猫ニキビ(挫創:ざそう)の症状と原因、治療法について

最終更新日:2024年07月09日

猫ニキビ(挫創:ざそう)ってどんな病気?

猫ニキビは挫創(ざそう)とも言われ、あごや唇の周りにできやすく、茶色や黒色のブツブツとした砂粒のようなものがたくさん付きます。症状が軽いときには痛みがなく猫自身も気にしませんが、症状が進むと赤くなり、腫れてきます。このように状態になると、猫が気にして擦り付けるため脱毛が起こったり、ジクジクとした状態になったりします。

猫のニキビの原因と症状

どうして症状が出るの?原因は?

猫ニキビの主な原因は、あごの下や口の周辺にある分泌腺に分泌物がたまってしまい、炎症を起こすことです。それ以外の原因としては、アレルギー、ストレス、感染、フードなどが考えられます。

感染

猫は、食事の後に口の周りをなめてきれいにしようとします。このときに、口の中の雑菌があごの下に付いてしまうのです。また、食器の傷には細菌やカビが繁殖しやすく、このような食器で猫がフードを食べていると、食事のたびに、あごが食器の雑菌に触れてしまい、感染しやすくなってしまいます。

アレルギー

猫が食事をとるときに、食器に触れやすい口の周りにアレルギーが起こることがあります。これは、接触性アレルギーと呼ばれ、特にプラスチックの食器を使用している場合に起こりやすいアレルギーです。猫が食事の後にあごや口の周りをかゆがる場合は、食器に対するアレルギーを疑いましょう。

ストレス

猫にとって、環境の変化や病気になったなどがストレスを引き起こします。そして、ストレスはさまざまな病気を引き起こし、猫ニキビもそのひとつです。つまり、猫がストレスを感じる原因を取り除くことができれば、その症状が治まることがあります。

フード

キャットフードが合わないと、猫ニキビができてしまうことがあります。これは、フードに含まれるタンパク質に対してアレルギー反応を起こす場合や、脂肪分が多い場合も考えられます。感染やアレルギーなどほかの原因が見当たらない場合は、キャットフードを変更するのもいいでしょう。

そのほか

猫の被毛の毛根に寄生する毛包虫が一気に増えたときにも、あごのただれが起こります。かゆみがあまりないのに、腫れたり脱毛が起きたりしますが、こうした炎症が猫ニキビの原因となります。

どんな猫が猫ニキビになりやすいの?

年齢、性別、猫種に関係なく猫ニキビになりますが、比較的体格のよいオスに多い傾向があります。

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猫ニキビの症状とチェック項目

次のような症状があれば猫ニキビが疑われます。愛猫の様子をチェックしてみましょう。

  • あごや唇の縁が汚れている
  • あごに黒い砂粒のようなものが付いている
  • あごがザラザラする
  • あごが腫れている
  • あごの毛が抜けている
  • あごの皮膚が分厚くなっている

猫ニキビはどうやって診断されるの?

猫ニキビの診断は次のように行います。

よく診る

猫ニキビの診断は、どのような症状が起こっているのかをよく確認することから始まります。上記のチェック項目に挙げる症状が確認されれば猫ニキビを疑います。

ノミの糞ではないかを確認する

ノミの糞は黒い砂粒のようなもので、猫ニキビのときに見られる、あごの下に付着するものとよく似ています。ノミが原因であれば治療方法が異なりますので、ノミの糞ではないことを確認します。

ノミの糞は、猫の腰や首から背中に多く見られ、あごの下だけに付着することはほぼありません。家庭でできる確認方法は、濡れたティッシュペーパーに黒い砂粒状のものを乗せて1分ほど待ちます。このとき、ノミの糞の場合は血液が含まれますので、ティッシュに乗せた粒の周囲が赤くなります。一方、猫ニキビの場合は赤くなりません。猫のあごに付着する黒い砂粒状のものが、ノミの糞か、そうでないのかを確認してみましょう。

このように猫ニキビの診断は、ほぼ見た目で判断されることがほとんどです。なお、毛包虫の場合は、その有無を顕微鏡で確認する場合があります。

猫ニキビの治療にはどんな方法があるの?

猫のニキビの治療と予防

猫ニキビには次のような治療方法があります。

きれいに洗いましょう

猫ニキビの治療の中心になるのは、ニキビのある部分を清潔に保つことです。指やブラシなどでゴシゴシこすると悪化する場合があるので、やらないようにしてください。温めたタオル(熱すぎないように注意してください)を猫のあごの下にあてて、ふやかすように汚れを取ってあげてください。

また、殺菌成分の含まれたシャンプーでやさしくマッサージするように汚れをとってもいいでしょう。このとき、シャンプー液を猫がなめてしまわないように注意してください。また、シャンプーのすすぎ残しがあるとただれたり、かゆみが起こったりしますので、シャンプー液が残らないようにしっかり洗い流してください。

食器の素材を変更する

どんなにていねいに扱っていてもプラスチック製の食器は傷が入ります。この傷の部分に細菌やカビが入り込むと、不衛生になってしまうことがあります。また、プラスチックに対してアレルギー反応を起こす猫もいます。そこで、傷の入りにくい陶器やガラス製の食器に変えてあげましょう。

アレルゲンを確認する

アレルギーが原因で猫ニキビができている場合は、アレルギー検査を行い、何に対してアレルギーを起こしているのかを確認しましょう。原因が特定されれば、猫がアレルゲンに接しないようにしましょう。

投薬

腫れがひどく、猫がかゆがる場合は薬による治療が必要になり、一般的に抗生剤や消炎剤を投与します。内服薬が苦手な猫の場合は、2週間効果が持続する注射がありますので、かかりつけの動物病院に相談してください。

エリザベスカラー

炎症が強くなると、猫が気にして、あごを擦り付ける場合があります。このような行動がもとで腫れがさらにひどくなったり、細菌感染を起こしたりする原因になります。そこで、猫にエリザベスカラーを着けて、猫ニキビになっている部分を保護しましょう。エリザベスカラーには布製のものとプラスチック製のものがあります。あごを保護できればどちらを選んでも構いませんので、猫の性格や行動にあったものを選択してください。

猫ニキビは再発することが多い病気です。いったん治療で良くなっても、油断せずにあごの下や口周りをチェックしましょう。

どうやって予防したらいいの?

猫ニキビの予防は、「口の周りを清潔にすること」です。アレルギーが原因で猫ニキビになることもありますが、口の周りに雑菌がついていると悪化しやすくなりますので注意しましょう。

獣医師 平松育子

執筆者:平松 育子

獣医師。『ふくふく動物病院』院長。京都市生まれ。山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、2006年、山口市阿知須にて『ふくふく動物病院』を開業。

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