猫の熱が高い、発熱する原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年03月21日

猫の体が何だか熱っぽい、熱がある原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

ちょっとした風邪かな、すぐ治るだろうと思っていたら、あっという間に病状が悪化し、取り返しのつかない事態になってしまうかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

猫の熱が高い、発熱する原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

猫の体温について

猫の平熱は?

―猫の平熱は何℃くらいですか? どのくらいを超えると熱が高い、発熱と見なすのですか?

人間の平熱は36.8℃くらいだといわれていますが、実際には35℃台から37℃台までと、かなり個体差があります。

一方、猫の平熱にも個体差はありますが、38℃台が一般的です。40℃を超えると熱が高い、発熱しているとみなします。

猫の発熱の見分け方

―人間の場合は額に手を当てて熱があるかを確認しますが、猫の場合はどのように発熱を判断するのでしょうか?

人間と同じように、猫の場合もつい額に手を当てて熱があるかを確認したくなるかもしれません。しかし、猫の額は毛で覆われているため、熱があるかどうかを判断するのは難しいでしょう。

猫の場合は全身から汗をかくことがなく、主に肉球から汗をかきます。また、耳から放熱をすることでも体温を調節しているため、猫の体温が上がると耳や肉球が熱くなります。

このことから、猫が発熱しているときは耳の付け根や肉球を触ることで、ある程度判断できます。日ごろから耳の付け根や肉球を触る癖をつけておくと、いざというときに発熱しているかどうかを判断しやすくなるでしょう。

猫の体温の測り方

―家庭での猫の熱の測り方を教えてください。

まずは体温計を用意しましょう。人間用の体温計でも熱を測ることはできますが、猫はお尻から熱を測ります。そのため、体温計の先がやわらかくなっているペット用の体温計を使用すると、猫が暴れてしまったときなどに肛門を傷つける心配がないのでおすすめです。

体温計を利き手に持ったら、逆の手でしっぽをつかみ、まっすぐ上に持ち上げます。肛門の位置が確認できたら、そのまま体温計の先をゆっくりと肛門に3cmくらい入れます。体温が測れていることを確認したら、しっぽをおろして計測を待ちましょう。

耳で測るタイプの体温計もありますが、計測にはちょっとしたコツが必要で、使い方に慣れていないと正確な体温が測定できないことがあります。ただ、耳で測るタイプのものは短時間で熱を測定できるメリットがあるため、日ごろから練習をしておくとよいでしょう。

猫の熱の原因として考えられる病気とは?

猫の熱の原因として考えられる病気とは?

―猫の発熱の原因としてどんな病気が考えられますか?

猫の発熱の原因としては、ウイルス感染症や異物誤飲、悪性腫瘍、熱中症など、さまざまな病気が考えられます。

ウイルス感染症

代表的な病気として、以下のようなもの挙げられます。

  • 猫カリシウイルス感染症(猫風邪)
  • 猫白血病ウイルス(FeLV)感染症
  • 猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症
  • 猫汎白血球減少症
  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫伝染性腹膜炎(FIP)

異物誤飲

チョコレートなどを食べて中毒を起こしたときや、竹串やつまようじなどの鋭利なものを誤飲して消化管に穴が開いてしまったときなどにも発熱することがあります。

悪性腫瘍

リンパ腫や乳腺腫瘍、肥満細胞腫などの悪性腫瘍ができると、発熱することがあります。

熱中症

猫は比較的暑さに強いため、犬と比較すると熱中症になることはあまり多くはありません。ただ、気温が高い日にぐったりして苦しそうにしている場合には熱中症が疑われます。

その他

病気ではありませんが、ワクチン接種後に発熱することがあります。ほとんどの場合は数日で平熱に戻りますが、数日経っても熱が下がらない、あるいは41℃以上の高熱が出ている場合などには治療が必要になることがあります。

猫が発熱すると見られるサインとは?

―私たち人間は、頭がボーっとしたり、体がだるくなったりして、熱っぽく感じますが、猫の場合はどんな症状、様子の変化が見られるのでしょうか?

猫も発熱すると、次のような症状が見られます。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 呼吸が荒くなる

猫の熱で、こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない猫の熱の症状

猫の熱で、こんな症状ならすぐ病院へ

―人間の場合は、多少熱があっても様子を見ることがありますが、猫の場合はどうでしょうか。

人間の場合、よほどの高熱が出たときや風邪以外の原因が考えられるときなどを除けば、「おそらく風邪だろう」と判断し、様子を見ることもあるかと思います。

しかし、猫はいわゆる人間のような風邪をひくことはありません。猫は言葉を話すことができないため、運動後などの一時的な発熱を除き、たとえ微熱であっても動物病院を受診することをおすすめします。

―猫の熱が自然治癒することはありますか?

運動後のように病気以外が原因で一時的に熱だけがある場合は、安静にしていれば体温は数時間で平熱まで下がります。

一方病気が原因の場合も、発熱の程度や原因などによっては自然治癒することがあります。しかし、異物誤飲や悪性腫瘍など、治療が遅れると命にかかわるような病気が原因である可能性もあるため、自然治癒を待とうと様子を見るのは危険です。

また、原因にかかわらず、自然治癒を待つよりも治療を受けたほうが早く熱が下がる可能性が高いといえます。そのため、熱がある場合はまずは動物病院を受診するようにしましょう。

受診を強く勧める猫の発熱の症状

―受診すべき発熱の見分け方、併発するそのほかの症状を教えてください。

猫に40℃以上の発熱が続いている場合は病気が原因である可能性が高いため、動物病院を受診するようにしましょう。

また、次に挙げるような症状が見られる場合は、治療が遅れると命にかかわることもあります。

  • 41℃以上の高熱がある
  • ぐったりしている
  • 激しい嘔吐や下痢をしている

あらかじめ動物病院に電話連絡を入れて応急処置の指示を仰ぎながら、すぐに受診するようにしましょう。

受診前にすべきこと

―受診前にどんな準備をしておけばいいですか?

いつごろから発熱しているのか、発熱以外の症状はあるのかなどをメモして持参すると、診察のときに情報を正確に伝えることができます。

また、嘔吐や下痢をしている場合は、ペットシーツにくるむなどして、吐しゃ物やうんちを持参するようにしてください。

猫の発熱の対処法

猫の発熱の対処法

―応急処置として熱の下げ方を教えてください。

猫に熱中症が疑われる場合には、一刻も早く熱を下げる必要があります。熱を下げる方法としては、タオルで巻いた保冷剤で脇の下や首を冷やしたり、濡れたタオルで体をくるんだりする方法が挙げられます。この応急処置をしたうえで動物病院に向かうといいでしょう。

そのほかの病気が原因の場合は、応急処置を行うよりも、一刻も早く原因となる病気の治療を開始する必要があります。

―ネットでは、水分補給のためポカリ(ポカリスエット)のようなスポーツドリンクを飲ませるという記事がありますが?

ポカリを始め、人間用のスポーツドリンクには点滴と同じような成分が含まれていますが、糖分も多く含まれています。また、人間と猫では体液のイオンバランスも異なります。

ただ、発熱していて下痢がひどい場合など、重度の脱水が疑われるときには猫に飲ませても大きな問題はありません。少し水で薄めたものを飲ませてあげましょう。

最近では猫用のスポーツドリンクも販売されています。人間用のものよりカロリーが低く、猫の体液のイオンバランスに近い成分が入っているため、いざというときのために常備しておくとより安心です。

まとめ

猫は神経質な性格をしていることもあり、日常的に体温を測るのはなかなか難しいかもしれません。そのため、いつもより元気や食欲がないときや、呼吸が苦しそうなときは発熱を疑い、耳の付け根や肉球を触って体温を確認し、いつもより熱いと感じたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。