猫がアイスを食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

最終更新日:2024年07月17日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

猫にアイスを与えてはいけません。チョコレートやカフェインを含むアイスを食べた場合は、中毒症状を引き起こします。そのほか、下痢や嘔吐などの消化器症状が現れる場合もあり、注意が必要です。

ここでは猫がアイスを食べたときの症状と応急処置について、獣医師が詳しく解説します。

猫がアイスを食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

猫がアイスを食べると引き起こされる症状

―猫がアイスを食べると、どのような症状が現れるのですか?

ブレインフリーズ

人間はアイスやかき氷などの冷たいものを食べると、頭がキーンと痛くなる「ブレインフリーズ」が起こる場合があります。猫もアイスを食べると、ブレインフリーズに近い症状が起こり、白目をむいたり、うなり声をあげたりします。

こうした症状は、基本的に一過性のものですが、決して好ましい症状ではありません。猫にアイスを与えて、故意にブレインフリーズを引き起こすのはやめましょう。

中毒

アイスには、猫に中毒を引き起こすチョコレートやカフェインが含まれている場合があります。

チョコレートに含まれるテオブロミンという物質が、猫に中毒を引き起こす原因です。人間にとっては健康を害するほどの量ではありませんが、猫にとっては害になる可能性があります。

チョコレート中毒になると、興奮やけいれんなどの神経症状、下痢や嘔吐(おうと)、食欲低下、元気消失などが現れます。

また、カフェインは中枢興奮作用や強心作用があり、猫が過剰に摂取すると、興奮や不整脈など、急性カフェイン中毒が生じるおそれがあります。

猫にとってチョコレート中毒やカフェイン中毒は、いずれも放置すると危険です。これらの中毒症状が見られた場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。

猫がアイスを食べたかも!? このような症状が見られたらすぐ病院へ

食物アレルギー

アイスには、ナッツや乳成分など、食物アレルギーを引き起こす物質が含まれている場合があります。皮膚のかゆみや赤み、脱毛、外耳炎などが症状として現れます。アイスを猫に与えないことが最も有効な対策です。

下痢や嘔吐

猫が冷たいアイスを食べると、それに含まれる乳成分やアレルギー物質によって、また、胃腸が冷やされて、下痢や嘔吐を生じる場合があります。

カロリー過多による肥満

アイスには、糖分や脂肪分が多く含まれています。そのため、アイスを食べすぎると、カロリー過多で肥満になる可能性があります。肥満は、糖尿病や関節炎など、さまざまな病気の誘因となる健康リスクの高い症状です。

猫は、基本的にキャットフードだけで十分なカロリーや栄養素が摂取できます。猫の健康のためには、アイスを与えないほうがいいでしょう。

猫がアイスを食べたかも!? このような症状が見られたらすぐ病院へ

  • 興奮
  • けいれん
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲低下
  • 元気消失
  • 皮膚のかゆみ
  • 脱毛
  • 外耳炎

猫がアイスをどのくらい食べると危険なのか

猫がアイスをどのくらい食べると危険なのか

猫がアイスをなめた、少量を食べてしまったらどうなるの?

―猫がアイスをなめたり、少量を食べてしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?

ほんの少量をなめた程度なら、自宅で様子を見てもいいでしょう。その場合は、上記に挙げた症状が出ていないかをよく観察してください。気になる症状が現れた場合や、猫がアイスを多量に食べた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

猫がアイスを欲しがるときはどう対処すればいいのか?

猫がアイスを欲しがるときはどう対処すればいいのか?

―アイスを食べていると猫が興味を示します。どうしたらいいのでしょうか?

どんなに猫にねだられても、絶対にアイスを与えないでください。中毒を起こすと、猫の命にかかわる場合があります。また、猫の誤食を防ぐために、アイスの食べ残しはすぐに片付けましょう。

―猫用アイスが市販されているそうですが?

市販の猫用アイスは、猫に有害な物質を除いたものですので、猫に与えても問題ありません。また、自宅でペースト状のキャットフードを凍らせて、手作りアイスができます。しかし、成分の面では問題がなくても、ブレインフリーズが起こる可能性はありますので注意してください。

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猫が人間用のアイスを食べてしまったときの応急処置

家庭内ですべき応急処置や対処法

―猫が人間用のアイスを食べてしまった場合、自宅でできる応急処置を教えてください。

残念ながら、自宅でできる応急処置はありません。すぐに動物病院を受診してください。受診する際には、いつ、何を、どれくらい食べてしまったのかをメモしておき、正確に獣医師に伝えることで、スムーズに治療が進むでしょう。また、猫が嘔吐や下痢をしている場合には、出たものをビニール袋に入れて持っていったり、写真を撮ったりして獣医師に見せるのも有効です。

病院での対処法

―病院ではどのような処置をするのですか?

猫がアイスを多量に食べてしまった場合、嘔吐を促す薬を投与することがあります。また、下痢や嘔吐がひどく、脱水症状を起こしている場合、点滴によって水分を補給します。

まとめ「猫に人間用のアイスを食べさせてはいけない」

猫に人間用のアイスを与えるのは控えましょう。ブレインフリーズや中毒、アレルギー、下痢・嘔吐などを引き起こす危険性があります。猫が誤ってアイスを食べた後に普段と違う様子が現れた場合、動物病院を受診しましょう。また、どうしても猫にアイスを与えたい場合には、市販の猫用アイスを選びましょう。

愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べてはいけない危険な食べ物」「猫が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

関連リンク

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