対処方法を説明します。
子猫
子猫が寂しさから鳴く場合は、周りを少し明るくしてあげたり、飼い主さんの匂いが付いた衣類やタオルを寝床に一緒に入れてあげたりすると治まる場合があります。かわいそうだからと構いがちですが、鳴けば構ってもらえると子猫が勘違いをして、さらに夜泣きが続く場合もあります。子猫が諦めて自然に落ち着くまで、構わないことが大切です。
成猫
成猫の発情による夜鳴きは、避妊・去勢手術で解消できます。環境ストレスが原因の場合は、トイレの清掃をこまめにしたり、食事の量や回数を増やしたり、ペットフードの種類を変えたりすると夜鳴きが改善することがあります。
また、新しく猫を迎え入れたことで、先住猫が夜鳴きをする場合は、落ち着くまで部屋を分けてください。
老猫
認知症を原因とする夜鳴きも、欲求が満たされないストレスが引き金になっている場合が多く、生活環境を整え、猫のストレスをできるだけ減らすことが大切です。例えば、粗相をしてお尻が汚れていたら、洗ってきれいにしてあげると、老猫は鳴き止む場合があります。
受診を強く勧める場合
―受診すべき認知症の見分け方、併発するそのほかの症状を教えてください。
認知症の症状が夜鳴きだけであれば、様子を見ても問題ありません。しかし、以下の症状も併発していいる場合は要注意です。
- 食欲低下
- 多飲多尿(異常に水を多く飲み、尿量が増えている状態)
- 嘔吐や下痢
これらの症状が猫に見られると、腎臓病を患っている可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。腎臓病を放置すると、腎機能が低下して腎不全に陥り、死に至る危険性もあります。
「PS保険」では、24時間365日、獣医師による無料※電話相談サービス「獣医師ダイヤル」を提供しております。病院へ足を運ぶまでの応急処置を含む医療相談から、素朴な疑問まで幅広く応対してくれるので、もしものときも安心です。
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※Anicli24(アニクリ24)は獣医師による電話医療相談サービスを提供する動物病院です。
猫の甲状腺機能亢進症と認知症の対処法
甲状腺機能亢進症
まずは動物病院で症状を正確に診断してもらいましょう。診断は血液検査でほぼ可能なため、難しい検査を必要としません。
甲状腺機能亢進症の治療は、過剰となった甲状腺ホルモンの分泌を抑えるための内服薬投与と、食事管理による内科治療が主流です。投薬の場合、猫に薬の生涯投与が必要になります。そのほかには、腫れて大きくなった甲状腺を摘出する外科治療もあります。検査結果や飼い主さんの希望によって、治療方法は変わるでしょう。
認知症
認知症が原因で猫が夜鳴きをしていると診断された場合は、鳴く要因と考えられる猫の欲求をできるだけ改善してあげましょう。認知症を完治させる治療薬はありませんが、症状を緩和させる薬剤やサプリメントがありますので、動物病院で相談するといいでしょう。うるさいからといって猫を怒鳴ったり、たたいたりすることは絶対にしないでください。
まとめ
猫が夜鳴きをする原因は、年齢や性別、病気などにさまざまで、それによって対処も変わってきます。まずは猫の様子をよく観察してください。一過性のものなのか、環境に不満がないか、ほかに併発する症状がないかなど、夜鳴きの原因を見極めましょう。判断がつかない場合や病気が疑われる場合は、動物病院を受診して獣医師に診断してもらうことをおすすめします。
そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。
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猫種別の保険料
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あ行に属する猫の種類
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- アラビアンマウ
- アルパインリンクス
- イジアン
- ウラルレックス
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- エキゾチックショートヘア
- エジプシャン・マウ
- オイイーボブ
- オーストラリアンミスト
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- オリエンタル
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- テネシーレックス
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。