猫の腎不全

目次

猫の腎不全ってどんな病気?

腎臓の働き

腎臓は、背骨を挟んだ腰のところに左右ひとつずつあるソラマメ型の尿を作る臓器です。この臓器は、体の中の余分な水分を捨て、代謝で出た物質や有害物質を捨てたり、血液の中の成分を調整したりする役割があります。

腎臓の中には、ネフロンと呼ばれる部分があり、その中の糸球体という部分で腎臓に流れてきた血液をこして尿を作っています。猫ではネフロンが20から30万個あり、24時間休むことなく送り込まれる大量の血液をこして尿を作り続けます。

血液をこしたばかりの状態を「原尿」と呼びます。原尿の中には体に取って重要なブドウ糖やアミノ酸、ビタミンや電解質などが含まれ、それらの物質もそのまま排出してしまうと、すぐに欠乏してしまいます。

そこで、ネフロンの尿細管と呼ばれる部分が、体に必要な水分や栄養を体内に引き戻す「再吸収」という作業を行ないます。これにより体内の環境に合わせて、水分や栄養分の量を調節しているのです。

また、腎臓は血液中の酸素を運ぶ細胞「赤血球」の産生を促進するエリスロポエチンというホルモンも出しています。

猫の腎不全の原因と症状

腎不全とは?

「腎不全」という言葉は病気の名前ではありません。腎不全とは腎臓がうまく機能していない状態を表す言葉です。

さて、腎臓に多数あるネフロンですが、働いているのは常時その全部ではなく、全体の10%程度です。残りは予備であり、腎臓は予備機能の高い臓器と言えます。

このネフロンのうち約75%の働きが悪くなり、尿を作り出すことや、電解質・水分量の調節を行う働きがうまくできなくなってしまった状態が腎不全です。腎不全は経過によって急性腎不全と慢性腎不全があります。

どうして症状が出るの?原因は?

急性腎不全

猫の急性腎不全は、主に次の挙げるようなことが原因で発症します。

  • 腎臓を流れる血液量が低下したり、血液が固まってしまい、腎臓につながる血管で詰まったりすること
  • 毒物(例:不凍液や保冷剤に使用されるエチレングリコール)による中毒でネフロンを破壊されること
  • 腎臓そのものの病気(腎盂腎炎のような感染症や腎臓の腫瘍など)や尿管・膀胱・尿道の病気(腫瘍や尿路結石などで尿が詰まった状態)

急性腎不全では、尿が出ないことで老廃物が体の中にたまり、また、電解質・水分量を調整できなり、突然の食欲不振、嘔吐、下痢、口臭、運動失調、けいれんといった症状が現れます。また、尿自体が出ないといった症状や、脱水、口内炎、低体温、あるいは発熱、頻呼吸、徐脈が見られることもあります。これらは、「尿毒症」によって引き起こされるのです。

尿毒症」とは、正常な場合であれば、尿によって体の外に排泄されるはずの尿素、尿酸、クレアチニン、クレアチン、アンモニアといったタンパク質の代謝物が体の中にたまってしまい、引き起こされる全身性の中毒症状です。

慢性腎不全

猫の慢性腎不全は、数ヶ月から数年かけてネフロンの働きがだんだん悪くなっていきます。多くが原因不明で、1歳未満の猫の場合には、先天的なネフロンの異常がほとんどです。

病気が進行すると、ネフロンの約75%がうまく働かなり、初めて症状が見られるようになります。具体的には、再吸収が起こらないため、尿量が増え、脱水傾向になり、水を多く飲むようになるのです(多飲多尿)。また、体重減少、元気消失、低体温が見られます。

このほか、エリスロポエチンの分泌が悪くなると、赤血球が作られなくなり貧血が見られるようになります。さらに病気が進行すると尿量が減って、症状が悪化していくのです。そして、慢性腎不全の末期では「尿毒症」の症状が見られるようになります。

どんな猫が腎不全にかかりやすいの?

急性腎不全にかかりやすい猫

猫の急性腎不全は、主に尿路結石が詰まることで発症します。この尿路結石は、リンやカルシウムの過剰摂取によって発症リスクが高まるので、それらの含有量の多いフードを与えられている猫は、尿路閉塞からの急性腎不全が起こりやすいと言えます。

尿路結石の症状、原因、予防については、獣医師監修の「猫の疾患 尿路結石症」を併せてご覧ください。

また、中毒性物質により発症することもあるので、屋外に自由に行き来できる環境で飼育されている猫は、中毒性物質に出会う可能性が高くなります。

慢性腎不全にかかりやすい猫

一方、猫の慢性腎不全は、加齢にしたがって増えていきます。特に、高齢の猫の3頭に1頭が、慢性腎不全に罹患(病気にかかること)するというデータがあるので、猫では特に多い疾患と言えます。

猫の腎不全の特徴とチェック項目

急性腎不全の場合

急性腎不全では突然体調を崩し、次のような症状が見られます。

  • 突然嘔吐や下痢、食欲がなくなる
  • けいれんを始めとする神経症状を起こす
  • 尿が出ていない

慢性腎不全の場合

慢性腎不全では、多くの場合、次のよう症状が見られ、徐々に悪くなっていきます。

  • 近頃、水を飲む量が異常に増える
  • 食欲にムラがある、ごはんを食べなる
  • 体重が徐々に減る
  • 脱水するので毛づやが悪くなる
  • 嘔吐や下痢が見られる

猫の腎不全はどうやって診断されるの?

急性腎不全の診断

急性腎不全の診断は血液検査で行います。急性腎不全の場合は、この検査によって尿素窒素、クレアチニンという項目の顕著な増加が見られます。また、病気の原因については、尿検査、レントゲン検査や超音波検査によって明らかにします。

慢性腎不全の診断

慢性腎不全の診断は尿検査と血液検査で行います。尿検査では「尿比重」と呼ばれる尿の濃さを表す値の低下が見られます。また、尿タンパクの有無も調べますが、これは、腎臓に流れてきた血液をこして尿を作る糸球体に異常が出るとタンパク質が検出されるからです。

このほか、病気が進行すると、血液検査によって尿素窒素とクレアチニンの上昇を確認できます。しかしながら、これらの検査結果は、腎臓機能の60%から75%以上が失われないと異常が検出できません。そのため、早期診断の方法として、対称ジメチルアルギニン(SDMA)という項目を調べます。これは、腎臓機能の40%が失われた状態のときに異常が検出できるとされています。

猫の腎不全の治療と予防

猫の腎不全の治療にはどんな方法があるの?

急性腎不全の治療法

急性腎不全の場合、すぐに治療を始めないと命の危険があります。点滴で体調を改善しつつ、その原因となる状態を取り除かなければなりません。

慢性腎不全の治療法

慢性腎不全の場合、人間では血液透析が一般的ですが、猫ではまだ実施できる施設が少なく、全身麻酔が必要になるなどのハードルがあります。

そこで、一般的に行われている治療としては、点滴を行う、フードを低タンパク・低ナトリウムの療法食にして腎臓の負担を軽減するのです。さらに、タンパク尿が認められる場合には薬で改善を図ります。

猫の腎不全は治せるの?

急性腎不全では早期治療で回復の可能性

急性腎不全では、早期に発見して治療を始めることができれば、回復する可能性があります。

慢性腎不全の治療目的は進行を食い止めること

一度働きが悪くなったネフロンを元に戻すことはできないので、慢性腎不全の治療では、症状の進行をできるだけ食い止めるようにします。その主な対処法は、薬の投与と食餌療法ですが、一生管理が必要です。

どうやって予防したらいいの? あるいは症状を緩和するにはどうしたらいいの?

慢性腎不全については原因不明なので、予防は非常に困難です。しかし、猫にとって水を飲みやすい環境作りをしてあげると、飲量が増え、それによって腎臓への血液量が増化するだけでなく、腎臓の保護になり、また尿量も増えるので尿路結石の予防になります。ひいては急性腎不全の予防につながると言えるでしょう。

そのほか気になる猫の泌尿器系の病気については、獣医師監修の「猫の疾患 泌尿器系の病気」をご覧ください。

ペット保険の契約対象となる猫種・品種について

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また、「ペット保険取扱の猫種分類表」に契約実績のある猫種をまとめていますが、未記載の猫種であっても保険料は同じです。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。