猫が痩せる原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説
最終更新日:2024年09月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
猫が痩せてしまう原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、痩せてきたときの対処法を獣医師さんに伺ってみました。
少し様子を見ようと思っているうちに、病状が悪化し、重篤な事態に陥ってしまうかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。
猫が痩せる原因とは?
―猫が痩せてしまう原因として、どんなことが考えられますか?
痩せるメカニズム
猫も食事として栄養分を口から摂取し、消化管内で消化・吸収しています。吸収された栄養分は体の成長・体重維持の原料として、また、活動するためのエネルギー源として消費されます。
健康な成猫では、この摂取と消費のバランスが取れていれば、体重はほぼ一定です。しかし、摂取量が少なすぎる、消化吸収がうまく働いていない、消費量が多すぎるなどでバランスが崩れると痩せてしまいます。
次に健康なのに痩せてくる代表的な原因を記載します。
キャットフードが合わない
- 量が合っていない
フードの量が少なく、体に必要な栄養素やカロリーの摂取が不十分だと痩せてきます。
- 種類や質が合わない
成長や加齢に伴って、体の求める栄養バランスやカロリー量が変化するだけでなく、愛猫の消化吸収能力も変わります。そのため、年齢や体調に合わないフードを食べさせ続けると、肥満になったり、逆に栄養不良や消化不良を起こしたりして痩せることがあります。
運動量の増加
活発に運動すれば、その分エネルギーが消費されます。また、活発な猫ほど筋肉量が豊富なので、基礎代謝量や必要なカロリー量が増加します。日々の運動量や基礎代謝量に見合ったカロリー量が摂取できないと、徐々に痩せてしまうのです。
ストレスによる食欲不振
突然の環境変化や身体変化によるストレス、慢性的で不快なストレスがあると、普段より消費カロリーが増え、爆食する場合があります。しかし、ストレスが胃腸の動きに影響すると、吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振などを招き、痩せてしまいます。
高齢化に伴う生理的な変化
加齢に伴う生理的な変化として、徐々に活動性が低下し、筋肉量が減少します。また、体内の水分量も加齢とともに徐々に減少し、結果として高齢になるほど、若いころに比べて体重が減り、痩せる傾向にあります。
そのほか
発情期を迎えたオス猫は、発情によってエネルギーを消耗するにもかかわらず、食欲が落ちたり吐いたりと、体調を崩して痩せてしまうことがあります。これだけが原因であれば、発情期が終わると体重は自然に回復します。
猫が痩せる原因として考えられる病気
―猫が痩せてしまう原因としてどんな病気が考えられますか?
体重に影響する病気はいろいろありますが、「食欲があり食べているのに痩せる病気」と「食欲も元気もなくて痩せる病気」のふたつのケースがあります。ここでは、それぞれ代表的な病気を紹介します。
食欲はあるのに痩せる場合
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、中~高年齢の猫で多く発症します。全身の代謝が活性化しすぎるため、普通かそれ以上に食べるのに痩せてきます。一見、羨ましく思えますが、心臓を始め全身にかなりの負担がかかり、性格変化なども引き起こす怖い病気です。
糖尿病
膵臓(ひぞう)から分泌されるインスリンの不足、または、体がインスリンをうまく利用できない状態になる病気です。そのため、エネルギー源となる糖分を細胞内に取り込めず、血糖値が上昇し、さまざまな代謝異常が生じます。初期は多食、多飲多尿といった症状が目立ちます。
消化管内の寄生虫感染
回虫や条虫など消化管の寄生虫感染では、寄生虫に栄養を横取りされてしまうため、食べても痩せることがあります。下痢や嘔吐が一般的な症状ですが、便の量が多い、便臭が強い、毛艶が悪いといった症状だけのケースも見られます。
食欲も元気もなくて痩せる場合
口腔疾患
口内炎や歯周病、顎の骨折など口に異常があると、食べたいのに食べられず、痩せてしまうことがあります。
呼吸器疾患
猫は嗅覚が低下すると食欲が激減することがあります。鼻炎を起こすような感染症、異物、腫瘍、歯周病からの口鼻瘻(こうびろう)などを患っている場合には、食欲・元気ともに低下し痩せてしまいます。
消化器疾患
食道や胃腸だけでなく、膵臓、肝臓といった消化器官に炎症や何らかの疾患があると、摂取した栄養分をうまく消化・吸収・代謝できなくなり、痩せてきます。病気によっては痩せてくる前に、突然の食欲不振、元気消失が見られることもあります。
腎臓疾患
腎臓がダメージを受けると、その病態によっては本来なら体に必要なたんぱく質や水分が尿と一緒に体外に排出されてしまい、痩せてきます。また、体内の老廃物を尿から排泄できなくなり、尿毒症を発症すると、食欲不振、嘔吐、元気消失が見られ、体重が減少してきます。
そのほか
心筋症や腫瘍疾患など、初期は無症状の場合もありますが、病気が進行して悪液質を招くと、食欲不振となり急激に痩せてきます。
猫が痩せてきて、こんな症状ならすぐ病院へ
心配のいらないケース
―愛猫が痩せてきても心配のいらない、様子を見てもいい場合について教えてください。
計画的なダイエット中、発情中など原因がわかっている場合は、しばらく様子を見てもかまいません。
運動量の増加が原因であれば、体重の推移を見ながらフードの量や質を見直してみましょう。
受診を強く勧めるケース
―受診すべきタイミング、併発するそのほかの症状を教えてください。
健康な猫の体重は多少の増減はあるものの、一定の範囲に保たれます。そのため、最近痩せてきているかな?と思ったときは、様子を見たりせず受診しましょう。
特に高齢猫の場合、複数の要因が重なって痩せることがあり、「もう年だから」と様子を見ていると手遅れになることもあるため、注意が必要です。
体重が1週間で2%以上、あるいは1か月で4~5%以上も減少してしまうなど、短期間での激痩せ、もしくは、次の症状がある場合は、早急に受診することを強くお勧めします。
- 嘔吐や下痢があり食欲も減っている
脱水や低血糖を発症している可能性があります。
- 食欲も元気もない
肥満傾向の猫は肝リピドーシスを併発する可能性があり、要注意です。
- 水を飲む量が増えてきている
- おしっこの量が増えてきている
- おしっこの量が極端に少ない
体重1kgあたり50ml以上飲む場合、多飲と言われる状態です。
多飲多尿は慢性腎臓病や糖尿病などの可能性があります。
尿路閉塞や急性腎疾患の可能性があります。
猫が痩せてきた場合の対処法
―愛猫が痩せてきたら、どのように対処すればいいですか?
あらかじめ、愛猫の日々の体調を管理し記録しておくと、体重の変化はもちろん、体調の変化にも気付くことができます。
体調管理のポイントを紹介します。
- 1~2週間に1回、体重を計測
決まったタイミング(食後、排泄後など)で計測しましょう。
※食事や排泄後では数十gほど体重が変わります。 - 日々の食事量や飲水量を記録
メモリが付いた食器が便利です。
- 日々の排尿量や便の状態を記録
猫砂の塊の大きさやシートの重さ変化などで、大まかにチェックしましょう。
フードの見直しや食べやすさの工夫、思い当たるストレスがあればその対策をしていきましょう。
一般的に、猫は人肌程度に温めた香りのあるフードやウェットフードを少量頻回に食べることを好みます。とはいえ、中にはドライを好む猫もいるため、愛猫の好むフードや1回の量、食事の回数を探してみてください。食器を食べやすい高さに調節してあげることも効果的です。
痩せる原因がわからない場合は、動物病院で診てもらいましょう。その際、体調管理の記録を持参すると受診時に役立ちます。
まとめ
医食同源とあるように、人間同様、猫にとっても食事は健康維持にとても大切です。年齢や体調に合わせたフードを与えて下さい。フード選びに迷ったときやストレスで困ったときには獣医師さんに相談してみましょう。
そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。
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猫種別の保険料
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あ行に属する猫の種類
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- アメリカンキューダ
- アメリカンショートヘア
- アメリカンボブテイル
- アメリカンポリダクティル
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- アラビアンマウ
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- イジアン
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- エイジアン
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- エジプシャン・マウ
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か行に属する猫の種類
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。