猫のうんちが出ないのは単なる便秘?放っておくと巨大結腸症に!?

猫の便秘の原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、予防や対処法、飼い主さんが心がけたいことなどを獣医師さんに伺ってみました。

猫も人も便秘はつらいものです。人間の場合は、便秘薬の服用、食事の見直しや水分補給、運動をするなど意識的に排便を促すことができますが、猫の場合、そう簡単にはいきません。

そこで、大切なのがご家庭での飼い主さんによるケアです。日ごろから猫の排便を観察し、便秘となり得る食生活の改善やストレスの軽減に努めましょう。また、気になることがあれば早めに動物病院を受診することが大切です。

猫はあまり水を飲まないので便秘になりやすい動物

猫の保険について

目次

猫が2日以上うんちをしなければ便秘を疑う

―うちの猫が最近元気がなく、うんちが出にくいみたいなのですが、大丈夫でしょうか?

触診してみるとお腹が張っているようなので、便秘かもしれませんね。うんちはどの程度の頻度で出ていますか?

―だいたい2日に一回ほどです。出てもウサギみたいなコロコロした硬いうんちです。

便秘の症状が出ていますね。猫はあまり水を飲まないので、うんちが硬くなりやすく便秘になりやすい動物なんです。原因を調べてみましょう。最近ペットフードを変えたりしましたか?

―変えていません。ずっと同じカリカリのペットフードを与えています。

ペットフードを変えたときに新しいフードが合わなくて便秘になることもありますが、今回は違うようですね。ですが、ドライタイプのペットフードよりもウェットタイプのペットフードの方が、食事の時に得られる水分摂取量が増えるので、便秘の改善が期待できます。一時的にウェットタイプの餌も与えてみてください。

便秘の原因はさまざま

引っ越しといった急激な生活の変化はありましたか? そうしたことから猫がストレスを感じて便秘になる場合もあります。

―特に思い当たりません。何か怖い病気が原因なのではないかと思って心配です。

腸や肛門の炎症などの理由で排便時に痛みがある

便秘の症状が出る病気はいくつかあります。腸や肛門の炎症などの理由で排便時に痛みがある場合、猫が排便を嫌がることで糞便の水分が腸に吸収されて硬くなってしまい、便秘になることがあります。

異物誤飲や腫瘍で腸管内が狭くなっている

誤飲した異物や腫瘍によって腸管内が狭窄している(狭くなっている)場合も、糞便の通りが悪くなって便秘を引き起こします。腸重積を起こしている場合も同様です。これらの場合、レントゲン検査や超音波検査で発見できることがありますので検査してみましょう。

便秘の原因である異物誤飲はレントゲン検査や超音波検査で発見

―気付かないうちに猫が変な物を飲み込んでしまっているのかもしれませんね。ほかに猫の便秘の原因になるものはありますか?

神経障害疾患の場合

椎間板ヘルニアを始めとする神経障害疾患で便秘の症状が出ることがあります。猫に神経学的な検査を行って、何か異常が認められるようでしたら疑ってみてもいいと思います。最終的な判断にはMRIやCT検査が必要となります。

猫の便秘の治療は原因を突き止めることから

―これらの病気だった場合、どのような治療が必要になりますか?

便秘の改善のために重要なのは原因を見つけることです。先ほど言ったような病気が原因で便秘になっているのであれば、まずは原因となっている病気を治療します。すべての便秘で原因が究明できるわけではありませんが、いろいろ検査してみて判断することが大事です。

炎症由来の痛みがある場合は、炎症の原因を治療すると共に消炎鎮痛剤を投与します。誤飲や腫瘍が原因の場合は外科的に取り除きます。腸重積では緊急手術が必要になる場合もあります。神経障害疾患の場合は病因を取り除くことが必要です。

便秘が続くことで怖いのが巨大結腸症

―便秘が続くことで何か怖い病気になることはありませんか?

猫で怖いのは、便秘が続くことで発症する巨大結腸症です。巨大結腸症は何らかの理由で結腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:うんちを外に運ぶための腸の動き)が鈍ってしまい、糞便が結腸に滞留した結果、結腸が伸びて拡張してしまう病気です。

結腸に長期間滞留した糞便は、どんどん水分が吸収されて石のように硬くなってしまいます。こうなってしまうと外科的手術によって取り除くしかありません。また、拡張してしまった結腸は、本来の機能を失ってしまうので外科的手術により摘出しなければならない場合があります。

―巨大結腸症の検査は、内視鏡を使うような大掛かりなものですか?

巨大結腸症は、レントゲン検査で巨大化した結腸が認められれば巨大結腸症と診断できます。レントゲン検査時には、動かないように鎮静をかける必要がある場合がありますが、それほど時間のかかる検査ではありません。

キー・ガスケル症候群では原因不明の便秘や嘔吐

―原因不明の猫の便秘ってありますか?

原因不明の便秘になりえる猫の病気としては、キー・ガスケル症候群と呼ばれる原因不明の自律神経失調症が知られています。キー・ガスケル症候群では、多くの場合、便秘のほかに嘔吐や唾液・涙液の分泌減少、散眼や瞬膜の露出が認められます。これらの症状が見られ検査の結果によってほかの疾患が見つからなければ、キー・ガスケル症候群を疑います。

残念ながら、キー・ガスケル症候群は、原因がわかっておらず治療法が確立されていません。そのため、対処療法により症状を抑えることを目的に治療します。

猫の便秘を予防するには?

―便秘の改善のために何か家でできることはありますか?

水分を十分に摂取することが重要ですので、猫が水を飲みやすいように、飲み水は一日3回以上変えて、猫がきれいな水をいつでも飲めるように心がけてください。

また、猫は、きれい好きなのでトイレが汚れていると、トイレに行きたがらなくなります。ですから、こまめにトイレを掃除することも重要です。

猫の便秘の予防・改善には、きれいな水や食物繊維のほか運動が効果的

―猫の食生活で気を付けることはありますか? 人間の場合は便秘にならないように食物繊維を多く摂るようにしますが、猫には、猫草を用意すればいいのでしょうか。

食物繊維、特に難溶性(水に溶けない)食物繊維は腸管の蠕動運動を促進するので、便秘の改善に効果があります。しかし、その一方で取り過ぎは便を硬くしてしまうので注意が必要です。猫草は猫が毛玉を吐き出しやすくなる効果があります。吐き出されなかった毛玉は、便秘の原因になり得ますので便秘の改善も期待できます。

―環境面で配慮すべき点などありますか?

猫にとってストレスも便秘の原因になります。ストレスがたまらないように、おもちゃやキャットタワーなどを用意して猫に運動させて、ストレスの軽減ができるようにしてあげてください。肥満も便秘の原因になるので運動は効果的です。

猫の便秘の治療方法

―人間の場合は便秘になると、下剤、浣腸、整腸剤を使うことがありますが、猫の便秘はどんな治療を行うのですか?

うんちがどの程度出ているのかによりますが、うんちをやわらかくする薬を処方して排便を促します。便秘がひどい場合は、下剤を使用したり麻酔や鎮静をかけて摘便(肛門から便をかき出す処置)を行う場合もあります。

治療中の飼い主さんが注意したいこと

―治療中に何か気を付けることはありますか?

治療中はトイレの回数を記録し、便秘の改善が見られているかを調べてください。また、便秘は再発しやすいので自分の勝手な判断で治療を中断せずに、獣医師の指示に従うことが重要です。

うんちが出ないのは猫にとってもストレスになりますし、体調にも悪影響を与えてしまいます。放っておくと、先ほど述べた巨大結腸症のような手術の必要になる病気に進行してしまう場合もありますので、治るまではお薬と通院を忘れないようにしてください。

猫のトイレの回数を記録し、便秘の改善を調べる

―受診の目安として何日くらい猫がうんちをしないようなら、病院に連れてきたらいいですか?

2日連続でうんちが出ていないようなら病院に連れてきてください。治ったように思えても再発することがありますので、何か気になることがあれば獣医師に相談してください。

猫のお腹の病気については、「猫の疾患 消化器系の病気」をご覧ください。

また、そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

猫の保険について

ペット保険の契約対象となる猫種・品種について

当社のペット保険は、猫種による保険料の違いがありません。

また、「ペット保険取扱の猫種分類表」に契約実績のある猫種をまとめていますが、未記載の猫種であっても保険料は同じです。