猫が人間用の鰹節を食べ続けると発症する病気を獣医が解説
最終更新日:2024年07月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
猫は鰹(かつお)節が好きなイメージがありますが、人間用の鰹節を与えるのはおすすめできません。ここでは、猫が人間用の鰹節を食べ続けると発症する病気について、獣医師が詳しく解説します。
猫が鰹節を食べても大丈夫
鰹節には、猫にとって直接的に有害な成分は含まれていません。また、鰹節は栄養価が高く、ご飯にふりかけると猫の食欲を増進できるメリットがあります。しかし、一方で、「人間用の鰹節」を猫に与える場合、いくつかの注意点があります。
猫が人間用の鰹節を食べ続けると引き起こされる病気
鰹節にはミネラルが豊富に含まれていて、人間の健康に問題となる量ではありません。しかし、猫にとっては、そのミネラル量が過剰で健康に悪影響を与えてしまう危険性があり、尿石症や腎臓病を引き起こすおそれがあるのです。
鰹節のミネラルが猫に尿路結石を引き起こす
食物に含まれるミネラルのバランスと量が、猫の尿中のミネラル濃度に大きく影響を与えてしまうのです。不均衡が生じると、尿石形成の原因になり、尿路結石を生じるおそれがあります。特に猫で生じやすいのが、「ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石」であり、マグネシウムの過剰摂取によってリスクが高まります。
鰹節はマグネシウムを多量に含んでいるため、猫にとっては注意が必要が食べ物です。結石が腎臓内で形成されると尿路を通過し、腎臓や尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道にたまります。その結果、猫に腎炎や尿管閉塞、尿路閉塞などの病気を引き起こす危険性があります。これによって、以下に挙げるような排尿障害が見られます
- 血尿
- 頻尿
- 排尿時の痛み(尿淋瀝(にょうりんれき))によって鳴く
- 頻繁にトイレに行き、排尿姿勢をとる
- 排尿量が少ない
過剰なミネラルは猫の腎臓に負担を与える
猫は、過剰なミネラルを長期にわたり摂取し続けると、慢性腎臓病を患ってしまう危険性があります。慢性腎臓病は数か月から数年にわたって徐々に進行し、基本的には治ることのない病気です。最終的に末期腎不全や尿毒症に移行していきます。
初期の慢性腎臓病は、多くの場合、猫に明確な症状は見られません。しかし、進行するにしたがって、多尿、体重減少、脱水、貧血などの症状を示すようになります。さらに悪化すると乏尿~無尿、循環障害、消化管潰瘍、神経症状などの重篤な症状が猫に見られるようになります。
猫が人間用の鰹節を食べ続けて、こんな症状が見られたら病院へ
尿石症
- 尿が出ない
- 頻尿
- 血尿
- 頻繁にトイレに行き、排尿姿勢をとる
猫におしっこが出なくなって治療せず放置すると、尿毒症を引き起こしてしまい、命にかかわる危険性があります。すぐに動物病院を受診しましょう。大きな結石ができると、外科手術によって摘出の必要もあります。小さい尿石であれば、猫に専用のフードを与えると数か月間のうちに溶ける可能性があります。いずれにせよ、動物病院で治療をしなくてはいけません。
慢性腎臓病
- 多尿
- 体重減少
- 脱水
- 貧血
- 乏尿~無尿(おしっこの量がごくわずかになる、まったく出なくなる)
- 沈鬱(ちんうつ:気分が落ち込んでふさぎこんでいること)
- 痙攣(けいれん)
- 意識障害
慢性腎臓病の場合、猫に多尿や脱水などの初期症状が出た段階で早めに動物病院で治療を開始し、病気の進行を食い止めることが重要です。状況によっては点滴のために毎日通院しなければならない場合もあります。少しでもおかしいと感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
猫が鰹節をどのくらい食べると危険なのか
猫に与える鰹節の量が、フードの上に少しだけふりかける、香り付けをする程度のなら問題ないでしょう。食欲があまりない猫なら、これにより食欲増進の効果が期待できます。
また、猫用の鰹節でミネラルが調節されているものでしたら、猫に与えても問題はありません。しかし、その場合もミネラルが含まれていますので、少量にとどめておきましょう。鰹節から出汁(だし)を取っただしがらは、まだミネラル分が含まれています。こちらは猫になるべく与えないほうがいいでしょう。
猫に鰹節を与えるときの注意点
猫にとって栄養面では、基本的に通常のキャットフードで十分であり、それに鰹節を加える必要はないのです。香り付けのために少量の鰹節をフードにかけると、猫の食いつきがよくなるかもしれません。しかし、猫が鰹節だけ食べて、ほかのものを残してしまうのでは本末転倒です。
また、飼い主としては、鰹節が愛猫の大好物だからと、つい甘やかして習慣的に与えたくなるかもしれません。しかし、愛猫の健康面を考えると、与える鰹節の量はごく少量にとどめ、偏食にならないように注意してください。
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まとめ
猫は鰹節が好きというイメージが昔からあるかもしれません。栄養の観点から考えると、キャットフードによって猫には十分な栄養が取れており、これに鰹節を添加する必要性はありません。猫の食欲がないから何とかしたいのであれば、鰹節は香り付け程度にしましょう。また、できるだけ猫用の鰹節を選ぶようにしてください。
人間用の鰹節の与えすぎは猫に尿石症や慢性腎臓病などの病気を引き起こしてしまいます。また、いずれの病気も放置してしまうと悪化して命にかかわる危険性もあります。上記で示した症状が現れたら、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
愛猫に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「猫が食べてはいけない危険な食べ物」「猫が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。
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