猫の低血糖症の症状と原因、治療法について
最終更新日:2024年07月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
猫の低血糖症ってどんな病気?
低血糖症は放置すればそのまま死んでしまうこともある、重篤な症状をもたらす可能性がある疾患です。
ですが、低血糖症の多くは適切に治療することで危機を避けることができます。
主にぐったりとする、痙攣(けいれん)を起こす、意識を失うなどの症状が一般的で、血糖値を上げることで症状も回復します。
また、糖尿病を患っている猫もインスリンの量を間違えると、低血糖症を発症する場合があります。
老猫ではほかの疾患と併発している場合もあるので、多くが獣医師の元、根本的な治療を必要とします。
どうして症状が出るの?原因は?
猫が低血糖症を引き起こす原因は、血液中のグルコースという成分が不足することによるものだといわれています。
グルコースの数値=血糖値で、血糖値は通常血中濃度が一定になるように保たれています。
脳の視床下部、膵臓、肝臓、副腎などにより血中濃度が一定になるよう保っているのですが、このうちのどれかひとつに致命的な欠陥が生じると、濃度を調整する機能が機能しなくなり、低血糖症を発症してしまいます。
また、例え濃度を調整する機能に問題がなくても、元々グルコース自体が少なかったり、グルコースを消費する運動量が多かったりすると、低血糖症を発症してしまいます。
子猫の場合
生後3か月までの子猫が低血糖症を発症した場合、体の冷え、空腹、内臓障害による栄養吸収の悪化などが原因だといわれています。
生後間もない子猫は足りないグルコースを補う力が弱いため、たった6時間から12時間の絶食でも低血糖症を引き起こす可能性があるので、要注意です。
成猫の場合
1歳以上の成猫が低血糖症を発症した場合、空腹、興奮、過度の運動が原因であることが多いです。
老猫の場合
7歳以降の老猫が低血糖症を発症した場合、膵臓の腫瘍、糖尿病、不整脈、胃下垂、肝不全、肝臓癌などが挙げられます。
これらの疾患が直接の原因となっている場合と、疾患の治療の副作用により低血糖症になっている場合があると考えられます。
糖尿病を患っている猫の場合
糖尿病疾患を持っていて、インスリン注射を行なっている猫が低血糖症を発症する場合は、ほとんどが注射するインスリン量の間違いによるものだといわれています。
インスリンは血液中の糖分を細胞内に誘導してくれるのですが、過剰に摂取すると血糖が不足してしまい低血糖症を引き起こすのです。
糖尿病のより詳しい原因、症状、予防については獣医師監修の「猫の糖尿病」を併せてご覧ください。
どんな猫が低血糖症にかかりやすいの?
猫種問わず、発症する可能性があります。
猫の低血糖症の症状とチェック項目
猫の低血糖症の症状は、以下のとおりです。
- ぐったりとして元気がない
- 痙攣を起こす
- 下半身が動かなくなる
- 意識を失う
- 失明(数日~恒久的)
どうやって予防したらいいの?
猫の低血糖症の早期発見は、ぐったりしている、意識がないなどの症状が見受けられた場合、速やかに獣医師の判断を仰ぐようにしましょう。
また獣医師の元へ連れていく前に、自宅でできる処置もあります。
- 子猫の場合はブドウ糖液、成猫の場合は消化吸収されやすい食事を与える
- 意識を失っている場合は頬の内側にガムシロップを少量塗り、獣医師の元へ連れていく
- 膵臓腫瘍や肝臓の障害など、なんらかの疾患を抱えている上で低血糖症の症状が出た場合は速やかに獣医師の元へ連れていってください。
また低血糖症を防ぐための予防法は、以下のとおりです。
- 子猫の場合は常に暖かくして、授乳、食事の回数を増やす
- 成猫の場合は、空腹時に運動をさせない
- 糖尿病の治療でインスリンを投与している場合は、投与量には細心の注意を払う
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。