猫のリンパ腫

猫のリンパ腫ってどんな病気?

リンパ腫とは、リンパ球と呼ばれる免疫にかかわっている細胞が悪性腫瘍化(がん化)したものを言います。リンパ球は大きくB細胞とT細胞に分類され、リンパ腫は、その一方、または両方の性質をもっています。

リンパ腫は、猫で最も多くみられる腫瘍のひとつで、猫の腫瘍のうちの約1/3を占めると言われています (Takahashi et al, Jap J Vet Sci, 1974)。また、リンパ球は免疫に関わる細胞で全身に存在しています。そのため、リンパ腫も全身の臓器で発生する可能性があります。

発生した部位によって縦隔型(胸の中)、消化器型(お腹の中)、多中心型(全身)などに分類されます。また、病気の進行具合(主に転移の有無)によるステージや症状の有無によるサブステージによる分類を行い、期待される平均余命や治療に対する反応性をある程度ですが予測することができます。

猫のリンパ腫の症状と原因

どうして症状が出るの?原因は?

リンパ腫の症状は発生している部位によって症状が異なります。それは、リンパ腫によって発生した部位の正常な機能が阻害されるためです。

リンパ腫が縦隔型の場合は、呼吸困難や吐出が見られることが多くなり、消化器型の場合は、食欲減衰、嘔吐や下痢などが症状として認められます。鼻腔内にできた場合には、顔面の変形を伴う場合もあります。

以上のことから、治療せずに放っておくと、肝臓、脾臓、骨髄などさまざまな部位に転移してQOL(Quality of Life:生活の質)に著しい悪影響を与えることがあります。

どんな猫がリンパ腫にかかりやすいの?

人間と同様でリンパ腫は、がんの一種なので加齢に伴って発生のリスクが高まります。通常は10歳前後の猫で多く見られます。

このほか、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルス(いわゆる猫エイズ)に感染している場合、リンパ腫のリスクは高くなり、5歳ほどの若齢の猫でもリンパ腫の発生が見られます。

また、シャムネコは好発品種(リンパ腫に罹患しやすい品種)とされています。

猫のリンパ腫の特徴とチェック項目

初期のリンパ腫では、リンパ腫と特定できるような特徴的な症状はありません。ほかの病気の検査の時に偶然見つかることがしばしばあります。また、飼い主さんが猫にできた腫瘤(こぶ)を相談されて、検査してみるとリンパ腫であることもあります。

リンパ腫は発生した部位によって症状がさまざまなため、飼い猫に何か異常があると感じたら、どんなことでもいいので獣医さんに相談してみることをお勧めします。

猫のリンパ腫はどうやって診断されるの?

リンパ腫の診断にはニードルバイオプシー(針生研)を行い、細胞検査を実施します。これは、腫瘍の部位に注射針を刺して細胞を少量吸引し、顕微鏡下でどのような細胞が取れてきているかを検査するものです。検査は無麻酔下で行えますが、猫によっては鎮静や麻酔を施すことがあります。

この検査でほとんどの場合、リンパ腫の確定診断が行えますが、診断がつかなかった場合では、組織を一部採取して病理組織診断を行うこともあります。

また、病気の進行や期待される治療への反応性を確認するために、超音波検査やレントゲン検査による全身の検査や、血液診断やウイルス検査を行うこともあります。

猫のリンパ腫の治療にはどんな方法があるの?

猫のリンパ腫の治療には病気の進行度によりますが、抗がん剤を複数組み合わせて使用する多剤併用療法を行うことが一般的です。多剤併用療法の抗がん剤の組み合わせは、病気の進行度や猫の年齢によって変わることがあります。また、リンパ腫が発生している部位によってさまざまな症状が出ますので、それに対する対処療法を行います。

抗がん剤治療

主に行われている抗がん剤治療は、猫の年齢、猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルスの感染の有無、リンパ腫のステージや発生部位によって期待される反応性が変わってくることが知られています。

また、副作用として胃腸障害(嘔吐や下痢)、骨髄抑制(貧血や免疫抑制)、脱毛が見られることがありますが、重篤な副作用はまれで、入院が必要になるケースは10%以下とされています。副作用が見られた場合には、副作用を軽減するための対処療法を行います。

なお、抗がん剤治療は通院回数が多くなりがちでコストがかかりますし、副作用のコントロールに注意を払う必要がありますので、これらを踏まえて獣医さんとよく相談して治療方針を決定してください。

リンパ腫が孤立性であることが確認できている場合(リンパ腫ができているのが、ひとつから少数箇所である場合)には、外科的手術による切除も選択肢に入りますがまれです。

放射線療法

放射線療法もリンパ腫の治療成績が良いことが知られており選択肢に入りますが、特別な機材が必要になります。そのため、希望する場合には、獣医さんに相談して放射線療法を実施している動物病院への紹介状を書いてもらってください。

猫のリンパ腫は治せるの?

リンパ腫を含むがん治療においては、「完治」という言葉は現在使われません。代わりに「寛解(かんかい)」という言葉が使われます。寛解は、がん細胞が減少して症状が出なくなった状態を言います。

リンパ腫は、がんの中でも抗がん剤の反応性が良いことが知られています。ですが、残念なことに猫のリンパ腫は、犬のリンパ腫に比べると治療成績が芳しくありません。それでも過去のデータから、抗がん剤治療により約70%の猫で寛解(リンパ腫が小さくなり症状が出なくなった状態)したことが報告されていますし (Vali et al, J Vet Intern Med, 1998)、約50%の猫で完全寛解(リンパ腫が消失した状態)となったことが報告されています (Kojimoto et al, J. Vet. Med, 2017) 。

抗がん剤治療によってリンパ腫をコントロールすることができ、症状が出なくなった場合は、投薬と中断し経過観察を行う場合があります。しかし、リンパ腫が再発した場合は治療の再開を検討します。

どうやって予防したらいいの?

猫のリンパ腫の予防

猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスは、リンパ腫のリスクを増加させるだけでなく、治療の効果にも悪影響を及ぼすことがわかっています。これらのウイルスに対しては、ワクチンが利用できるのでワクチン接種が効果的です。

また、これらのウイルスは感染している猫と接触することで感染が広がっていきますので、外に出ている猫には一層の注意が必要です。

症状を緩和するにはどうしたらいいの?

抗がん剤治療はリンパ腫の症状を緩和する目的でも使用されます。症状の緩和によってQOLを維持することを主な目的とした抗がん剤治療の場合では、薬の用量を減らして副作用を出にくくすることが可能です。リンパ腫が治る・治らないにかかわらず、抗がん剤治療によって飼い猫が普段どおりの元気な姿を見せてくれることが期待できます。

QOLを高く保つことは、人の終末医療でも重視されるようになってきていますので、獣医さんに相談して、猫も含めた自分の家族にとって一番いい治療方針を探っていくことをお勧めします。

そのほか気になる猫のガン・腫瘍については、獣医師監修の「猫の疾患 ガン・腫瘍」をご覧ください。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。