猫の脱水症状の原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説
最終更新日:2024年07月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
猫が脱水を起こす原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。
脱水は猫の臓器に悪い影響を及ぼします。迅速かつ適切な処置を施さないと、命にかかわる事態に陥ってしまうかもしれません。猫が脱水症状を起こしたら、自宅でしばらく様子を見ようとせず、すぐに動物病院を受診してください。
- 猫の脱水症状の原因とは?
- 猫の脱水症状の見分け方
- 子猫やシニア期の猫は脱水症状に注意!
- 猫が脱水症状を起こしていて、こんなときは病院へ
- 猫が脱水症状を起こしているときの対処法
- 猫の脱水症状を防ぐ方法
- まとめ
猫の脱水症状の原因とは?
―猫が脱水症状を引き起こす原因としてどんなことが考えられますか?
以下のようなものが考えられます。
摂取水分の不足
猫は、飲水量の不足や食欲不振などにより、摂取水分が不足してしまうと脱水症状を起こしてしまう可能性があります。猫は脱水に対して我慢強いので、脱水が症状として現れにくい動物です。
熱中症
あまりにも暑い環境に長時間いると、熱中症を起こしてしまい、それにより脱水症状を起こす可能性があるのです。例えば、暑い日に車に長時間閉じ込めておいたり、クーラーをかけていない部屋で留守番させていたり、または、こたつの中やホットカーペットの上に長時間いたりすると、熱中症になってしまうケースがあります。
下痢や嘔吐
猫が下痢や嘔吐をしている場合、大量の水分と電解質を排出してしまうため、脱水症状を起こしてしまいます。下痢や嘔吐の原因として考えられるのは、感染症やストレス、そのほかの疾患などです。下痢や嘔吐では、水分以外に電解質も失われてしまうので、水分補給だけでなく、点滴や経口補水液などによる電解質の補給が必要です。
糖尿病
猫が糖尿病になってしまうと、持続的な血糖値の上昇がみられます。血糖値が上昇すると細胞内の水分が細胞外に移動してしまうため、細胞内脱水が引き起こされてしまいます。また、血糖値の上昇は尿量の増加にもつながります。このふたつの仕組みにより、猫は脱水症状を起こしてしまいます。猫は糖尿病になりやすい動物なので、注意してあげましょう。
腎臓病
急性腎不全や慢性腎臓病などの腎臓病になると、脱水症状を起こすことがあります。老猫になると慢性腎臓病に罹患(読み:りかん。意味:病気にかかること)する可能性が非常に高いため、注意が必要です。
慢性腎臓病は、基本的には完治することがなく、次第に悪化してしまいます。腎臓病は定期的な血液検査でわかる場合がありますので、早期発見、早期治療を心がけましょう。
肝疾患
肝疾患では食欲不振や下痢、嘔吐などの症状を示すことがあり、これらの症状により脱水症状を起こす可能性があります。
膵炎
膵炎では下痢や嘔吐などの症状を示すことがあり、これらの症状により脱水症状を起こす可能性があります。
猫の脱水症状の見分け方
猫の皮膚を摘まんで持ち上げる
―愛猫が脱水症状を引き起こしているかどうか見分ける方法を教えてください。
猫の脱水症状を調べる方法に「テントテスト」というものがあります。猫の首から背中あたりの皮膚を軽く摘まんでひねり、持ち上げてみてください。ひねっている手をパッと離したときに、皮膚がすぐに元の状態に戻れば脱水はしていませんが、元に戻るまでに時間がかかる場合は脱水を起こしている可能性があります。
この方法は非常に簡単ですので、定期的に実施してあげると病気の早期発見にも役立つかもしれません。やり方がよくわからない場合には、動物病院を受診した際に担当の獣医師にやり方を聞いておくといいでしょう。
子猫やシニア期の猫は脱水症状に注意!
―脱水症状になりやすい猫の年齢はありますか?
子猫や老猫は脱水症状を起こしやすいといえます。
子猫の場合
子猫は免疫力が未熟であるため、感染症にかかりやすく、それにより発熱や下痢、嘔吐などを起こしてしまう可能性があります。これらの症状により体から水分が失われると、脱水症状を引き起こしてしまうことがあります。
老猫の場合
老猫は慢性腎臓病に罹患する可能性が高く、これにより脱水症状を引き起こしてしまう可能性があります。慢性腎臓病になってしまうと、どんどん腎臓の機能が低下していくので、それを補うために多尿になり、それによって脱水症状を引き起こしてしまいます。上述したとおり、慢性腎臓病は基本的には完治しないので、定期的に通院し点滴をするなどの対応が必要です。
猫が脱水症状を起こしていて、こんなときは病院へ
―猫が脱水症状気味だけど、様子を見ていいときはありますか?
基本的には脱水が確認できた時点で、なるべく早く動物病院を受診したほうがいいでしょう。脱水はさまざまな病気のサインですし、症化してしまう危険性もありますので、受診を先延ばしにしすぎないようにしてください。
―すぐ病院に連れて行ったほうがいい場合を教えてください。
下記のような症状が見られている場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 元気がない
- 食欲がない
- 呼吸が荒い
- 歯ぐきの色が白っぽい
猫は脱水に対して我慢強い動物ですので、これらの症状が現れたときにはすでに重症の場合があります。これらの症状が見られている場合は命にかかわる場合もありますので、すぐに動物病院を受診してください。
猫が脱水症状を起こしているときの対処法
―猫が脱水症状になってしまったときの応急処置を教えてください。
まずは猫に水分をとらせることが重要です。水を十分に与えられていない場合にはすぐに与えてください。このとき、動物用の経口補水液などをあげるとより有効でしょう。また、猫が水をなかなか飲んでくれないときには、ご飯をお湯でふやかして与えることでも水分摂取が可能です。
病院では点滴によって水分補給できます。上記の方法で水分をとらせることができない場合はすぐに動物病院を受診しましょう。点滴による水分補給が毎日必要な場合、動物病院によっては点滴のセットを提供してもらい、自宅で点滴ができることがあります。毎日通院するとなると費用的にも時間的にも大変ですので、担当している獣医師に相談してみるといいでしょう。
猫の脱水症状を防ぐ方法
―猫が脱水症状にならないための対策はありますか?
猫が常に清潔な水を飲めるような環境を用意してあげましょう。給水環境の整備が不十分だと、猫は水を飲んでくれないことがあります。なかなか水を飲んでくれない場合にはフードをお湯でふやかして与えてみてください。
また、感染症によって脱水症状を起こしてしまうことがあります。感染症の中にはワクチンの定期接種で予防できるものもありますので、ワクチンの接種をお勧めします。
まとめ
脱水症状はさまざまな病気のサインであるだけでなく、重症化してしまうと命にかかわることがあります。日頃から水分を十分与え、脱水を起こしていないかをチェックしましょう。熱中症や下痢、嘔吐、糖尿病、腎臓病などは、脱水症状になりやすいので特に注意してください。
水分を与える際には、動物用の経口補水液を飲ませると効率的に水分を与えられます。また、子猫と老猫は特にリスクが高いので、より一層の注意が必要です。
もし、猫が脱水症状を起こしていたら、なるべく早く動物病院を受診し、点滴による脱水症状の改善や原因となっている疾患の特定などを行ってもらいましょう。
そのほか気になる猫の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「猫の症状」を併せてご覧ください。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
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